国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録有形民俗文化財
主情報
名称
:
岐阜提灯の製作用具及び製品
ふりがな
:
ぎふちょうちんのせいさくようぐおよびせいひん
岐阜提灯の製作用具及び製品
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員数
:
1004点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
その他参考となるべき事項
:
内訳:製作用具 951点、製品 53点
登録番号
:
00039
登録年月日
:
2016.03.02(平成28.03.02)
追加年月日
:
登録基準1
:
二 有形の民俗文化財の収集であって、その目的、内容等が歴史的変遷、時代的特色、地域的特色、技術的特色、生活様式の特色又は職能の様相を示すもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県
:
岐阜県
所在地
:
岐阜市大宮町2-18-1岐阜公園内
保管施設の名称
:
岐阜市歴史博物館
所有者名
:
岐阜市
管理団体・管理責任者名
:
岐阜提灯の製作用具及び製品
解説文:
詳細解説
本件は,江戸中期から生産され,やがて全国に流通していった岐阜提灯に関する製作用具と製品を収集したものである。岐阜提灯は岐阜市の特産品で,極細の竹ひごに美濃和紙等の薄紙を貼り,上品な絵柄や模様を施した提灯として,全国的にもよく知られているところである。
用具類としては,摺込み,張り,道具付けといった火袋本体の製作に関係するもののほか,輪作り,盛上げ,塗りといった部分品製作に関係する用具が収集されており,すべての作業工程が理解できる。また,製品では,御所型提灯,大内行灯,変形提灯など全種が収集されており,完成品の比較も可能である。なかでも,提灯の木型には紀年銘のある場合が多いことから形状年代が判じられ,見本帳などからは絵柄の意匠や志向性などが読み取れる。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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岐阜提灯の製作用具及び製品
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岐阜提灯の製作用具及び製品
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解説文
本件は,江戸中期から生産され,やがて全国に流通していった岐阜提灯に関する製作用具と製品を収集したものである。岐阜提灯は岐阜市の特産品で,極細の竹ひごに美濃和紙等の薄紙を貼り,上品な絵柄や模様を施した提灯として,全国的にもよく知られているところである。 用具類としては,摺込み,張り,道具付けといった火袋本体の製作に関係するもののほか,輪作り,盛上げ,塗りといった部分品製作に関係する用具が収集されており,すべての作業工程が理解できる。また,製品では,御所型提灯,大内行灯,変形提灯など全種が収集されており,完成品の比較も可能である。なかでも,提灯の木型には紀年銘のある場合が多いことから形状年代が判じられ,見本帳などからは絵柄の意匠や志向性などが読み取れる。
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詳細解説
岐阜提灯の製作用具及び製品は、江戸中期から生産され、やがて全国に流通していった岐阜提灯に関する製作用具と製品をとりまとめたものである。 岐阜は、市域の中心を流れる長良川の肥沃な扇状地と自然堤防上に位置し、すでに戦国期には城下町として成立した。ここで育まれた岐阜提灯は、現在、岐阜市の特産品で、全国的にも盆提灯として親しまれているが、極細の竹ひごに美濃和紙等の薄紙を貼り、上品な絵柄や模様を施したもの、というのがその特徴である。そのはじまりについては、諸説あって定かではないが、少なくとも安永年間(1772~1780)の終わり頃から、尾張徳川家の贈答品として用いられていたことが指摘されている。その後は、文政年間(1818~30)の記事として、『宮川舎漫筆』や『武江年表』『守貞謾稿』等々にも散見されるようになり、文政年間頃には江戸市中でも流通していたことがわかる。また、明治期には、日本の伝統美を表すものとして盛んに海外にも輸出された。 本件は、摺込み・張り・道具付けといった火袋本体の製作に係る用具に加え、輪作り・盛上げ・塗りといった部分品製作に係る用具などからなり、分業によった一連の作業工程が理解できる。また、製品では、御所型提灯・大内行灯・変形提灯など、主たる品種の提灯が収集され、形状比較が可能である。このほか、関連資料には、販売宣伝用の冊子類や明治期の海外向けの資料も含まれる。提灯製作は、技術的に機械化が困難なことから、現在でも多くは手作業によっており、近年の製品であっても製法はほぼ同様で、技術伝承としての蓋然性が高い。また、提灯の張型には紀年銘(きねんめい)のある場合が多いことから形状年代が判じられ、見本帳などからは絵柄の意匠や志向性なども読み取れる。 本件は、近世以来、全国的展開をみせた岐阜提灯に係る一連の製作用具と製品がまとまって収集されており、この地域の産業の様相がよくわかるとともに、際物製作の実態や製品の形態を理解するうえで貴重である。また、近代以降の関連資料からは、工芸品的な方向性をもって生産の復興にあたった動向が読み取れ、現在に至った経緯がよくわかる。また、単に提灯という灯火用具としての側面だけでなく、風物としての諸祭事や儀礼との関係や、ものとしての意匠性などもよく示しており、我が国の民俗技術はもちろん、時代相や慣習を示すものとして、注目される。