国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
登録有形民俗文化財
主情報
名称
:
陸前高田の漁撈用具
ふりがな
:
りくぜんたかたのきょろうようぐ
陸前高田の漁撈用具
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
1,922点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
00007
登録年月日
:
2008.03.13(平成20.03.13)
追加年月日
:
登録基準1
:
一 形様、製作技法、用法等において我が国民の生活文化の特色を示すもので典型的なもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県
:
岩手県
所在地
:
陸前高田市矢作町字二田野55
保管施設の名称
:
陸前高田市立博物館(仮)
所有者名
:
陸前高田市
管理団体・管理責任者名
:
陸前高田の漁撈用具
解説文:
詳細解説
この資料は、三陸海岸南部に位置する陸前高田の広田半島とその周辺地域で使用されてきた漁撈用具の収集である。広田半島は、入江や岩礁が点在する典型的なリアス式海岸であり、地先での磯漁や釣漁、海苔養殖、沖合での網漁や釣漁などが行われてきた。本件は、磯物採取用具、陥穽用具、突漁用具、釣漁用具、網漁用具、製造加工・養殖用具、舟関係用具、運搬用具、仕事着、儀礼用具に分類され、この地域の漁撈用具をほぼ網羅する。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
陸前高田の漁撈用具
陸前高田の漁撈用具
写真一覧
陸前高田の漁撈用具
写真一覧
陸前高田の漁撈用具
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
この資料は、三陸海岸南部に位置する陸前高田の広田半島とその周辺地域で使用されてきた漁撈用具の収集である。広田半島は、入江や岩礁が点在する典型的なリアス式海岸であり、地先での磯漁や釣漁、海苔養殖、沖合での網漁や釣漁などが行われてきた。本件は、磯物採取用具、陥穽用具、突漁用具、釣漁用具、網漁用具、製造加工・養殖用具、舟関係用具、運搬用具、仕事着、儀礼用具に分類され、この地域の漁撈用具をほぼ網羅する。
詳細解説▶
詳細解説
この資料は、三陸海岸南部に位置する広田半島とその周辺地域で使用されてきた漁撈用具の収集である。 広田半島は、典型的なリアス式海岸で、沖合が潮目となっており良好な漁場を形成し、地先ではアワビ、ウニなどの磯漁やタコ、イカ、アイナメなどの釣漁が、沖合ではサケ、マスなどの網漁やカツオ、ヒラメなどの釣漁が行われてきた。 また、半島西部は比較的穏やかな広田湾が広がり、気仙川が流れ込み河口部周辺に砂浜を形成しているため、ノリやホタテの養殖やイワシなどの地引網漁、シラウオの掬い網漁なども行われてきた。 本件は、磯物採取用具、陥穽用具、突漁用具、釣漁用具、網漁用具、製造加工・養殖用具、舟関係用具、運搬用具、仕事着、儀礼用具に分類され、この地域の漁撈に関わる用具をほぼ網羅している。中でも磯物採取用具の中のアワビを採る鉤は、この地域で考案されたものといわれ、アワビに傷をつけず、かつ危険を感じてアワビが海底にへばりつく前に採ることのできる用具として、周辺地域にケセンカギ(気仙鉤)の名称で伝播した。 また製造加工・養殖用具の中のノリ養殖用具は、広田湾で昭和40年代まで盛んに行われたノリ養殖の用具で、その技術は、大正13年に東京湾から本格的に導入され、それ以後この地域から周辺へと伝播した。このようにこの地域から周辺へ伝播した用具や技術がみられる一方、釣漁用具に含まれるテンテンと呼ぶヒラメ釣りの用具は徳島県から、イカ釣りの用具は青森県から、磯物採取用具に含まれる箱メガネは盛岡市付近の川漁から、それぞれ伝播してきたといわれ、漁撈用具や技術の広範かつ複雑な伝播の様相の一端をうかがうことができる。 また、夜の漁に利用する照明関係の用具をとってみても、タイマツ、石油ランプ、カーバイト、集魚灯といったような変遷がみられ、近代以降の漁撈用具と技術の変遷を知ることができる収集ともなっている。 三陸海岸の漁撈用具や技術には、日本海側から津軽海峡を経て南下してきたもの、西日本から太平洋岸を北上してきたもの、川漁から伝播してきたものなどが多いが、本件は、そうした三陸海岸を舞台とした広範かつ複雑な伝播の様相の一端をうかがうことのできる収集となっている。 また、三陸海岸の漁業は、近代以降、地先での磯漁や釣漁などから、沖合での網漁や釣漁、地先での養殖へと比重が移るが、本件はそれらに関する用具もほぼ網羅的に収集され、漁業の変遷を考える上でも注目される。