国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
十津川郷の山村生産用具
ふりがな
:
とづがわごうのさんそんせいさんようぐ
十津川郷の山村生産用具
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員数
:
3174点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:自然物採集用具73点 狩猟・川漁用具300点 農耕用具369点 畜産用具32点 養蚕用具135点 炭焼用具84点 山樵用具480点 木挽用具71点 木工用具476点 石工用具51点 鍛冶屋用具102点 手仕事用具50点 紡織用具193点 運搬用具290点 仕事着156点 飲食携行用具89点 灯火用具39点 信仰・儀礼用具184点
指定番号
:
00189
指定年月日
:
1991.04.19(平成3.04.19)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
(六)職能の様相を示すもの
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
吉野郡十津川村大字小原
保管施設の名称
:
十津川郷の山村生産用具収蔵庫
所有者名
:
十津川村
管理団体・管理責任者名
:
十津川郷の山村生産用具
解説文:
詳細解説
奈良県西南端に位置する十津川郷は、十津川と北山川の流域を占め、全面積の96%が山林原野で、古来より秘境として名高い。
この資料は、十津川郷における生業に関する用具を収集したものである。生産活動に応じて自然物採集用具、狩猟・川漁用具、農耕用具、畜産用具、養蚕用具、炭焼用具、山樵用具、木挽用具、木工用具、石工用具、鍛冶屋用具、手仕事用具、紡織用具に分類し、それらの活動に関係する運搬用具、仕事着、飲食携行用具、灯火用具、信仰儀礼用具なども含めている。全体として十津川郷において営まれてきた山村生産の実態と変遷を裏付ける内容となっている。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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十津川郷の山村生産用具
十津川郷の山村生産用具
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十津川郷の山村生産用具
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解説文
奈良県西南端に位置する十津川郷は、十津川と北山川の流域を占め、全面積の96%が山林原野で、古来より秘境として名高い。 この資料は、十津川郷における生業に関する用具を収集したものである。生産活動に応じて自然物採集用具、狩猟・川漁用具、農耕用具、畜産用具、養蚕用具、炭焼用具、山樵用具、木挽用具、木工用具、石工用具、鍛冶屋用具、手仕事用具、紡織用具に分類し、それらの活動に関係する運搬用具、仕事着、飲食携行用具、灯火用具、信仰儀礼用具なども含めている。全体として十津川郷において営まれてきた山村生産の実態と変遷を裏付ける内容となっている。
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詳細解説
奈良県の西南端に位置する十津川郷は、十津川と北山川(いずれも熊野灘に注ぐ熊野川の支流)の流域を占め、古来より秘境として名高い。その総面積は約672㎢と広大である。東西が33㎞余で南北が33㎞弱であり、周囲は、大峯山脈(東境)、天辻山系(北境)、伯母子山地(西境)及び果無山脈(南境)と1,000㍍級以上の峻峰の連なりにさえぎられている。 この地域は、全面積の96%が山林原野で樹種が豊富である。ここに古くから住む人々は、蛇行する川筋の平坦地や緩傾斜地を選んで住居を構えて暮らしを立ててきた。現在、この地域は行政的に7つに区分されているものの、生活単位で数えれば、54のジゲ(大字で、ザイショ、ダイジともいう)に分けられており、そこに210余のカイト(小字で、バン、クミともいう)が点在する。 この資料は、約30年間の歳月を費やし、収集整理し体系化したものである。当初は、奈良県立十津川高等学校が収集整理に当たり、それを引き継いだ十津川村が新たに広範多岐にわたって収集したものを整理したものである。 生産活動に応じて自然物採集用具、狩猟・川漁用具、農耕用具、畜産用具、養蚕用具、炭焼用具、山樵用具、木挽用具、木工用具、石工用具、鍛冶屋用具、手仕事用具及び紡織用具の各分野に大別して網羅するとともに、それらの活動のいずれかに関係する運搬用具、仕事着、飲食携行用具、灯火用具及び信仰儀礼用具を含めて、構成されている。 それら用具類には注目に値するものも多い。例えば、自然物採集用具は、山野に自生する多くの草木類を衣食住生活用などに利用するために採集した際の用具で、トチノミワリ(栃の実割り・栃餅用)や彼岸花の球根を掘り起こし灰汁抜きする(オイモチ〈おい餅〉用)用具類などがある。 狩猟・川漁用具では、タヌキ(狸)を巣穴から引き出すネジリボウ(捻じり棒)や獲物の処理・加工用のハリワク(張り枠)・ハリボウ(張り棒)、掴み漁用のウナギバサミ(鰻ばさみ)や見突き漁用の各種ヘシ(やす)、引掛け漁用のミズカガミ(水中覗き漁具)・チョンガケ(先が一本の引掛け漁具)など、一見単純に見えるが、人々の創意工夫を跡付けるものがある。 農耕用具は、稲作用具と畑作用具とに分け、各作業に応じた用具を収集している。そのうち、人力耕起用の各種の鍬類、畜力(牛)耕起用のタスキドウグ(カラスキ〈犂〉・ハナヅナ〈鼻綱〉等)、タシバ(緑肥用の柴)入れ用のオシギリ(押切り)・タゲタ(田下駄)、脱穀用のシゴキオケ(桶)、選別用のイタミ(板箕)などの稲作用具、麦作に用いられた種子蒔き用のムギマキツナ(麦まき綱)、草取り用のヒトツメ・フタツメ(前者は爪が一本で後者はそれが二本)、麦扱き用では箱付きのムギスゴキなどは農耕の実際を知る上で注目される。ワゲンドウは、樹皮を輪状に曲げた貯蔵用の大型容器でケヤキ(欅)の樹皮で作られている。 畜産用具は、農耕用の役牛に関わるもの一式である。カイバオケ(飼葉桶)は結物であり、フネ(木槽)は刳物である。 養蚕用具・炭焼用具は、副業的性格の濃い職種のものである。前者にクワツミ・クワバサミ・クワスゴキなど各種の桑摘み用具が含まれていること、後者に備長炭を焼くエブリ(柄振)・エブリツリ(柄振吊り)などの用具が見られることが注目される。 山樵用具は、ここの基幹産業に従った者たちが用いたものである。ジアラケ(地拵え)や伐採用具の一式として植林後から丸太伐り・集材までに使う各種の鎌・鉈・鋸・ヨキ(斧)を巨細に取りまとめている。樹皮剥ぎ用の木製や鉄製のヘラをはじめカワハギホウチョウ・カルコ(足場用具)などは、立木のまま樹皮を剥いだことを実証するものとして注目される。また、ハツリ用具では多様なヨキとともに各種のカスガイ(鎹)が収められている。 木挽用具では、リンダイ(挽き割り台)とその付属用具及びマエビキ(前挽鋸)と呼ばれる縦挽鋸が数多く収められている。 木工用具は、刳物用具・曲物用具・結物用具及びその他(主として家大工用具)に分けられ、各一式が配されている。そのうち、とくに注目されるのは曲物作り用のもので、欅の樹皮(表皮など)を曲げ、耳付けし、漆を塗って下絵付けして仕上げたヤロウ(煙草入れ)・ガッタロウ(煙草入れ付き煙管)などの製作用具はよく収集されている。 この資料は、全体として十津川郷において営まれてきた山村生産の実態と変遷を裏付ける内容となっており、山村生産用具の一括資料として質量ともに充実していて重要である。また、我が国の各地に伝わる山村生産用具との比較資料としても貴重である。