国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
岩槻の古式土俵入り
ふりがな
:
いわつきのこしきどひょういり
岩槻の古式土俵入り
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
人生・儀礼
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年10月21日に近い日(釣上)、2年毎の敬老の日の前日(笹久保)(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
指定証書番号
:
402・403
指定年月日
:
2005.02.21(平成17.02.21)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
埼玉県
所在地
:
保護団体名
:
釣上の子ども相撲土俵入り保存会、笹久保の古式子ども土俵入り保存会
岩槻の古式土俵入り
解説文:
詳細解説
岩槻の古式土俵入りは、旧岩槻市大字釣上と大字笹久保で行われる子どもの健やかな成長を祈願する行事である。釣上では毎年10月21日に近い日曜日に、幼稚園児から小学校6年生までの地区内の下組を中心にした男児によって、笹久保では隔年で敬老の日の前日に、幼稚園児から小学校6年生までの男児によって行われる。行司に作法に続いて、子どもたちが一定の形式で土俵入りを行い、ヤッコという歩き方で退場する。
この行事は、男児が組み合って相撲をとることはなく、様式化された土俵入りだけが行われるところに特色がある。祭りの中で子どもや大人が相撲を行うことや、子どもの無事成長を祈願して相撲を行うことは広くみられるが、子どもだけが行う土俵入りは、埼玉県内ではこの二地区だけに伝承されており、地域的特色をよく示すものである。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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岩槻の古式土俵入り
岩槻の古式土俵入り 釣上
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岩槻の古式土俵入り
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岩槻の古式土俵入り 釣上
解説文
岩槻の古式土俵入りは、旧岩槻市大字釣上と大字笹久保で行われる子どもの健やかな成長を祈願する行事である。釣上では毎年10月21日に近い日曜日に、幼稚園児から小学校6年生までの地区内の下組を中心にした男児によって、笹久保では隔年で敬老の日の前日に、幼稚園児から小学校6年生までの男児によって行われる。行司に作法に続いて、子どもたちが一定の形式で土俵入りを行い、ヤッコという歩き方で退場する。 この行事は、男児が組み合って相撲をとることはなく、様式化された土俵入りだけが行われるところに特色がある。祭りの中で子どもや大人が相撲を行うことや、子どもの無事成長を祈願して相撲を行うことは広くみられるが、子どもだけが行う土俵入りは、埼玉県内ではこの二地区だけに伝承されており、地域的特色をよく示すものである。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
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詳細解説
この行事は、旧岩槻市大字釣上と大字笹久保で行われる子どもの健やかな成長を祈願する行事である。釣上では毎年10月21日に近い日曜日、笹久保では隔年で敬老の日の前日に行われている。 土俵入りは、釣上では幼稚園児から小学校6年生までの地区内の下組を中心にした男児によって、笹久保でも幼稚園児から小学校6年生までの男児によって行われている。 岩槻市は、埼玉県南東部に位置する。釣上は旧岩槻市最南部の元荒川と綾瀬川に挟まれた地域であり、笹久保は旧岩槻市南部の綾瀬川左岸にある地域である。 釣上の古式土俵入りは、地区の氏神である神明社の秋祭りに奉納される行事で、子どものことを「まさご」ともいうことから「まさご土俵入り」とも呼ばれてきた。釣上は、釣上上組、釣上下組、釣上新田、釣上新田南の4地区に分かれ、神明社には各組5人ずつの氏子総代がおり、氏子総代会によって行事が運営されている。土俵入りを行う子どもは宮本といわれる釣上下組の子どもが中心で、下組では長男が生まれるとすぐ土俵入りに使う化粧まわしを作れといわれていた。土俵入りに参加する子どもは年齢順に最年長者3人がサンヤクと呼ばれ、それに次の年長の者を加えた4人が便宜上四人組と呼ばれる。さらに年少組と年長組というように全体を2つに分けていうこともある。ほかに行司1人、副行司1人、金棒曳き2人と氏子総代などの大人が参加する。このうち行司は釣上下組の青年が回り番で2、3年間ずつ務めることになっている。 祭り当日、子どもたちは神社近くの行司宿と呼ばれる家に集まり、褌を締めた上に化粧まわしを付けて支度をし、ここから神社まで行列を組んで行く。子どもたちは赤い襦袢を羽織り、副行司、金棒曳き、氏子総代、行司とともに一列になって行く。神明社に着くと子どもたちは土俵を囲むように並ぶ。土俵上の祭壇前で宮司が拝むと、行司が土俵の東西南北で神酒を注ぎ、続いて祭壇が片付けられ土俵中央に盛られた砂を東西南北に崩すと子どもたちが羽織っていた赤い襦袢を脱いで年少組の土俵入りが始まる。 行司の先導でヤッコを踏みながら土俵に入り、蹲踞してのシキリ、足踏みしながら両手でそれぞれの膝をたたく等の所作を繰り返した後、行司を土俵上に残してヤッコを踏みながら退場する。ヤッコを踏むとは、片手を後ろにまわし一足ごとに左右の手の位置を交互に変えていく歩き方である。次は年長組の土俵入りで、年少組と同じ所作を繰り返し退場する。この後にサンヤクの土俵入りが行われる。サンヤクは1人ずつ入場し3人が揃うとシコなどの所作を行い、最後に入場したときとは逆の順に退場する。これが済むと行司が祭文を唱えながら土俵を右回りに4周し、終わると年長者の四人組が土俵に入って中央に進み、向き合って右手を額にかざすなどの所作を行った後、退場する。土俵上での行事がすべて終了すると子どもたちは赤い襦袢を羽織り行司を先頭にヤッコを踏みながら退場する。 笹久保の古式土俵入りは隔年の敬老の日の前日に、地区の氏神である八幡神社の例大祭に奉納される行事で、笹久保の古式子ども土俵入り保存会によって運営されている。この保存会は自治会の正・副会長と会計の3人、笹久保の上下2つの組から3人ずつ選ばれる氏子総代、それに笹久保古式子ども土俵入り保存会の指導員10人で構成されている。力士は笹久保内の男児が務め、年齢順に3つの役に分かれている。年長の3人が亀能と呼ばれ白のまわし、次の年齢の8人が手合と呼ばれ紫のまわし、その他の子どもたちは子役と呼ばれ赤のまわしを付ける。祭り当日の午後、区の公民館に子どもたちが集まり、まわしと化粧まわしを付け赤い襦袢を羽織るなどの準備をし、八幡神社まで行列を組んで行く。行列には子どもたちのほかに金棒曳き、拍子木、氏子総代、正・副自治会長、行司、指導員などが加わる。金棒曳きと拍子木は大人のほかに亀能を務め終わった中学生も務める。 行列が神社に着くと拝殿前で宮司のお祓いを受けた後、土俵に向かう。子どもたちは土俵下で羽織っていた赤い襦袢を脱ぎ捨て、土俵の周囲に蹲踞して待機する。土俵には祭壇が設けられ、宮司の祈祷、氏子総代などの玉串奉奠が行われた後、土俵入りが始まる。まず、子役が行司に先導されてヤッコを踏みながら土俵に上がる。ヤッコの踏み方は釣上と同様である。土俵に上がると本殿を向いて中央に蹲踞し、両手でシバ切りをした後、シコを踏むなどの所作を行う。これが済むと行司を先頭にヤッコを踏みながら東から退場する。 この行事は、子どもが行う相撲行事であり、埼玉県内では同種の行事の存在が知られていない。他に類例の少ない特色ある行事である。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)