国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要有形民俗文化財
主情報
名称
:
越後縮の紡織用具及び関連資料
ふりがな
:
えちごちぢみのぼうしょくようぐおよびかんれんしりょう
越後縮の紡織用具及び関連資料
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員数
:
2,098点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
年代
:
その他参考となるべき事項
:
内訳:原料調整104点 紡織980点 仕事場348点 販売171点 製品213点 信仰儀礼91点 関係文書類177点 文献14点
指定番号
:
00166
指定年月日
:
1986.03.31(昭和61.03.31)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)衣食住に用いられるもの 例えば、衣服、装身具、飲食用具、光熱用具、家具調度、住居等
指定基準2
:
(二)生産、生業に用いられるもの 例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準3
:
(三)地域的特色を示すもの
所在都道府県
:
新潟県
所在地
:
十日町市西本町1
保管施設の名称
:
十日町市博物館
所有者名
:
十日町市
管理団体・管理責任者名
:
越後縮の紡織用具及び関連資料
解説文:
詳細解説
我が国の庶民の衣料として木綿普及以前に利用されてきたものの一つに麻(大麻・苧麻【ちょま】・亜麻など)がある。越後は、このうち苧麻(カラムシ)を原料とした麻織物の産地として著名であった。
越後の麻布は、『吾妻鏡』などにも記録されるが、「縮」と呼ばれるようになるのは、寛文年間(1661~1672)以降とされる。越後縮は、苧麻の繊維を原料とした越後産の織物を総称し、新潟県の南・北・中の魚沼三郡と小千谷市・十日町市及びこの地域に隣接する東頸城・刈羽・古志の各郡を主産地とし、その原料の集積地や製品の交易地の中核が現在の南魚沼市(旧塩沢町)・小千谷市・十日町市などであった。
この資料は、十日町市を中心に中魚沼郡・南魚沼郡などから収集した越後縮の紡織用具及び関連資料で構成される。
紡織用具は、製作工程を考慮し、苧績み・撚掛け用具、整糸用具、染色用具、機織用具、仕上げ用具に分類・整理し、地域的特色のある用具も多くみられる。
関連資料には、原料の苧麻の栽培に関する用具類のほか、織手の女性の仕事着や仕事場にあった灯火・暖房用具、家事・育児用具などまで収集されている。また販売用具には、商品見本や反物の包装・格納用具、帳簿類などがある。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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越後縮の紡織用具及び関連資料
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越後縮の紡織用具及び関連資料
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解説文
我が国の庶民の衣料として木綿普及以前に利用されてきたものの一つに麻(大麻・苧麻【ちょま】・亜麻など)がある。越後は、このうち苧麻(カラムシ)を原料とした麻織物の産地として著名であった。 越後の麻布は、『吾妻鏡』などにも記録されるが、「縮」と呼ばれるようになるのは、寛文年間(1661~1672)以降とされる。越後縮は、苧麻の繊維を原料とした越後産の織物を総称し、新潟県の南・北・中の魚沼三郡と小千谷市・十日町市及びこの地域に隣接する東頸城・刈羽・古志の各郡を主産地とし、その原料の集積地や製品の交易地の中核が現在の南魚沼市(旧塩沢町)・小千谷市・十日町市などであった。 この資料は、十日町市を中心に中魚沼郡・南魚沼郡などから収集した越後縮の紡織用具及び関連資料で構成される。 紡織用具は、製作工程を考慮し、苧績み・撚掛け用具、整糸用具、染色用具、機織用具、仕上げ用具に分類・整理し、地域的特色のある用具も多くみられる。 関連資料には、原料の苧麻の栽培に関する用具類のほか、織手の女性の仕事着や仕事場にあった灯火・暖房用具、家事・育児用具などまで収集されている。また販売用具には、商品見本や反物の包装・格納用具、帳簿類などがある。
