国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
西米良の焼畑農耕用具
ふりがな
:
にしめらのやきはたのうこうようぐ
西米良の焼畑農耕用具
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員数
:
515点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:地ごしらえ用具102点 コバ焼用具25点 コバつくり用具26点 草とり・カジメ用具37点 取り入れ・穂あやし用具94点 こしらえ用具47点 ほうごと(信仰儀礼)用具25点 作小屋用具159点
※この用具に関する習俗は、昭和60年12月20日に「日向の焼畑習俗」として記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。
指定番号
:
00172
指定年月日
:
1986.03.31(昭和61.03.31)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
指定基準3
:
所在都道府県
:
宮崎県
所在地
:
児湯郡西米良村村所2-5
保管施設の名称
:
西米良村歴史民俗資料館
所有者名
:
西米良村
管理団体・管理責任者名
:
西米良の焼畑農耕用具
解説文:
詳細解説
西米良村は、一ツ瀬川とその支流との最上流域に位置する日向地方の典型的な山村である。総面積の9割以上を山林原野が占め、古くから山腹斜面を焼畑農耕に利用して主食糧を自給してきた。
この資料は、焼畑農耕に関する用具を網羅的にとりまとめたもので、地ごしらえ用具、コバ焼き(火入れ)用具、コバづくり用具、草とり・カジメ(管理)用具、取り入れ・穂あやし(収穫・脱穀)用具、こしらえ(精白調整)用具、ほうごと(信仰儀礼)用具、作小屋用具からなる。単純な形態ながらも焼畑農耕の過程や実態を知り、焼畑農耕に従事してきた人々の心意を表徴する用具を網羅している。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
西米良の焼畑農耕用具
西米良の焼畑農耕用具(作小屋用具)
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西米良の焼畑農耕用具
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西米良の焼畑農耕用具(作小屋用具)
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解説文
西米良村は、一ツ瀬川とその支流との最上流域に位置する日向地方の典型的な山村である。総面積の9割以上を山林原野が占め、古くから山腹斜面を焼畑農耕に利用して主食糧を自給してきた。 この資料は、焼畑農耕に関する用具を網羅的にとりまとめたもので、地ごしらえ用具、コバ焼き(火入れ)用具、コバづくり用具、草とり・カジメ(管理)用具、取り入れ・穂あやし(収穫・脱穀)用具、こしらえ(精白調整)用具、ほうごと(信仰儀礼)用具、作小屋用具からなる。単純な形態ながらも焼畑農耕の過程や実態を知り、焼畑農耕に従事してきた人々の心意を表徴する用具を網羅している。
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詳細解説
宮崎県児湯郡西米良村は、一ツ瀬川とその支流との最上流域に位置する日向地方の典型的な山村である。村の総面積の9割以上が山林原野で占められており、古くから険阻な山並みの連なる山腹斜面を焼畑農耕に利用して主食糧を自給してきた。 焼畑農耕を中心とした往時の山村生活は、戦中・戦後の動乱期を経て、その後の食糧事情や食生活の変化などにより一変してしまったが、この資料は、そうした焼畑農耕の用具をとりまとめたものである。 この地域で営まれてきた焼畑農耕は、稗・粟などの主穀を栽培する秋コバ(コバは焼畑農耕の意味)と大根・蕎麦などを栽培する夏コバとに大別され、いずれも樫やタブなどの繁茂する主として常緑広葉樹林(照葉樹林)を利用して行われてきた。経験に基づいて一定の作物を輪作(例えば、西米良村大字村所の場合、秋コバでは、1年目と2年目に稗、3年目に小豆、4年目に粟を栽培)した後で、一定期間(20~50年前後)放棄する。耕作期間中は、作小屋に寝泊まりして作業に従事する形態が広くみられた。 この資料は、使い捨てられやすい難点をよく克服して、西米良村のほぼ全域から詳細に収集されたものであり、単純な形態ながらも焼畑農耕の過程や実態を知ることができ、焼畑農耕に従事してきた人々の折り目折り目に抱いた心意を表徴する用具も網羅している。 焼畑農耕の第一過程である農地を整える地ごしらえ用具には、道きりあけや下草刈り、立木の伐採や枝払いなどの作業に使用する鉈・鎌・腰鋸の類をはじめ、伐り倒しに困難な大樹の枝を落として立枯れにするため能率よく樹間を移動するに使用したツク(木おろし竿)などがある。 次のコバ焼き(火入れ)用具には、防火用のヒボテ、火つけ用のタイマツ、燃え残りを集めて焼くキヤキ(木焼き)用のヨセボウ(寄せ棒)などがあり、身近にある素材を有効に利用したものが多い。 コバづくり用具には、急斜面の土留めに横たえるシャレギ(木の棒)のほか種入れ袋や山鍬・イモウエボウ(掘り棒)などがある。 草とり・カジメ(管理)用具には、草とりやカジメ(かかし)などのほか、カビ(蚊火)や害獣除けのサゲジメや各種の罠類などがある。 取り入れ・穂あやし(収穫・脱穀)用具には、穂を手元に寄せるために使うサオ(竿)、ヒエチギリボウチョウ(穂首を切る庖丁)、脱穀の実際に用いるメグリボウ・タタキボウ、莚をつなぐシナグシ(竹串)、乾燥用のバラ(丸い竹製の器)など地域的特色のあるものが多い。 こしらえ(精白調整)関係用具には、穀類の精白に使った大釜や粉ひき用のヒキウス、計量用の各種枡類がある。 ほうごと(信仰儀礼)用具には、山入りに際して山の神に捧げるカケグリ、火入れに際してコバに立てるお札、餅・赤飯をつくるための臼・杵やせいろう、衣服などを容れて運ぶための和紙製のタナテゴ(背負い袋)などが収集されている。 作小屋用具には寝泊まりして農耕作業に従事するための食住関係の用具類や仕事着類などが収集されている。 この資料は、西米良における焼畑農耕の実態を知る上で貴重であるばかりでなく、我が国の各地に展開されてきた焼畑農耕をめぐる習俗の比較資料としても有益なものである。