国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
見島のカセドリ
ふりがな
:
みしまのかせどり
見島のカセドリ
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日;毎年2月第二土曜日(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
※本行事は平成30年11月29日に「来訪神仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載されている
指定証書番号
:
1
指定年月日
:
2002.02.20(平成14.02.20)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
佐賀県
所在地
:
保護団体名
:
加勢鳥保存会
見島のカセドリ
解説文:
詳細解説
見島のカセドリは、佐賀市蓮池町の見島地区で行われている小正月の来訪神の行事で、笠を被り、藁蓑をつけたカセドリと呼ばれる青年2人が、夜に地区内の家々を順番に訪れる。カセドリは、玄関口から勢いよく家の中に飛び込むと、手に持った青竹を激しく畳や床に打ち付けて悪霊を祓い、その年の家内安全や五穀豊穣を祈願する。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
見島のカセドリ
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見島のカセドリ
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見島のカセドリ
解説文
見島のカセドリは、佐賀市蓮池町の見島地区で行われている小正月の来訪神の行事で、笠を被り、藁蓑をつけたカセドリと呼ばれる青年2人が、夜に地区内の家々を順番に訪れる。カセドリは、玄関口から勢いよく家の中に飛び込むと、手に持った青竹を激しく畳や床に打ち付けて悪霊を祓い、その年の家内安全や五穀豊穣を祈願する。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
見島のカセドリは、佐賀県佐賀市蓮池町の見島地区で行われている小正月の行事で、笠を被り、藁蓑をつけたカセドリと呼ばれる青年2人が、夜に地区内の家々を順番に訪れ、手に持った青竹を激しく畳や床に打ち付けて悪霊を祓い、その年の家内安全や五穀豊穣を祈願する行事である。 蓮池町は、佐賀市東南部、佐賀江川や城原川などが流れる、日本有数の農業地帯である佐賀平野の中央部に位置する。蓮池町一帯は、かつては有明海の干拓地であったが、寛永16年(1639)に佐賀藩の三支藩の1つである蓮池藩が成立し、初代藩主の鍋島直澄によって蓮池城が整備されたのに伴って開墾が進められ、城下町として栄えるようになった。しかし、当時は井戸水に海水が混じり、夏になると疫病が絶えなかったことから、藩主の直澄が紀州の熊野三所権現を勧請して熊野権現社を建立し、当地の鎮守として祀ったところ疫病が途絶えたという。そして、これを機に、より一層の加護を祈念して始められたのが、このカセドリ行事であると伝えられている。 毎年旧暦1月14日に行われてきたが、現在は、2月第二土曜日の夜に行われている。 カセドリ行事は、見島地区の人たちから構成される加勢鳥保存会によって伝承されている。カセドリは、神の使いとされる雌雄つがいの鳥で、加勢鳥と表記されている。カセドリ役は、雄役と雌役のそれぞれ1名が、地区内に住む20歳前後の未婚の青年から選ばれる。カセドリは、雌雄とも、藁蓑を身につけ、頭には目と鼻と口だけを出して白手拭いを巻き、その上から笠を被った姿をとり、手足には、手甲、脚絆、白足袋をつける。そして、手には、長さ2㍍ほどの青竹を持つ。この青竹は、下半分を縦に細かく割り裂いて、その上部に縄を2か所巻き付けて握る部分を作ったもので、たたきつけるとガシャ、ガシャという音が出るようになっている。 カセドリのほかには、提灯持ち、天狗持ち、御幣持ち、籠担いなどの役割がある。これらの役も地区内に住む若者から選ばれ、御幣持ちは1名、その他は各2名ずつとなる。提灯持ちは、夜道の先頭を歩いて一行を先導する役目で、青年層の中でもカセドリ役を経験した比較的年長者がその役につくことから、指導長とも呼ばれている。天狗持ちは、赤と青の一対の天狗面、御幣持ちは、幣束をそれぞれ持つ役目で、籠担いは、各家を訪問したときにもらう祝儀や各家に渡す大福帳を入れておく籠を棒に渡して担いで運ぶ役目である。 こうした諸役の選出やカセドリが持つ道具類の製作などの準備は、年が明けた1月中に行われる。カセドリに選ばれた2人の青年は、行事の1週間ほど前になると、地区の年輩者たちの指導のもとに、竹を打ち鳴らす所作などの練習を始める。 行事の当日は、夕方から、藁蓑や笠などの衣装類や御幣、天狗面などの道具が供え置かれている熊野権現社に一同で参り、それらを受けて身につけた後、行事が始まる。カセドリ役の2人は、熊野権現社の鳥居の外で待機し、拝殿の前にいる提灯持ちの合図で、雄役、次いで雌役の順で、割れた青竹の先を地面に擦りつけながら拝殿内に走り込む。そして、カセドリは顔を伏せて屈んだ姿勢をとると、青竹を拝殿の畳の上に小刻みに激しく打ち付けて鳴らす。これは鳥が飛び立つときの羽音を表現しているとも、またこの音で悪霊を退散させるともいわれている。 その後、提灯持ちの合図で拝殿から出たカセドリ役は、青竹の先を地面に擦りながら小走りに熊野権現社の周囲を右回りに3周し、最後に再び拝殿内へ駆け上がって青竹を打ち鳴らす。この熊野権現社での儀礼が終了すると、地区内の各家を訪問するため、提灯持ち、カセドリ、天狗持ち、御幣持ち、籠担いの順で行列をつくって神社を出発する。 見島地区は、23の戸数があり、1年交替で東回り、西回りとカセドリの一行が家々を巡る順番を決めている。カセドリは、この道中、青竹を地面に引きずって音を立てながら暗い夜道を歩いていき、各家を巡る間は無言で通す。そして、カセドリの一行は、屋敷内に入ると、まず提灯持ちの1人がその家の主人に挨拶に行き、カセドリの到着を伝える。天狗持ち、御幣持ち、籠担いは、屋敷の庭で待機している。その家の者が全員揃い、用意が整うと、提灯持ちが玄関口で合図をし、カセドリ役が雄役、雌役の順で、青竹の先を地面に擦りつけながら家内に勢いよく走り込む。かつては、土間から座敷に上がり込むことが多かったが、近年は玄関口から飛び込んで、上がりかまちで青竹を打ち鳴らすことが多くなっている。しばらく青竹を鳴らすと、ころあいをみてその家の者が酒や茶などをカセドリに振る舞う。カセドリは終始体を屈めたままで応じる(カセドリの顔をみると幸運を授かるという)。最後に青竹を打ち鳴らして外に出ると、提灯持ちが祝儀をもらい、大福帳を渡す。全戸をまわると神社に戻り拝殿で青竹を打ち鳴らして終了する。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)