国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
河内祭の御舟行事
ふりがな
:
こうちまつりのみふねぎょうじ
河内祭の御舟行事
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年7月第四土・日曜日(※お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
※この行事は、昭和53年1月25日に古座の御舟祭として記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。
指定証書番号
:
1
指定年月日
:
1999.12.21(平成11.12.21)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
和歌山県
所在地
:
保護団体名
:
古座川河内祭保存会、古座獅子舞保存会
河内祭の御舟行事
解説文:
詳細解説
この行事は、古座町の古座区・古田区と古座川町の高池下部区・宇津木区・月野瀬区の5地区が、古座川河口の岩島をご神体とする河内大明神を祀るもので、7月24・25日に行われる。豪華に飾り付けた御舟、当舟が河内様に参拝するほか、櫂伝馬競争や獅子舞なども行われる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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河内祭の御舟行事
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河内祭の御舟行事
解説文
この行事は、古座町の古座区・古田区と古座川町の高池下部区・宇津木区・月野瀬区の5地区が、古座川河口の岩島をご神体とする河内大明神を祀るもので、7月24・25日に行われる。豪華に飾り付けた御舟、当舟が河内様に参拝するほか、櫂伝馬競争や獅子舞なども行われる。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
我が国には、各地に神幸行事に際して、神霊の乗り物または風流の作り物として実物の船や模型の船、船型の山車などを曳きまわす行事が数多く見られる。これらの祭りにはきらびやかに飾った船の巡行と御船唄などの芸能を伴うものも多い。 熊野灘に注ぐ古座川で行われる河内祭の御船行事もその一つである。この行事は、古座町の古座区・古田区と古座川町の高池下部区・宇津木区・月野瀬区の5地区が、河口近くの岩島をご神体とする河内大明神を祀るもので、7月24・25日に行われる。古座区は、江戸時代には紀州藩の鯨方役所が置かれるなど漁業を中心とする地域であり、他の4地区は林業や農業などを生業とする地域であった。 河内大明神は、一般に河内様と呼ばれ、祭神は素戔鳴尊であると信じられている。 祭りは5地区のうちの特に古座区の行事を中心に行われる。 古座区では区長が祭典委員長を務め、オキノヒト・オキノショウバイとも呼ばれる漁家の青年の組織する勇進会が御舟を担当する。その一方、オカノヒト・オカノショウバイと呼ばれる漁家以外の青年は、青年会に組織されて獅子舞を担当し、網代網漁の指揮をする船頭は、当舟の責任者を務める。このほか、勇進会退会者の有志が河内会を組織し御船唄を担当するとともに、青年会退会者有志は獅子舞保存会を組織し、獅子舞の指導にあたっている。 なお、古座区以外の4地区では区ごとに7、8軒が1組となって当屋を務め、高池下部では芳流館互盟社という青年会、古田では青年クラブの組織が獅子舞を担当する。 23日昼過ぎに勇進会の手により御舟へ化粧杉が取り付けられ、夕方にはショウロウの宮入と獅子の宮入が行われる。ショウロウは男児2人と女児1人で、背負われて宮入をする。網代の船頭が選び、古くは7歳の子どもであったが、現在は小学2、3年生が務める。両親の健在な漁師の子どもが選ばれ、これを務めると身体が丈夫になるといわれた。 この日、区内に辻屋台を設置し、かつては一般家庭でも潮汲みと注連掛けを行った。 24日早朝には、御舟・当舟の飾り付けが行われる。御舟行事に使用される舟は、御舟・当舟・獅子伝馬・櫂伝馬があり、それぞれ祭り専用の舟がある。このうち御舟・櫂伝馬は、古座区だけが持ち、獅子伝馬・当舟は古座区と高池下部が持っている。古座区の御舟・櫂伝馬は各3艘ずつあり、区内を上・中・下の3つに分けてそれぞれ御舟の宿を設け、1艘ずつを受け持つ。当舟・獅子伝馬は、区全体でそれぞれ1艘である。 御舟の飾りは、舟の左右に3枚ずつ陣幕を張り、水押しに水引を付け、化粧杉を飾った箱形の木枠全体を水引幕で覆う。艫には河内大明神と書かれた大幟と五色の吹き流しを斜めに立てる。舳先から鉾、幟、提灯、楯・纏・軍旗・長刀・弓矢等を飾り立て、艫に色紙で飾られたモチマエダケを立てる。これらは舟の前後に扇形に開くように飾るという。御舟の舳先の図柄と色は、上の御舟は桜と黄色、中の御舟は菊と青色、下の御舟は牡丹と赤色である。当舟は舳先に御幣を立て、艫に樫の木と竹を七・五・三に組み、吹き流しを2本立て、全体に屋形を付ける。 河内様の古田側の川原では5地区がそれぞれの座と祭壇およびショウロウ屋台を設営する。座は下流から古座・高池下部・古田・月野瀬と並び、宇津木の座だけ対岸に設けられる。 午後2時頃、古座区にある古座神社から河内大明神の神額が御舟に遷され、御舟が河内様に向かう。御舟の順番は毎年順送りとなり、いったん海上に出て左に旋回してから川上に向かう。このとき、初めて御船唄が歌われる。途中、橋にさしかかると神額は舟から降ろされて陸路橋を越え、再び舟に遷される。神額の上を越させないためである。 3艘の御舟は河内様に到着次第、次々に島に登って参拝する。一方、古座区の河口付近では中学生の漕ぎ手によって櫂伝馬競争が行われる。 この夜、古座神社では宵宮の祭式が行われ、河内様では御舟が順番に島を右回りに3周し、夜籠りが行われる。かつては、川原で夜を明かしたが現在ではいったん帰宅している。この日、古座区の獅子舞は区内の家を回り、高池下部・古田の獅子は河内様の古田側の川原で舞った後、区内の家をまわる。 25日は本祭で、狩衣姿のショウロウと祭典委員長などを乗せた当舟を先頭に、獅子を乗せた獅子伝馬、櫂伝馬が続き、その後に一般参加者の舟が続いて河内様に向かう。このときもショウロウは地面に足をつけず、神額同様橋を陸路で越える。当舟が河内様に到着するとショウロウを除く全員が島に登り参拝をする。その後、川原に移りショウロウはショウロウ座に着座する。この座はかつては榊と竹で組み毎年造り替えるものであった。(※解説は指定当時のものをもとにしています)