国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録有形民俗文化財
主情報
名称
:
讃岐六条の水車及び関連用具
ふりがな
:
さぬきろくじょうのすいしゃおよびかんれんようぐ
讃岐六条の水車及び関連用具
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員数
:
1件、348点
種別
:
生産、生業に用いられるもの
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
00043
登録年月日
:
2016.03.02(平成28.03.02)
追加年月日
:
登録基準1
:
二 有形の民俗文化財の収集であって、その目的、内容等が歴史的変遷、時代的特色、地域的特色、技術的特色、生活様式の特色又は職能の様相を示すもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県
:
香川県
所在地
:
香川県高松市
保管施設の名称
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
讃岐六条の水車及び関連用具
解説文:
詳細解説
本件は,香川県の讃岐平野で製粉や精米等を行ってきた水車とその関連用具を整理したものである。この水車は,高松市南東部の六条町に立地し,もとは高松藩の御用水車であったと伝えられるもので,明治期以降は周辺の村の製粉や精米等を引き受けてきた。
水車は,隣接する用水から取り入れた水を石積みの水路で水車小屋まで導水し,小屋内部で水輪を駆動した後,石積みの水路を経て下流の河川に排水する一連の施設である。地面を掘り下げて設置した胸掛け型式の水輪を回転させることで,石臼による製粉を行うだけでなく,回転式の篩による粉類の選別,木製昇降機による粉類の運搬なども連動して行う。
関連用具には,製麺機などの機械類,水車の予備部品,水車を整備・清掃する用具,経営に関する帳簿類などがあり,中でも渇水時に水車の代わりに用いた製粉機や精米機などの機械類や,うどんを打つ用具はこの地域の水車経営の特色をよく示している。
関連情報
(情報の有無)
附
なし
添付ファイル
なし
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讃岐六条の水車及び関連用具
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讃岐六条の水車及び関連用具
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解説文
本件は,香川県の讃岐平野で製粉や精米等を行ってきた水車とその関連用具を整理したものである。この水車は,高松市南東部の六条町に立地し,もとは高松藩の御用水車であったと伝えられるもので,明治期以降は周辺の村の製粉や精米等を引き受けてきた。 水車は,隣接する用水から取り入れた水を石積みの水路で水車小屋まで導水し,小屋内部で水輪を駆動した後,石積みの水路を経て下流の河川に排水する一連の施設である。地面を掘り下げて設置した胸掛け型式の水輪を回転させることで,石臼による製粉を行うだけでなく,回転式の篩による粉類の選別,木製昇降機による粉類の運搬なども連動して行う。 関連用具には,製麺機などの機械類,水車の予備部品,水車を整備・清掃する用具,経営に関する帳簿類などがあり,中でも渇水時に水車の代わりに用いた製粉機や精米機などの機械類や,うどんを打つ用具はこの地域の水車経営の特色をよく示している。
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詳細解説
讃岐六条の水車及び関連用具は、讃岐平野のほぼ中央、香川県高松市南東部の六条町に所在し、製粉や精米、製麺等に使用されてきた水車とその関連用具を整理したものである。 この水車は、もとは高松藩の菩提寺である法然寺が素麺を献上するため小麦の製粉に用いた御用水車であったとも伝えられており、明治時代以降、所有者を転々とし、明治35年に現所有者の祖父、高原太吉が譲り受けたことから「高原水車」とも呼ばれ、平成12年まで周辺の村々の製粉や精米、製麺等を引き受けてきた。 水車は、西側に接する新井手用から取り入れた水を水路で水車小屋まで導水し、小屋内部で水輪を回転させた後、再び水路を経て東側に接する古川に排水する一連の施設である。水車小屋は床面積約74坪の木造寄棟造で、水路は地元産の由良石を用い、幅は約1m、取水口から排水口までの総延約70m、水輪前後の落差は約2mある。 水輪は、中間よりやや上に水が掛かる胸掛け形式のもの一基で、松材で直径約4.8m、幅約65㎝あり、小屋内部の水路を約2m掘り下げて設置されている。水輪には、製粉や精米を行う2基の石臼、粉類を運搬するベルトコンベアー式の木製昇降機、ガンドと呼ばれる回転式の篩が連動しており、水輪の回転で生まれた力が、マンリキと呼ぶ樫製の歯車を介して2基の石臼に伝えられて製粉や精米を行うと同時に、木製昇降機も動かしてガンドまで粉類を運び、ガンドを回転させて篩にかけ、さらにガンドに残った粗い粉を木製昇降機で石臼に戻して再び製粉する。 関連用具は、押し麦機、製麺機などの機械類のほか、水車の予備の部品、水車や機械類を整備する用具、帳簿類など水車の経営に不可欠な用具類である。中でもうどんを打つ用具類は、讃岐平野の水車経営の特色をよく示している。 我が国の水車には動力用と揚水用の2種があり、讃岐平野では製粉や精米等を行う胸掛け形式の動力用水車が主流で、特に明治時代以降、製粉・精米から製麺までを行う水車経営が盛んであった。本件は、こうした讃岐平野にみられた水車の典型的な事例であり、渇水という気候条件に対応した用具やうどんを打つ用具類も収集されているなど地域的特色も豊かであることから、我が国の水車習俗や粉食文化を理解するうえで注目される。 また、讃岐平野の水車は戦後急速に衰滅し、今日水車とその関連用具を一体的に整理・保管しているのは本件のみであり、希少な事例でもある。