国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
吉浜のスネカ
ふりがな
:
よしはまのすねか
吉浜のスネカ
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年1月15日(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
※本行事は平成30年11月29日に「来訪神仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載されている
指定証書番号
:
392
指定年月日
:
2004.02.06(平成16.02.06)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
岩手県
所在地
:
大船渡市三陸町吉浜
保護団体名
:
吉浜スネカ保存会
吉浜のスネカ
解説文:
詳細解説
吉浜のスネカは、岩手県大船渡市三陸町の吉浜地区に伝承されている来訪神の行事で、奇怪な面を着け、藁蓑などをまとったスネカと呼ばれる異装の者が小正月の夜に地区内の家々を訪れて、怠け者や泣く子を戒める行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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吉浜のスネカ
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吉浜のスネカ
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吉浜のスネカ
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吉浜のスネカは、岩手県大船渡市三陸町の吉浜地区に伝承されている来訪神の行事で、奇怪な面を着け、藁蓑などをまとったスネカと呼ばれる異装の者が小正月の夜に地区内の家々を訪れて、怠け者や泣く子を戒める行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
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詳細解説
吉浜のスネカは、岩手県大船渡市三陸町の吉浜地区に伝承されている来訪神の行事で、奇怪な面を着け、藁蓑などをまとったスネカと呼ばれる異装の者が小正月の夜に地区内の家々を訪れて、怠け者や泣く子を戒める行事である。 スネカとは、囲炉裏のそばで怠けている者の脛にできるヒガタ(火班)を剥ぐ行為を指すスネカワタグリ(脛皮たぐり)に由来するといわれている。 三陸町は、岩手県の沿岸部、リアス式海岸で有名な三陸海岸の南部に位置する。スネカが伝承されている吉浜地区は、町域の北部にあり、東は吉浜湾に面し、西は山岳が海岸まで迫る地勢で、その間に集落が展開している。生業は半農半漁で、日本屈指のアワビの産地として知られるなど古くから漁業が盛んであり、また、畑作を中心とした農業も行われてきた。 スネカは、吉浜地区の中でも農業への依存度が高かった本郷と呼ばれる地区の西側に位置する増館、大野、上通、中通、下通、後山の各集落に伝承されてきた行事と伝えられている。現在は、吉浜スネカ保存会を中心に、扇洞、根白東、根白西、千歳の各集落も含めた地区全体の行事として行われている。 行事の期日は、昭和30年代までは旧暦1月15日に行っていたが、昭和40年代に入ると新暦で行うようになり、現在に至っている。 スネカとは、奇怪なもの、得体の知れないものであり、小正月の夜に山から里にやって来るものと考えられている。また、スネカは精霊であるともいわれ、里に春を告げ、その年の五穀豊穣や豊漁を人びとにもたらす存在とも考えられている。 スネカ役になれるのは地区内の男性に限られ、専ら青年層から中年層にかけての男性たちがスネカに扮して行事を伝えてきた。かつては、集落ごとに各家の男性がそれぞれの家で自ら扮装してスネカとなり、近隣の家々を回るかたちで行われており、1つの集落内で数多くのスネカが登場したといわれている。現在は、保存会がスネカ役になりたい有志の男性たちを地区内から募るなどして調整を図り、集落ごとに数名のスネカを割り当てて行事を行っている。また、近年は、子どもスネカと称して、小学生もスネカに扮して行事に参加している。 スネカ役は、鬼とも獅子とも、龍ともつかないような奇怪な面を着ける。面は、木製で、鼻が大きく突き出た馬面と呼ばれる面と平べったい面の2種類があり、原則的に各自が製作するもので、その家に古くから伝わる古い面を使用している者もいる。上半身には藁蓑や毛皮、手足には手甲とハバキを着け、ユズケと呼ばれる雪沓を履く。手にはキリハと呼ばれる小刀を持つ。腰にはアワビの殻をいくつも重ねて紐で吊り下げるが、これは鳴り物としてスネカの来訪を里人に知らせるものといわれている。背中には俵が背負われる。俵には靴が取り付けられており、これはスネカが泣く子をさらってきたことを表現している。そのほかに、干して黒くした海藻を面や体に付けたりもする。 なお、スネカが身に着ける俵は豊作、アワビは豊漁を意味しているといわれている。 行事の準備は、1月15日午後から吉浜地区の共同施設で行われる。スネカに扮する男性たちが集合して面や衣装などを身に着け、また、スネカ役の各集落への割り振りなどが決められる。このときにスネカ役を初めて経験する者には、年輩者からスネカの威嚇の仕方や歩き方などの所作が教えられる。こうして準備が整い、日が沈むのを待って行事が始められる。 夜になると、各集落ごとにスネカが一軒一軒家々を回って歩く。スネカは、訪問する家の庭先に着くとゴオッ、ゴオッと鼻を鳴らしながら玄関口に向かい、戸をガタガタと揺すったり、爪で引っ掻いたりしてから戸を開けて、腰を屈めた姿勢で家内に入る。そして、上がりかまちに足をかけたり、土間から座敷に上がり込んだりして、キリハを振り上げて威嚇をする。家々では、家族一同がスネカの訪問を待って座敷に集まっており、小さい子どもたちはスネカの恐ろしい姿を見て、泣きわめいたり、逃げ出そうとしたりする。 スネカは、家人の近くににじり寄り、「カバネヤミ(怠け者)いねえが」「泣くワラシいねえが、言うこと聞かねワラシいねえが」などと声を張り上げる。家人が「スネカ様、どっから来やした」と聞くと、スネカは、「五葉山から来た」、あるいは「天狗岩から来た」などと答え、しばらく座敷を歩き回りながら、恐ろしい形相で怠け者を捜す素振りをしたり、親に抱かれた幼児や逃げ回る子どもたちを威嚇する。家人は、「カバネヤミも、泣くワラシもいねえがら、餅あげっから帰ってけらっせん」などと言って、スネカの退散を促す。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)