国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
会津の御田植祭
ふりがな
:
あいずのおたうえまつり
会津の御田植祭(会津美里町)
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
公開期日:喜多方市・毎年7月2日(ただし閏年は7月1日)
会津美里町・毎年7月12日
(指定当時:お出かけの際は該当の市町村教育委員会に問い合わせください)
※本件は平成27年3月2日に記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。
指定証書番号
:
505・506
指定年月日
:
2019.03.28(平成31.03.28)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
福島県
所在地
:
保護団体名
:
喜多方市:慶徳稲荷神社お田植まつり保存会
会津美里町:御田植祭祭典委員会
会津の御田植祭(会津美里町)
解説文:
詳細解説
本件は,喜多方市慶徳町の稲荷神社と会津美里町の伊佐須美神社に伝承されてきた田植行事で,神田の畦に特色ある人形を立て,早乙女が田植歌に合わせて儀礼的な田植えを行い,その年の豊作を祈願するものである。会津地方では,この日までに田植えを終えると豊作になるといわれてきた。
行事は,神社から神田まで神輿が渡御し,神田で田植えが行われた後,神輿が神社に還御するのを基本的な流れとする。神輿は,渡御する際に氏子域を巡るが,これに田植えを行う早乙女やデコなどと呼ばれる田植人形,田植歌の歌い手などが付き従う。一行が神田に着くと,神輿が神田に向けて安置され,デコが畦に立てられ,早乙女が横一列になって田植え歌に合わせて苗を丁寧に植えていく。
稲荷神社では,神輿の渡御に,農具の模型を持って白狐の面をつけた子供たちが加わり,田植えの際に神田に苗を投げ入れる。また,伊佐須美神社では,獅子頭を手にした子供たちが神輿の渡御に先立って神田まで行き,田アラシと称して素足で神田に入って代掻きをする。(解説は指定当時のものです)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
会津の御田植祭(会津美里町)
会津の御田植祭(会津美里町)
会津の御田植祭(会津美里町)
会津の御田植祭(喜多方市)
会津の御田植祭(喜多方市)
会津の御田植祭(喜多方市)
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会津の御田植祭(会津美里町)
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会津の御田植祭(会津美里町)
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会津の御田植祭(喜多方市)
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会津の御田植祭(喜多方市)
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会津の御田植祭(喜多方市)
解説文
本件は,喜多方市慶徳町の稲荷神社と会津美里町の伊佐須美神社に伝承されてきた田植行事で,神田の畦に特色ある人形を立て,早乙女が田植歌に合わせて儀礼的な田植えを行い,その年の豊作を祈願するものである。会津地方では,この日までに田植えを終えると豊作になるといわれてきた。 行事は,神社から神田まで神輿が渡御し,神田で田植えが行われた後,神輿が神社に還御するのを基本的な流れとする。神輿は,渡御する際に氏子域を巡るが,これに田植えを行う早乙女やデコなどと呼ばれる田植人形,田植歌の歌い手などが付き従う。一行が神田に着くと,神輿が神田に向けて安置され,デコが畦に立てられ,早乙女が横一列になって田植え歌に合わせて苗を丁寧に植えていく。 稲荷神社では,神輿の渡御に,農具の模型を持って白狐の面をつけた子供たちが加わり,田植えの際に神田に苗を投げ入れる。また,伊佐須美神社では,獅子頭を手にした子供たちが神輿の渡御に先立って神田まで行き,田アラシと称して素足で神田に入って代掻きをする。(解説は指定当時のものです)
詳細解説▶
詳細解説
