国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録有形民俗文化財
主情報
名称
:
丹後半島の漁撈用具
ふりがな
:
たんごはんとうのぎょろうようぐ
丹後半島の漁撈用具
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員数
:
888点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
00042
登録年月日
:
2016.03.02(平成28.03.02)
追加年月日
:
登録基準1
:
二 有形の民俗文化財の収集であって、その目的、内容等が歴史的変遷、時代的特色、地域的特色、技術的特色、生活様式の特色又は職能の様相を示すもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
宮津市国分天王山611-1
保管施設の名称
:
京都府立丹後郷土資料館
所有者名
:
京都府
管理団体・管理責任者名
:
丹後半島の漁撈用具
解説文:
詳細解説
本件は,丹後地方の沿岸部で行われてきた漁撈に関する用具類を収集したものである。沿岸部を地形的に大別すると,西部の日本海に突き出た半島部と東部のリアス式海岸の内湾部とに分けられるが,漁業の特徴としては,前者では荒磯の岩礁を漁場とする磯漁が,後者では沈降海岸が形成した漁場をめぐる定置網漁が顕著である。特に,内湾部では暖流の分流が湾内を還流していることから,ブリをはじめとする多くの回遊魚がもたらされている。
丹後半島の漁撈用具は,こうした自然環境を背景とした,磯漁用具・網漁用具・釣漁用具・陥穽漁用具など,漁撈に直接用いた用具に加え,それらを製作修理する用具,獲れた魚を加工販売する用具,漁船及び船大工用具などからなる。特に,トモブト,マルコと称する木造の漁船は,刳舟(丸木舟)の製作技術からの発展形態とされるオモキ造りによるもので,日本海側に特有な造船技術の在り方や地域性をよく伝えている。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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丹後半島の漁撈用具
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丹後半島の漁撈用具
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解説文
本件は,丹後地方の沿岸部で行われてきた漁撈に関する用具類を収集したものである。沿岸部を地形的に大別すると,西部の日本海に突き出た半島部と東部のリアス式海岸の内湾部とに分けられるが,漁業の特徴としては,前者では荒磯の岩礁を漁場とする磯漁が,後者では沈降海岸が形成した漁場をめぐる定置網漁が顕著である。特に,内湾部では暖流の分流が湾内を還流していることから,ブリをはじめとする多くの回遊魚がもたらされている。 丹後半島の漁撈用具は,こうした自然環境を背景とした,磯漁用具・網漁用具・釣漁用具・陥穽漁用具など,漁撈に直接用いた用具に加え,それらを製作修理する用具,獲れた魚を加工販売する用具,漁船及び船大工用具などからなる。特に,トモブト,マルコと称する木造の漁船は,刳舟(丸木舟)の製作技術からの発展形態とされるオモキ造りによるもので,日本海側に特有な造船技術の在り方や地域性をよく伝えている。
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詳細解説
丹後半島の漁撈用具は、丹後地方の沿岸部で行われてきた漁撈に関する用具類をとりまとめたものである。 丹後地方の海岸は、大別すると、地形的に西部の日本海に突き出た半島部と東部のリアス式海岸の内湾部とに分けられ、沖合の日本海を流れる対馬暖流は、丹後の自然や生活文化に大きな影響を与えてきた。漁業の特徴としては、半島沿岸部では海岸段丘の荒磯の岩礁が発達し、そこを棲息地とする魚介類が豊富で、それらを対象とした磯漁が盛んである。一方、東部の湾岸部では沈降海岸のため、山が海に迫り、岸に沿って魚付林が形成され、豊かな漁場となっている。また、暖流の分流が湾内を時計回りに還流していることから、多くの回遊魚をもたらしている。 本件は、網漁用具、釣漁用具、磯漁用具、陥穽漁用具、捕鯨用具など、漁撈に直接用いた用具に加え、それらを製作修理する用具、獲れた魚を加工販売する用具、船上での生活用具、船大工用具や船などからなる。特に、網漁用具としては、回遊してきたブリ等を捕獲する定置網が若狭湾において顕著である。なかでも、伊根浦では江戸期に定置刺網漁を行っていたが、明治38年に高知県から大型定置網(大敷網)を導入した経緯があり、近代の漁法伝播の様相を示すものとして注目される。その他、地曳網や手繰網も収集されており、獲れたマイワシを〆粕として加工販売した諸用具も付随する。釣漁用具では、マダイやアマダイ、タチウオなどを対象とした延縄が中心であるが、太い鉤針の付いたサメ釣り用のもののほか、立縄や曳縄、疑似餌による一本釣用具などがある。磯漁用具としては、サザエやワカメ、モズク、小魚などを対象とした水視漁で使用した箱メガネや長柄のヤス等が多くを占め、寒天の材料となるテングサや、岩礁でのイワノリの採取用具も含まれる。このほか、漁撈に使ったトモブト、マルコと称する木造船及びそれらを造船した船大工の用具なども収集されている。トモブト、マルコは、刳舟(丸木舟)の製作技術からの発展形態とされるオモキ造りによるもので、日本海側に特有な造船技術のあり様や地域性をよく伝えている。 丹後半島の漁撈用具は、半島沿岸部で盛んな磯漁や湾岸部で顕著な定置網漁をはじめとした、各種の漁法に関する用具が収集されているだけでなく、それらを加工・販売する用具や船及び船上での生活用具など、漁撈全般に関わる用具類、さらにはこれらの漁撈を支えてきた諸職の用具や船まで幅広く収集されていて貴重である。本件は、丹後地方の伝統的な漁撈の様相をよく示すものとなっており、我が国の日本海沿岸における漁撈の地域的特色や変遷を知るうえで注目される。