国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
上州白久保のお茶講
ふりがな
:
じょうしゅうしらくぼのおちゃこう
上州白久保のお茶講
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
社会生活(民俗知識)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年2月24日(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
※この行事は、昭和54年12月7日に「吾妻のお茶講の習俗」として記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。
指定証書番号
:
1
指定年月日
:
1990.03.29(平成2.03.29)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
群馬県
所在地
:
保護団体名
:
白久保お茶講保存会
上州白久保のお茶講
解説文:
詳細解説
群馬県吾妻地方には「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が分布していたが、多くはすでに消滅している。そうした中で、旧吾妻郡中之条町の白久保では「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が行われている。白久保天満宮に茶を供えた後、4種の茶を飲み分けする。全正解者や全く合わない者が多い年は豊作になるといわれる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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上州白久保のお茶講
上州白久保のお茶講
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上州白久保のお茶講
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上州白久保のお茶講
解説文
群馬県吾妻地方には「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が分布していたが、多くはすでに消滅している。そうした中で、旧吾妻郡中之条町の白久保では「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が行われている。白久保天満宮に茶を供えた後、4種の茶を飲み分けする。全正解者や全く合わない者が多い年は豊作になるといわれる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
我が国には茶に関わる習俗が濃厚に伝承され、福茶・振茶など家庭内や社交の場の飲料とされたり、人生儀礼に対しての贈答品とされたりしてきた。 群馬県吾妻地方には「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が集中的に分布していたが、その多くはすでに消滅あるいは簡略化している。そうした中で、旧吾妻郡中之条町大字五反田字白久保では「お茶講」と呼ばれる茶の飲み分けを競う行事が行われている。 この行事は、寛政11年(1799)の「御茶香覚帳」に記された内容を踏襲するものであり、昭和10年代までは、節分をはさんでその前後の1月24日(秋の分)と2月24日(春の分)の年2回行われていたが、昭和20年代以降は、2月24日に、天神待ちの行事と習合する形で行われるようになっている。行事の場所も、かつては民家の回り持ちで行われていたが、昭和62年からは、特設の「お茶講の家」と呼ばれる専用の施設で行われるようになっている。 行事の準備は、当日の日中に行う。各戸から男子(大人)1人ずつが出役し、お茶講に用いる茶4種類と12包みを作るほか、連名帳、ササラ紙、分配するアメ玉などを用意する。茶は煎茶(渋茶という)、甘茶、チンピ(乾したみかんの皮)を別々に茶臼で挽いて粉にした後、それらを一定の比率で混ぜあわせて調合したものである。 この4種類(一の茶、二の茶、三の茶、客の茶という)の茶を、各種類3包みずつ、計12包みに分ける。連名帳は、半紙を用いて、表紙を付けた冊子の体裁に整えて作り、ササラ紙は半紙を4分の1の大きさに切って作る。部屋の床の間には天神様の掛軸を掛ける。また、白久保天満宮境内の掃除、同宮に納める灯籠つくりなども併せて行う。 行事は夕食後に行われ、集落内の男子全員(男児を含む)と、数え年12歳までの女子が参加する。講の係には、クミチョウ(地区長・総括)、茶坊主(点茶役1~2人)、勝(書記係1人)、叶(計算係1人)及びお茶配り(1~2人)がある。 まず、氏神である白久保天満宮から天神様をお迎えして周囲を塩払いする。次いで「客の茶」をたて、天神様に捧げて参加者一同が拝礼する。 引き続いて、4種類の茶を、各1包みずつ一の茶、二の茶、三の茶、客の茶の順にたてて参加者に配り、トヨミと称して見本に飲む。ホンチャ(本番)はそれからで、残りの4種類7包みの茶を順次1包みずつたてて参加者に配って飲み分けを行い、勝の読み上げに答える。その結果を勝が、そのつど横書き縦書き交互に「連名帳」に記入していく。開いた茶包みは、茶坊主により、ウグイスと呼ばれる竹の棒に挿す。 各回(7回行う)とも、正解者には飴玉が配られる。本番が終わるとその結果を集計し、全正解者をハナカツギ(花担ぎ)、正解4つの者をシデツポウ(四鉄砲)、正解1つの者をイチッポウ(一棒)などと称し、連名帳の該当者の氏名の上にその図柄を描いて行事を締めくくる。全正解者や全く合わない者が多い年は豊作になるといわれる。 この行事は、氏神白久保天満宮から神迎えをするとともに豊凶を占うなど飲料としての茶をめぐる習俗の典型例の1つとして重要である。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)