国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
牟礼・庵治の石工用具
ふりがな
:
むれ・あじのいしくようぐ
牟礼・庵治の石工用具
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員数
:
791点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:丁場用具288点 加工用具263点 運搬用具92点 鍛冶用具108点 生活用具40点
指定番号
:
00201
指定年月日
:
1996.12.20(平成8.12.20)
追加年月日
:
指定基準1
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準2
:
(六)職能の様相を示すもの
指定基準3
:
所在都道府県
:
香川県
所在地
:
高松市牟礼町牟礼1810
保管施設の名称
:
高松市石の民俗資料館
所有者名
:
高松市
管理団体・管理責任者名
:
牟礼・庵治の石工用具
解説文:
詳細解説
この資料は、牟礼・庵治地方における採石・加工の各工程にかかわる用具類を系統的に整理したものである。わが国では西日本に花崗岩の産地が多く、木田郡牟礼町・庵治町で産出する庵治石は、とりわけ硬度が高く緻密な良質の石材として知られてきた。採石を中心とした「丁場用具」と、細工を中心にした「加工用具」に大別され、これに石材や製品を運ぶための「運搬用具」、鑿類などの製作や修繕をする「鍛冶用具」、石工の仕事場での「生活用具」を加えて、5つの分類構成をとっている。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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牟礼・庵治の石工用具
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牟礼・庵治の石工用具
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解説文
この資料は、牟礼・庵治地方における採石・加工の各工程にかかわる用具類を系統的に整理したものである。わが国では西日本に花崗岩の産地が多く、木田郡牟礼町・庵治町で産出する庵治石は、とりわけ硬度が高く緻密な良質の石材として知られてきた。採石を中心とした「丁場用具」と、細工を中心にした「加工用具」に大別され、これに石材や製品を運ぶための「運搬用具」、鑿類などの製作や修繕をする「鍛冶用具」、石工の仕事場での「生活用具」を加えて、5つの分類構成をとっている。
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詳細解説
石材の採掘や石製品の細工にたずさわる職人の伝統的技術は、わが国では石材の硬度の違いにより、概ね2つの系統に分けられる。1つは凝灰岩などの軟石系の技術であり、もう1つが花崗岩を中心にする硬石系の技術である。前者は栃木県の大谷石などで用いられている技術であり、後者は、御影石の名で知られる花崗岩に用いられている技術である。その中間に安山岩などの準硬石系の技術が位置づけられる。 花崗岩は深成火山岩の一種で、一般に石質が堅牢で、耐久力があり、磨き上げると美しい光沢を得ることができるので、石材中でも最も重視され、建築用材として使用されたり、土木用としては敷石・橋などに利用され、石碑・墓石・門柱など広い用途がある。 わが国では西日本にこの花崗岩の産地が多く、とりわけ瀬戸内海地方に集中している。これは領家帯と呼ばれる地質がこの地方を形成しているためで、北土石・万成石(岡山県)、小豆島石・与島石(香川県)などの産出が比較的長く続けられてきた。これらの中で、香川県木田郡牟礼町・庵治町の境界付近から産出する庵治石は、とりわけ硬度が高く緻密な良質の石材として知られている。 この地方の石材採掘の歴史は、古代・中世にさかのぼる可能性があるが、江戸時代から明治・大正期、昭和初期までは主に建築用材としての利用が中心で社寺の基礎・石段・石垣・鳥居などのための使用が中心だった。昭和30年代になって研磨技術が進歩すると表面の緻密な美しさと耐久性が評価されて、墓石を中心とした石碑類に最適の石材として注目を集め、その後の機械化とあいまって、牟礼・庵治地区には石材業にたずさわる者が増え、今日も多くの石材店が集中している。 石工用具は、他の諸職用具に比べて摩耗が激しいことと、使い尽くしてしまうために、完全な用具を収集することは難しく、また、単純な工具を組み合わせて用いるため、用具の種類が比較的少なく地域的特色を示すことが困難と考えられてきた。ところが、庵治石はきわめて硬質であるため、採石・加工の工程で順を追って、さまざまな用具が使い分けられ、また、明治末から昭和初期に至る時代には技術的変化が著しく、用具も多様化したために、豊富な資料収集が可能であったのである。 機械化により石材業は発展の方向にあったが、その一方で伝統的な石工の技術と用具類は、消滅の危機にさらされていた。その状況を憂慮していた石工の青年たちが調査収集活動を開始したのが昭和55年のことであった。この資料は、こうした活動を引き継ぎ、「牟礼町石の民俗資料館」の開館準備にともなって収集・整備が行われ、その数千点に及ぶ資料の中から、牟礼・庵治地方における採石・加工の全工程にかかわる用具類791点を系統的に整理したものである。 この資料は、採石を中心とした「丁場用具」と、細工を中心にした「加工用具」に大別され、これに石材や製品を運ぶための「運搬用具」、鑿類などの製作や修繕をする「鍛冶用具」、石工の仕事場での「生活用具」を加えて、5つの分類構成をとる。 例えば、丁場用具は、「丁場造成用具」「採石用具」「小割用具」に細分され、このうち「丁場造成用具」は、丁場(採石場)の整備のための用具類で、岩盤の上層の草木を伐採するためのノコギリ・ナタ・ヤマガマと、土砂の排出のためのツルハシ・トンガ・オタフクなどの土木用具が中心である。 また「採石用具」は、対象とする大型の浮き石を動かしたり、岩盤から剥がしたりするための用具類で、大型のテコ類と、火薬用の穴を彫るエンショウノミが主要なものである。テコ類にはキデコ・カナホ・カナテコの3種類がある。また岩盤から剥がした石を落としたり返したりするL字形のマンも含まれている。エンショウノミは、穴の深さに応じ、しだいに長いものが用いられ、4㍍近いものも収集されている。 この資料は、我が国の石工技術のうち、瀬戸内海沿岸で盛んだった花崗岩という硬質系の石工技術の様相をよく示す典型的なものであり、地域的特色もよく示している。また、江戸時代以来の手作業の技術に加えて、明治以降の火薬の利用、機械化のなかでの手作業の様相も知ることができ、時代的特色よく示している。