国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
遊佐の小正月行事
ふりがな
:
ゆざのこしょうがつぎょうじ
遊佐の小正月行事
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年1月1日(滝ノ浦)、3日(女鹿)、6日(鳥崎)(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などへご確認ください)
※この行事は、昭和54年12月7日に「遊佐のアマハゲ」として記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。
※本行事は平成30年11月29日に「来訪神仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載されている
指定証書番号
:
1
指定年月日
:
1999.12.21(平成11.12.21)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
山形県
所在地
:
飽海郡遊佐町吹浦女鹿・滝ノ浦・鳥崎
保護団体名
:
遊佐のアマハゲ保存会
遊佐の小正月行事
解説文:
詳細解説
この行事は、遊佐町の女鹿・滝ノ浦・鳥崎の3地区に伝承される小正月の行事で、アマハゲと呼ぶ来訪神が各家を訪問するほか、鳥追いやホンテ焼きなどの行事も行われる。
アマハゲは、ケンダンを着て赤鬼や青鬼などの面をつけた若者が各家を訪問して餅を配る。鳥追いは、ヨンドリ・ヨナカドリ・ヨアケドリ・アサドリの4回行われ、太鼓に合わせて鳥追い唄を歌いながら集落内をまわる。ホンテ焼きは、門松や注連縄などとともにケンダンを焼く行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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解説文
この行事は、遊佐町の女鹿・滝ノ浦・鳥崎の3地区に伝承される小正月の行事で、アマハゲと呼ぶ来訪神が各家を訪問するほか、鳥追いやホンテ焼きなどの行事も行われる。 アマハゲは、ケンダンを着て赤鬼や青鬼などの面をつけた若者が各家を訪問して餅を配る。鳥追いは、ヨンドリ・ヨナカドリ・ヨアケドリ・アサドリの4回行われ、太鼓に合わせて鳥追い唄を歌いながら集落内をまわる。ホンテ焼きは、門松や注連縄などとともにケンダンを焼く行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
山形県飽海郡遊佐町の女鹿・滝ノ浦・鳥崎地区は、鳥海山西麓の山形県と秋田県の県境に位置し、日本海岸に面した海沿いの半農半漁の集落である。女鹿には水田がない。 この地域では正月にアマハゲと呼ぶ行事が行われている。現在は滝ノ浦が1日、女鹿が3日、鳥崎が6日と別々の日に行われているが、昭和12頃までは3集落とも旧暦1月15日に行われていた。期日はその後、1月31日、1月6日と変化し、昭和50年代初めから現在の期日となった。 かつて3集落では、アマハゲ行事とともにホンテ焼きの行事と鳥追い行事も行われており、鳥崎では現在も地区の行事として行われている。 アマハゲの役は、かつては若者が務めるものであった。女鹿ではかつてワカゼという若者の組織が、現在では高校生から30歳くらいまでの青年会が務める。滝ノ浦では消防団が主体となり、鳥崎でもかつては15歳から25歳までのワカゼが務めたが、その後、消防団へと主体が移り、現在では集落を挙げての行事となっている。 アマハゲの衣装は、女鹿では赤鬼・青鬼・ジオウ(翁)・カンマグレ・ガンゴジなどの番楽面、滝ノ浦ではジジメンまたは赤鬼・青鬼というアマハゲ専用の面、鳥崎では岩倉・笠森・水壺という山の名前を付けたアマハゲ専用の面を被り、着物または下着の上にケンダンを幾重にも巻く。履き物は、黒足袋に藁沓を履いたが、現在は滝ノ浦を除いて黒足袋に下駄を履いている。ケンダンは藁を相撲のさがり状に長く編んで作ったものである。 行事当日、女鹿は白旗神社、滝ノ浦は大鳥神社、鳥崎は三上神社に夕刻前に集合し、神前に面を飾って拝礼してからケンダンを着ける。女鹿では面開きの神事も行う。 夕刻になると、女鹿・滝ノ浦では集落の下手から上手へ、鳥崎では逆に上手から下手へと各戸を訪問する。以下、平成9年の行事を例にとると、以下のとおりである。 女鹿のアマハゲは5体で、数人が交代で面をつけ家々を訪問する。ケンダンを着けた者7人、太鼓打ち1人が一団となって歩く。アマハゲは家に入ると、横一列に並んで神棚を拝み、家長と新年の祝いを交わした後、身体を揺すりながら「ウオー、ウオー」と声をあげ子ども・娘・嫁・婿などを威嚇し、太鼓の音を合図に終わる。その後、嫁が酒の酌をして接待し、餅を2個渡すと、アマハゲはその1つを受け取り、残り1つを護符として家に残す。 滝ノ浦のアマハゲは2体で、太鼓打ち1人、鈴振り1人、籠持ち1人、アマハゲの身の回りの世話をするもの数人が一団となって一切無言で各家に向かう。家の入り口で入り太鼓を打った後、アマハゲだけが家に入る。太鼓打ちが太鼓を連打すると、アマハゲはこれに合わせて左右の足を強く踏みしめながら座敷に入り、供えられた餅を見えないように素早く懐にする。その後、子ども・娘・嫁・婿などを威嚇したり、年寄りには肩を叩いたり腰を揉んだりして、戻り太鼓の音を合図に引き上げる。 鳥崎のアマハゲは3体で、ケンダンを着た10人が交代で務め、他に太鼓打ち1人、鈴振り1人が加わる。家に着くと、太鼓打ち・鈴振りは入り口で太鼓、鈴を打ち鳴らし、アマハゲは年頭の祝いを述べるなどする。各家では酒食でもてなし、丸餅2個を差し出す。最初の家では1個を残し、2軒目以降は全部受け取って袋に入れ、よその家の餅1個を渡す。 3集落ともケンダンの藁屑をコモジといって神聖視し、女鹿では福の神といって神棚に供え、滝ノ浦ではたくさん落ちると五穀豊穣になるという。鳥崎では堆肥塚に乗せたり年寄りに与えたりもする。 鳥追いは、ヨンドリ・ヨナカドリ・ヨアケドリ・アサドリの4回行われる。このうちヨンドリはアマハゲのすぐ後に続いてまわる。滝ノ浦ではヨンドリとヨアケドリは青年が、ヨナカドリとアサドリは子ども組が行ったという。現在行われている鳥崎では子どもたちの行事で、太鼓に合わせて鳥追い唄を歌いながら集落内をまわっている。 ホンテ焼きは、女鹿では以前は子どもたち、現在は青年達が門松や注連縄とともにケンダンを焼いている。滝ノ浦では家ごとに行っており、鳥崎では子どもたちが上ノ山のホンテ焼き場で門松・古札類とケンダンを焼いている。 遊佐のアマハゲは、男鹿のナマハゲなどと同系統の小正月の来訪神の行事であるが、包丁などは持たず、新年の祝福と豊作を約束して護符の餅をやりとりするなどの特色を有しており、滝ノ浦のように無言で独特の所作を行うなどの地域的特色も有している。また、来訪神と鳥追い・ホンテ焼きなどが組み合わされて伝承されている点でも小正月行事の典型的なものとして重要である。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)