国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
周防大島東部の生産用具
ふりがな
:
すおうおおしまとうぶのせいさんようぐ
周防大島東部の生産用具
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員数
:
3,465点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:自然物採集126点 漁撈433点 農耕1033点 畜産56点 養蚕601点 紡織477点 手仕事78点 諸職405点 運搬47点 仕事着113点 飲食・灯火71点 信仰・儀礼25点
指定番号
:
00186
指定年月日
:
1990.03.29(平成2.03.29)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
所在都道府県
:
山口県
所在地
:
大島郡周防大島町大字西方1958-77
保管施設の名称
:
とうわ民俗資料収蔵庫
所有者名
:
周防大島町
管理団体・管理責任者名
:
周防大島東部の生産用具
解説文:
詳細解説
周防大島(屋代島)は、瀬戸内海に位置する島では、淡路島・小豆島に次いで3番目に大きい島である。この資料は、旧東和町が収集したもので、島特有の自然環境下で営まれてきた生業の諸相を裏付ける用具類で、自然物採集用具、漁撈用具、農耕用具、養蚕用具、紡織用具、諸職用具などのほか、仕事着や飲食・灯火用具、信仰・儀礼用具なども含まれている。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
周防大島東部の生産用具
周防大島東部の生産用具
周防大島東部の生産用具
漁撈用具:漁船
農耕用具:ツチイレ
農耕用具:マグワ
農耕用具:オイコ
紡績用具:イトグルマ
紡績用具:ハタオリキ
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周防大島東部の生産用具
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周防大島東部の生産用具
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周防大島東部の生産用具
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漁撈用具:漁船
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農耕用具:ツチイレ
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農耕用具:マグワ
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農耕用具:オイコ
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紡績用具:イトグルマ
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紡績用具:ハタオリキ
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解説文
周防大島(屋代島)は、瀬戸内海に位置する島では、淡路島・小豆島に次いで3番目に大きい島である。この資料は、旧東和町が収集したもので、島特有の自然環境下で営まれてきた生業の諸相を裏付ける用具類で、自然物採集用具、漁撈用具、農耕用具、養蚕用具、紡織用具、諸職用具などのほか、仕事着や飲食・灯火用具、信仰・儀礼用具なども含まれている。
詳細解説▶
詳細解説
周防大島(屋代島)は、瀬戸内海に位置する島では、淡路島・小豆島に次いで3番目に大きく、東西約28,7㎞、南北約24.3㎞、面積約185㎢ある。昭和51年7月には、大島の瀬戸に架かる大島大橋(約1,020㍍)の開通により本州と結ばれることとなった。 その島の東部を占める当時の東和町(昭和30年、旧油田村、旧和田村、旧森野村、旧白木村が合併)は、北は安芸灘を隔てて本州広島県と、東南は伊予灘を隔てて四国愛媛県に相対しており、東西に細長い地形をなし、入江や岬の多い海岸線が連なる。 集落は海岸沿いに点在する。その背後は山地(標高150~340㍍)で、急傾斜をなし、土壌は浅くて砂質なので、保水性に乏しく旱魃に弱い自然条件下にある。 この資料は、昭和50年頃から旧東和町が収集・整理に取り組んできた生活用具のうち、海を前に山を背にした乏しい平坦地という、島特有の自然環境下で営まれてきた生業の諸相を裏付ける用具類を体系的に整理したものである。 収集用具のうち、自然物採集用具・漁撈用具・農耕用具は、天与の自然環境を基盤とする自給自足的な生業に関わるもの、養蚕用具・紡織用具及び諸職用具は現金収入を得るための副業ないし家計を補完しようとする性格が濃厚な資料である。 また、一群の仕事着や飲食・灯火用具及び信仰・儀礼用具は、生産活動の実際に用いられたものである。それらが総体として島で展開されてきた生業の実態とその変遷を語るものとなっている。 自然物採集用具には、山柿の実、棕櫚の皮、くずね、きのこなどを採集する用具や漂着物を採集する用具などがある。それらの中には、カキワケボウ(掻き分け棒)など単純素朴なものも含まれている。 漁撈用具には、貝採り藻採り漁・見突き漁・釣り漁・網漁・陥穽漁の各種用具のほか、関係の漁船やその付属用具も収集されている。貝採り・藻採り漁用のカイホリ(貝掘り)、アオサカキ(あおさ掻き)などは小型のものである。見突き漁に使うスイガン(水鏡)は、箱型と結い物型のものが併用されており、延縄用用のハエナワカゴ(延縄籠)には曲物製のものが使われてきたことがわかる。また、鰯網用のウキ(浮子)・イワドロ(錘)などには形状や素材の違うものが多数含まれている。アナゴカゴ(穴子籠)は竹製で筌型のものである。漁船は、イサリブネ(磯船)・ツリブネ(釣り船)・イワシブネ(鰯船)の3種を収集しており、その付属具として、松の木の股を巧みに利用し、自然石を取り付けた錨を多数含んでいる。いりこ作りの用具一式が水産加工用具として揃っているのも貴重である。 農耕用具は、水田農耕用具と陸畑農耕用具に大別される。そのうち、役牛による荒起し用のスキ(犂)、砕土用のマグワ(馬鍬)、田ならし用のエブリ(柄振)、除草用のクサトリ(草取り機)、稲扱用のセンバ(千把扱)、選別用のセンゴク(千石)などは、量・質ともに優れている。収量を増やし、あるいは作業能率を高めるために、いかに工夫してきたかを裏付ける資料として貴重である。また、麦扱に使ったムギウチダイ(麦打ち台)、さつまいも加工の際に使われるカンコロキリ(芋を切る用具)、カキマワシ(芋洗い)など特色あるものも収集している。農耕用として使役された役牛に関わる用具も、畜産用具一式として収集されている。 以上の生産用具のほかに、現金収入源として重きをなした生業に関わるものとして養蚕用具、紡織用具、諸職用具がある。それらのうち、繭の出荷用に使ったシュッカカゴ(出荷籠)、ツツ(出荷する際の通風用籠)は珍しい用具である。紡織用具には賃織りからはじまった木綿織りと、養蚕の傍ら次第に定着した絹織りに関する資料が、生業の推移を明らかにする形で整理されており、各手織りの反物・着物類も収集されている。また、諸職用具には、家大工、宮大工、船大工、桶屋が使った用具各一式がある。それらは、島の男たちの就業形態を知る上で貴重なものである。 この他、各種生業の実際に用いられてきたモッコ(畚)、オイコ(背負い梯子)などの運搬用具、作業の際に用いられた仕事着類、飲食・灯火用具を収集している。そのうち、カサ(被り笠)は大型で素材に竹皮を用いていることが注目される。また、ホラガイ(法螺貝)、ゴウレン(亥の子石)などの信仰・儀礼用具を収集しており、生業に打ち込んできた人々の願いを知ることができる。 この資料は、職種を異にする生業に応じて各々用いられてきたもので構成されている。この地方に営まれてきた生業の実態と変遷を知る上で貴重であるばかりでなく、瀬戸内海に数多くある島嶼における生業の様相を知るための比較資料としても重要である。