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詳細解説
我が国における庶民の衣料として木綿の普及以前に広く利用されてきたものの一つに麻(大麻・苧麻・亜麻など)があった。このうちイラクサ科の宿根性多年草の苧麻(カラムシ)を原料とした麻織物の産地として、越後・奈良・近江などは著名であった。 苧麻の繊維を素材とした越後の麻布は、『吾妻鏡』には越後布、『組々白布反数帳【くみぐみしらぬのたんすうちよう】』(寛永8年)には白布などと記録されてきたが、それが広く縮と呼ばれるようになったのは、寛文年間(1661~1672)以降のことだといわれている。 越後縮は、苧麻の繊維を原料とした越後産の織物を総称するもので、手うみにした糸に強い撚りをかけ、織布に細かいシボ(しわ)をつける点に特色があり、その絶品は上布と呼ばれている。越後縮は、新潟県の南・北・中の魚沼三郡と小千谷市・十日町市及びこの地域に隣接する東頸城・刈羽・古志郡を主な産地とし、その原料の集積地や製品の交易地の中核となってきたのが現在の南魚沼市(旧塩沢町)・小千谷市・十日町市などである。 この資料は、十日町市を中心に近接の中魚沼郡・南魚沼郡などから収集した越後縮の紡織用具及びその関連資料で構成されている。良質の原料が越後以外で生産されてきたことや十日町市が早く絹織物産地へと転換した関係などから原料調整用具の一部を会津(福島県大沼郡昭和村)から集め、現在使用されている紡織用具以外の種別のものを含めて補完にもつとめている。 紡織用具は、織布の製作工程を考慮して、糸づくりから布仕上げまでの用具類を苧績み・撚掛け用具、整糸用具、染色用具、機織用具、仕上げ用具に分類・整理している。 苧績み用具には各種のオブケ(苧桶)類が用いられ、撚掛け用具にはミズトウス(水通し)・ツム(紡錘車)などがある。 整糸用具には経糸や緯糸を巻きとるワク類や雪さらし用のユミ(弓形の用具)など地域的特色のある用具も少なくない。 染色用具にはコウヤ(紺屋)が使った藍がめ・しぼり棒などや絣糸用の定規類などがある。 機織用具にはイザリバタと呼ばれる織機類をはじめ、経糸の長さなどを測るヘダイや緯糸のクダ巻き用のイトグルマ、織機の附属用具としてのチキリ・アヤボウ・オサ・ヒなどが巨細に収集されており、経糸を張るために取り付けるシマキにはケヤキ皮製のものもある。 仕上げ用具には、シボをつけるために足踏み・湯もみするためのユブネなどが収められている。 また、縮の関連資料として、その原料である苧麻の栽培に関する用具類や青苧に精製するためのオヒキガネなどのほか、織手となった女性の仕事着や仕事場にあった灯火・暖房用具、家事・育児用具などまで収められている。籾糠を落として灯火としたヌカオトシ、火影を映して灯火代わりにしたアカリショウジなどには生活の知恵がにじんでいる。 また販売用具には、商品見本や反物の包装・格納用具、常時店頭におかれてあった売買関係の用具類、青苧・縮などの取引関係をしめす帳簿類などが収集されている。 縮の製品では、反物をはじめ着物として仕立てられたカタビラ・モンツキなどや織布・青苧の利用品を収めている。信仰・儀礼用具では機織り・苧績みなどの上達を祈願してのカミフダ(神札)・ホウノウバタ(奉納幡)、織り初めや織りあげに贈答品を入れるのに使用したミマイビツなどがある。 その他、縮・青苧関係の文書類、挿絵を添えて越後縮の縮布工程を克明に記した金子千秋著『越能山都登』(寛政12年)、縮をとりまく自然と人々のくらしを詳述する鈴木牧之著『北越雪譜』(天保6~7年初版本全7巻)なども貴重なものである。 十日町市が所蔵する越後縮の紡織用具及び関連資料は、相互に補いあい、越後縮の工程・技術を知る上で貴重な内容となっているにとどまらず、越後縮の生産、生業にかかわる人々の生活を細部にわたって理解することができる資料としても重要であり、さらには他地域における紡織用具の集成のための参考となることなど価値の高いものである。