国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録有形民俗文化財
主情報
名称
:
郷原漆器の製作用具
ふりがな
:
ごうばらしっきのせいさくようぐ
郷原漆器の製作用具
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員数
:
557点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
00005
登録年月日
:
2007.03.07(平成19.03.07)
追加年月日
:
登録基準1
:
二 有形の民俗文化財の収集であって、その目的、内容等が歴史的変遷、時代的特色、地域的特色、技術的特色、生活様式の特色又は職能の様相を示すもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県
:
岡山県
所在地
:
真庭市蒜山上福田425
保管施設の名称
:
真庭市川上歴史民俗資料館
所有者名
:
真庭市
管理団体・管理責任者名
:
郷原漆器の製作用具
解説文:
詳細解説
この資料は、真庭市蒜山西茅部の郷原集落で行われていた漆器の製作に用いられた用具である。この地域では、かつて主に椀物や木皿といった日用品を中心に、膳、杓子、仏具など多種多様な製品が作られており、いずれも固い栗材を用いて製作され、堅牢かつ比較的安価で実用的な漆器として広く流通した。
近世より集落のほぼすべての家が携わって製作してきた漆器産地の製作の実態をよく示しているものである。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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郷原漆器の製作用具
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郷原漆器の製作用具
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解説文
この資料は、真庭市蒜山西茅部の郷原集落で行われていた漆器の製作に用いられた用具である。この地域では、かつて主に椀物や木皿といった日用品を中心に、膳、杓子、仏具など多種多様な製品が作られており、いずれも固い栗材を用いて製作され、堅牢かつ比較的安価で実用的な漆器として広く流通した。 近世より集落のほぼすべての家が携わって製作してきた漆器産地の製作の実態をよく示しているものである。
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詳細解説
郷原漆器の製作用具は、岡山県真庭市蒜山西茅部の郷原集落で行われていた郷原漆器の製作に用いられた用具である。郷原漆器は主に椀物や木皿といった日用品を中心に、膳、杓子、仏具など多種多様な製品が作られていたことが知られ、その主な販売先は山陰地方であった。その素材は栗材が使用されたため、郷原漆器は堅牢かつ比較的安価で実用的な漆器として流通した。 郷原漆器の起源は、室町時代、江戸時代初期ともいわれるが諸説ありはっきりしない。史料の上で確認できるのは津山藩が元禄4年(1691)に編んだ地誌『作陽誌』で、少なくともこの頃には郷原漆器の製作が始まっていたことが確認できる。郷原で漆器製作が盛んになったのは付近で木地材や漆が容易に入手できたことと、木地師が地区内にいて原料である木地を供給したことがあげられる。 明治期に入ると内国勧業博覧会等にも出品して褒状をうけるなど、岡山県内における漆器の主要産地となっていった。明治半ば以降郷原地区の大火や輪島や紀州など国内の漆器産地の進出等により一時期漆器作りが下火になったが、山陰地方への販売増加で好況に転じ、大正期には加飾技術の導入など技術改善も図られ大正末期には最盛期を迎えた。しかし、昭和にはいると陶磁器の普及、戦争の影響などもあり製作は減少し、昭和20年には「有限責任郷原漆器販売購買組合」が解散した。これを契機に郷原における伝統的な漆器製作はわずか2軒のみとなり、昭和30年代にはほぼ終了した。 本件は、旧川上村が村内の郷原地区で行われていた漆器製作に用いられていた用具を収集したものである。郷原漆器の製作工程は、下ごしらえ、シブヒキ、下塗り、下塗りごしらえ、フシトリ、フキコミ、上塗り、仕上げの各工程があり、これらの各工程で使用されたヘラ、ソクシダイ、ネリボウハケ、輪仕切り入り竹籠、シタジロクロ、トギダイ、砥石、炭おろしき、ヌリダイ、ヒッカケ、ヌリダナ、テンチガエシなどの用具類がそろっている。さらに、木皿や仏器盆、菓子椀、吸物椀などの製品も含まれている。 我が国の漆器製作は、輪島などの高級漆器の製作を行ってきた産地のほかに、地域ごとに日常的な実用品を製作する産地があったことが知られている。郷原もそのような日常的な実用品を中心に製作した漆器産地であり、その販路は山陰地方を中心に広がっていた。 本件は、我が国でも類例があまり多くはない栗材を木地材として用い、日常的な実用品を製作してきた郷原の漆器製作用具を収集したものであり、我が国の実用品としての漆器製作を示す注目すべき資料となっている。