国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
重要無形民俗文化財
主情報
名称
:
鳥羽の火祭り
ふりがな
:
とばのひまつり
鳥羽の火祭り
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年2月第2日曜日(※指定当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などへご確認ください)
指定証書番号
:
399
指定年月日
:
2004.02.06(平成16.02.06)
追加年月日
:
指定基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
指定基準2
:
指定基準3
:
所在都道府県、地域
:
愛知県
所在地
:
保護団体名
:
鳥羽区
鳥羽の火祭り
解説文:
詳細解説
鳥羽の火祭りは、幡豆町の鳥羽地区で行われている正月の行事で、地区内を二分し、燃え盛るスズミと呼ばれる大松明の中から「神木」と「十二縄」を取り出して神前に供える速さを競い、その勝敗や松明の燃え具合などで作柄や一年の吉凶などを占う行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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鳥羽の火祭り
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鳥羽の火祭り
解説文
鳥羽の火祭りは、幡豆町の鳥羽地区で行われている正月の行事で、地区内を二分し、燃え盛るスズミと呼ばれる大松明の中から「神木」と「十二縄」を取り出して神前に供える速さを競い、その勝敗や松明の燃え具合などで作柄や一年の吉凶などを占う行事である。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
鳥羽の火祭りは、幡豆町の鳥羽地区で行われている正月行事で、地区を二分し、燃え盛るスズミと呼ばれる大松明の中から「神木」と「十二縄」を取り出して神前に供える速さを競い、その勝敗や松明の燃え具合などで作柄や一年の吉凶などを占う行事である。 行事は旧鳥羽村の村社である神明社の境内で行われ、古くは旧暦1月7日に行われていたが、昭和45年からは2月の第二日曜日に行われることとなった。 神明社脇を流れる鳥羽川を境に、東側の九番組、十番組を「乾地」、西側の十一番組、十二番組を「福地」という形で地区を二分する。そして神明社の氏子の中から選ばれた9人の宮係(宮役)とそのうちの1人が務める宮総代が中心となって執行され、行事の参加者は忌みの罹っていない男性に限られる。 乾地、福地の若者からそれぞれ1人ずつ神男が選ばれ、祭りの中心的な役割を務める。この神男は、前年の祭り当日に決められ、かつては25歳の厄男の中からくじ引きで選ばれていたが、現在では宮総代が依頼するようになり、年齢も原則扱いとなった。神男は、現在では祭り前の3日(かつては7日)神社に籠もり、自分で煮炊きした料理を食べて精進潔斎をする。神男は他に、スズミの材料集めやミソギの先導役を務めたり、祭り当日はスズミの燃え具合を煽る役を務める。 また、前年の神男をソエボウと言い、神男の補佐役となる。このほか、神男経験者を中心とした鳥羽の火祭り保存会が結成されており、後継者の育成などに当たっている。 鳥羽地区の若者が出身集落ごとに分かれて奉仕人となる。燃え盛るスズミを崩し、その中から「神木」や「十二縄」を取り出す役である。奉仕人は青年以上であれば特段年齢制限等はない。このほか、スズミに点火するヒツケ役がある。なお、神男、ソエボウ、奉仕人は神社の幟の古布で作ったネコという衣装を着る。 スズミは、茅を芯に周囲を青竹製の簀で巻いて先開き形の円筒状に作り、頭部を飾り茅という茅束で飾り付けたもので、高さは16尺(約5㍍)とし、最大径は約4㍍くらいになる。乾地、福地それぞれ1基ずつ作られる。材料の茅は氏子が前日までに1戸宛1荷ずつを用意し、神明社の境内に乾地、福地ごとに保存する。 スズミの中に入れる神木は地元でアベマキと呼ぶトチノキの枝付きのものである。芯が真っ直ぐに立ち、これを囲むように周囲に枝の付いた木を選ぶ。簀に作る青竹は笹付きのまま60本、他に結縄用の藤蔓大小多数、燃えるスズミを揺すって燃焼を助けるために使用するユスリボウ用の長さ8㍍ほどの黒松材1本、降りかかる火の粉を払うのに使用するハライボウという葉付きのモチノキ多数、藁縄多数などを準備する。茅以外の材料は神男と宮係がそれぞれ2組ずつ用意する。 スズミの形ができあがると、根元に1年の月数を表す「十二縄」を巻く。「十二縄」は、藁縄2本を1組にし、平年は12巻き、閏年は13巻きとする。なお、ユスリボウも平年は12尺、閏年は13尺の長さとし、先端を尖らせて作られる。最後にスズミには、取手とするためのショイフジを付ける。 スズミが完成すると、公平性を期すために神男が社頭で籤を引いてスズミの取り分を決める。作り手と違ったスズミが当たった場合には、「神木」や「十二縄」を取り出しやすいようにショイフジの位置を調整したりする。 スズミの頭部に御幣を刺し、それぞれの氏子たちの手であらかじめ神男が掘っておいた穴に運んで立て、最後に神男とソエボウによってスズミの間隔の調整や化粧などが施される。この間、境内とその周辺には氏子たちの手によって幟と提灯台が建てられ、火祭りの準備が終了する。 祭り当日、祭り参加者は午後2時頃に社務所に集合し、晒の下帯に白足袋・鉢巻を付けた姿に身を調え、神男を先頭に宮係の先導で隊列を組んで浜に行き、ミソギをする。海中でのミソギは、福地の神男が御幣を付けた竹棹を海に投げ入れ、これを乾地の神男が拾って終わる。その後ミソギの一行は再び隊列を組んで神明社に戻り、境内に祀られてある稲荷大明神に御幣竹を奉じた後、いったん帰宅して夕方の祭りに備える。 夕刻、氏子総代がヒツケ役を自宅に迎えに行く。その後、神明社の拝殿にて神男らのお祓いが行われ、拝殿脇に控えているネコ姿の奉仕人を塩で清めた後、ヒツケ役を先頭にスズミに向かう。スズミの前で神官によるお祓いが行われ、最後の塩が撒かれた後、神男がヒツケ役によってきりだされた火を用いて、スズミに点火する。 年の初めにその年の豊凶を占う年占の行事は、日本各地に地域的特色をもって伝承されており、一部には修正会との関連をうかがわせるものもみられる。本件は、そうした数少ない事例で、「神男」を中心とした塩垢離とりの習俗や、大型の松明の製作と材料の調達などに地域をあげての参加がみられ、伝承の根強さを示している。また、燃えさかる大松明の中から神木や十二縄を取り出す競争は他に類例が少なく、地域的特色も豊かである。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)