国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
買新羅物解〈天平勝宝四年六月/〉
ふりがな
:
ばいしらぎもののげ
解説表示▶
員数
:
7通
種別
:
古文書
国
:
日本
時代
:
奈良
年代
:
752
西暦
:
752
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
00143
枝番
:
00
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
1993.06.10(平成5.06.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
公益財団法人前田育徳会
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
天平勝宝四年(七五二)に来朝した新羅の使節がもたらした種々の物品について、貴族らがその購入を申請した文書である。もとは正倉院の鳥毛立女屏風の下貼に用いられていた文書で、現在も正倉院に残る十通余と一連のもので、左の七通からなる(カッコ内は寸法で、縦×横。単位はセンチメートル)。
(一) 天平勝宝四年六月十五日右大舎人大初位上中臣伊勢連老人解(二八・二×二六・四)
(二) 天平勝宝四年六月十七日従四位下小槻山君広虫解(〈右半〉二八・三×一三・〇 〈左半〉二六・五×一三・八。ただし、もと二通の可能性もある)
(三) 天平勝宝四年六月十七日事業従七位上置始連五百足解(一八・〇×一三・一)
(四) 天平勝宝四年六月廿日某解(二九・二×二六・四)
(五) 天平勝宝四年六月廿三日某解(二九・三×五一・四)
(六) (年月日未詳)飯高嶋□解(二八・七×三四・一)
(七) (年月日未詳) 鼓吹司正外従五位下大石某解(一七・五×五六・三)
各文書は屏風下貼に用いられたため切断や破損が著しいが、文書の形式は解【げ】の形をとるものが多い。内容は、それぞれ購入すべき品目とその全体の価直を掲げ、文書の日付は正倉院にあるものも含めて天平勝宝四年六月十五日から同月二十六日の間に集中している。購入品目は、香料、薬物、顔料や鏡などの金属器が多く、人参、松子【まつのみ】など新羅特産品とみられるものもあるが、香料などには東南アジア、インド等に産するものも含まれ、当時の新羅商人の広域な交易活動をうかがわせている。価直は綿、糸、絹で、各品目ごとでなく全体の価直として記されている。これらの文書は、外国との交易を管理する大蔵省か内蔵寮に充てられたと推定されるが、そこで価直に応じて個々の品目の量などが決定されたと考えられる。文書の差出者には、貴族だけでなく、大舎人などの下級官人も含まれるが、これらは(三)の事業(貴族の従者の職名)の場合のように、その仕える本主の購入を申請したものと考えられている。奈良時代の新羅との文物の交流をめぐる稀有な史料として古代史研究上に価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
天平勝宝四年(七五二)に来朝した新羅の使節がもたらした種々の物品について、貴族らがその購入を申請した文書である。もとは正倉院の鳥毛立女屏風の下貼に用いられていた文書で、現在も正倉院に残る十通余と一連のもので、左の七通からなる(カッコ内は寸法で、縦×横。単位はセンチメートル)。 (一) 天平勝宝四年六月十五日右大舎人大初位上中臣伊勢連老人解(二八・二×二六・四) (二) 天平勝宝四年六月十七日従四位下小槻山君広虫解(〈右半〉二八・三×一三・〇 〈左半〉二六・五×一三・八。ただし、もと二通の可能性もある) (三) 天平勝宝四年六月十七日事業従七位上置始連五百足解(一八・〇×一三・一) (四) 天平勝宝四年六月廿日某解(二九・二×二六・四) (五) 天平勝宝四年六月廿三日某解(二九・三×五一・四) (六) (年月日未詳)飯高嶋□解(二八・七×三四・一) (七) (年月日未詳) 鼓吹司正外従五位下大石某解(一七・五×五六・三) 各文書は屏風下貼に用いられたため切断や破損が著しいが、文書の形式は解【げ】の形をとるものが多い。内容は、それぞれ購入すべき品目とその全体の価直を掲げ、文書の日付は正倉院にあるものも含めて天平勝宝四年六月十五日から同月二十六日の間に集中している。購入品目は、香料、薬物、顔料や鏡などの金属器が多く、人参、松子【まつのみ】など新羅特産品とみられるものもあるが、香料などには東南アジア、インド等に産するものも含まれ、当時の新羅商人の広域な交易活動をうかがわせている。価直は綿、糸、絹で、各品目ごとでなく全体の価直として記されている。これらの文書は、外国との交易を管理する大蔵省か内蔵寮に充てられたと推定されるが、そこで価直に応じて個々の品目の量などが決定されたと考えられる。文書の差出者には、貴族だけでなく、大舎人などの下級官人も含まれるが、これらは(三)の事業(貴族の従者の職名)の場合のように、その仕える本主の購入を申請したものと考えられている。奈良時代の新羅との文物の交流をめぐる稀有な史料として古代史研究上に価値が高い。