会津の御田植祭は、喜多方市慶徳町と会津美里町高田に伝承される豊作を祈願する行事で、神輿が神社から神田へ渡御した際、神田の畦に田植人形を立てて早乙女が田植歌に合わせて儀礼的な田植えを行うものである。 慶徳町は、会津盆地北部に位置する農村で、御田植祭は、稲荷神社の例大祭の翌日、この地域で田植え終了の節目とされる半夏生の毎年7月2日(閏年は7月1日)に、社殿から約130m東にある神田で行われる。 稲荷神社は、慶徳町の豊岡、中江、堀出の3地区の氏神で、後三年の役の折に源義家が勧請したと伝えられる。御田植祭は、明応年間(1492~1501)、この地の地頭であったといわれる平田石見守が神田を寄進して始まったと伝えられる。その後一時的に衰退したともいわれるが、会津藩の庇護もあって天保5年(1834)に再興され、以後この御田植祭の日までに田植えを済ますと豊作になるといわれて、行事当日は会津一円はもとより、遠く新潟県東蒲原郡などからも田植えを終えた人々の参詣があった。 行事の前日は、稲荷神社の例大祭にあたる。社殿で神職の祈祷や氏子による田植歌の奉納があり、神輿が中江と堀出の2地区を巡幸する。 行事の当日は、午前中に氏子がデコと呼ばれる人形を境内に立てる。デコは、藁の芯に浴衣などを着せて笠を被らせた、高さ約90㎝の上半身のみの人形で、手には苗を持たせることも多く、底部に持ち手となる棒と傘状の布が付く。天保年間(1830~1844)に氏子域の富裕な家10軒が1体ずつ作ったものと伝えられ、早乙女4体、苗取り爺3体、苗打ち人1体の3種計8体が現存する。デコを所有する家は、早朝からデコを自家の床の間などに飾り付けて供物をあげ、頃合いをみて境内に運ぶ。また、稲荷神社の境内では朝から虫札と呼ぶ御札も頒布され、これを買って自家の田の水口に立てると虫除けや豊作になるといわれる。 午後になると、社殿で神職の祈祷、氏子による田植歌や早乙女踊りの奉納があり、神輿が豊岡地区を巡幸して神田まで渡御する。この巡幸にはデコをもつ人、田植えをする早乙女、田植歌の歌い手である歌唱、白狐などの諸役が付き従い、最後尾に篠笛と太鼓の囃子、太鼓を載せた太鼓台と称する四輪の山車が付く。白狐は、狐の面をつけて白装束を着た7名ほどの子供たちで、神の使いともいわれ、農具の模型や苗を入れた籠を持つ。 やがて豊岡地区を巡幸した神輿が神田に着くと、デコが畦に立てられ、神職の祈祷が行われる。次いで囃子と田植歌に合わせて、白狐が苗を神田に投げ入れ、5人ほどの早乙女が横一列になって前進して田植えをする。なお、この間、デコの前の畦では女子による早乙女踊りもある。田植えが終わると、神輿は還御し、拝殿で再び神職の祈祷と歌唱による田植歌の奉納があって行事が終了する。 会津美里町高田は、会津盆地南西部に位置する農村で、御田植祭は、毎年7月12日に伊佐須美神社の神田で行われる。伊佐須美神社は、高田の氏神で、奥州二の宮、あるいは会津開拓の祖神を祀った会津総鎮守ともいわれる。御田植祭の起源は詳らかではないが、古くから会津一円に知られ、かつてはこの地域の田植えの進捗をみて旧暦5月下旬から6月初旬頃に行われていたともいわれ、御田植祭の日までに田植えを済ますと豊作になるとして、この地域の田植えじまいの目安ともなってきた。 行事の前日は、氏子がデコサマなどと呼ばれる人形を準備する。デコサマは、早乙女7体、翁2体、ひょっとこ2体の3種計11体が現存する。竹籠に和紙を貼った胴に野良着などを着せて笠を被せた、高さ約90㎝の上半身のみの人形で、手には鍬や苗を持たせる。その起源は定かではないが、後述の獅子頭とともに『新編会津風土記』(1803~1809成立)にも記載される。やがて夕刻になると、社殿で大祓式と称する祈祷があり、境内では茅の輪くぐりも行われる。これに合わせて上町、中町、下町の3地区の青年会がそれぞれ太鼓台3基を曳き出して神社の境内まで巡行し、茅の輪をくぐって神職の祈祷を受ける。 行事の当日は、朝から伊佐須美神社の境内で虫札が頒布され、これを田の水口に立てると虫除けになるとされる。また、早朝、古くに神田があったと伝えられる古御田神社で神職の祈祷がある。次いで伊佐須美神社でも祈祷があり、境内に集合した子供たちに獅子頭が授けられる。獅子頭は、獅子2頭、馬3頭、牛2頭、鹿1頭の計8頭で、年長の男子が1頭ずつ抱え、他の子供たちは獅子頭から延びた紅白の綱を持って後方に続く。獅子頭を奉じた子供たちは、獅子追いと称して社殿を出て神田に向かう。途中、悪魔祓いと称して土足で数軒の家に入り、裏口から表口に抜ける。やがて伊佐須美神社から約1㎞離れた御田神社に着くと、境内にある御正作田と称する神田に裸足で入って左回りに3回まわって代を掻く。これを田アラシと称する。田アラシも悪魔祓いとされ、田アラシ後の御正作田に手足を浸すと病気にならないといわれる。田アラシを終えると、子供たちは伊佐須美神社に獅子頭を返す。なお、獅子追いの間、伊佐須美神社の境内では早乙女踊りもある。 獅子頭が返却されると、再び社殿で神職の祈祷があって神輿が御正作田まで渡御する。これにはデコサマをもつ人、田植えをする早乙女、催馬楽と称する田植歌を歌う人、篠笛や太鼓の囃子などの諸役が付き従う。御正作田に着くと、デコサマをもった人が裸足で御正作田に入って代を掻き、畦にデコサマを立てる。次いで、囃子と田植歌に合わせて五人ほどの早乙女が横一列になって前進して田植えをする。この時、デコサマのもつ苗も植えられる。そして境内で早乙女踊りが奉納された後、神輿が還御し、伊佐須美神社での神職の祈祷で行事は終了する。 なお、翌朝、早苗直しと称し、氏子たちが御正作田の苗を抜き、改めて苗を植え直す。この時、余った苗を持ち帰り、豊作を祈願して自家の田に植えたり、魔除けになるといって自家の玄関口に吊るしたりする家もある。 (解説は指定当時のものです)