国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
阿仁地方の万灯火
ふりがな
:
あにちほうのまとび
阿仁地方の万灯火
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年春彼岸の中日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『阿仁地方の万灯火』(企画文化庁・制作TEM研究所・平成25年3月)
選択番号
:
選択年月日
:
2005.02.21(平成17.02.21)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
秋田県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
阿仁地方の万灯火
解説文:
詳細解説
この行事は、秋田県の旧合川町や上小阿仁村を中心とする阿仁地方で行われてきた、春彼岸の中日に墓前やむらはずれなどで火を焚く行事である。中学生くらいまでの子どもたちを中心に行われ、近年では集落名や中日、彼岸などの文字を表したりしている。マトビは、ここで焚かれる火のことであり、祖霊を迎え送るものであると伝承されているだけでなく、火伏せの信仰や作物の豊凶を占う性格もうかがわれる。
春の彼岸に火を焚く行事は全国的にも類例が少なく、秋田県以外では山形県や新潟県などに存在が知られている程度であり、我が国の祖霊祭祀の変遷を知る上で注目されるものである。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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阿仁地方の万灯火
阿仁地方の万灯火
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阿仁地方の万灯火
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阿仁地方の万灯火
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阿仁地方の万灯火
解説文
この行事は、秋田県の旧合川町や上小阿仁村を中心とする阿仁地方で行われてきた、春彼岸の中日に墓前やむらはずれなどで火を焚く行事である。中学生くらいまでの子どもたちを中心に行われ、近年では集落名や中日、彼岸などの文字を表したりしている。マトビは、ここで焚かれる火のことであり、祖霊を迎え送るものであると伝承されているだけでなく、火伏せの信仰や作物の豊凶を占う性格もうかがわれる。 春の彼岸に火を焚く行事は全国的にも類例が少なく、秋田県以外では山形県や新潟県などに存在が知られている程度であり、我が国の祖霊祭祀の変遷を知る上で注目されるものである。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
秋田県の旧合川町や上小阿仁村を中心とする阿仁地方では、春彼岸の中日に墓前やむらはずれなどで火を焚く行事が行われてきたが、現在では阿仁川支流の上小阿仁川流域の一部で伝承されているのみとなっている。 この行事は、まず墓前で家単位で火を焚き、次いでむらはずれなどで火を焚く。この火は、本来中学生くらいまでの子どもたちによって焚かれていたといわれ、その後、ワカゼと呼ばれる青年たちや子どもの親たちが手伝うようになった。以前は藁束を1~2間ごとに並べて火をつけただけのものであったが、現在では藁の代わりにぼろ布を丸めて針金でしばり、これに灯油をしみ込ませたものを用意して、集落名や中日、彼岸などの文字を表したりしている。 例えば、旧合川町三木田では、昼間墓参りをしたときに墓で火を焚き、夜には集落の向かい側にある田の畦や山の尾根伝いにマトビを焚いている。この夜の行事は、中学生が中心になって行うもので、これにワカゼも協力して行っていたが、現在では中学生の親も協力している。布を丸く巻いたダンポを作り、これに灯油をしみ込ませて8~9㍍間隔に立てる。この火で「三木田」という文字を書くほか、火が回転する車マトビなども作る。 また、上小阿仁村小沢田では、3月に入ると中学生や小学校高学年の子どもが中心になり、これに青年や親たちが協力して準備を始める。中日が近づくと集落内の各家から寄付金やぼろ布を集めてダンポ作りをする。中日の前日になるとマトビを立てるための鉄パイプや灯油のタンク、缶、針金などの資材をマトビを立てる現場に運んでおく。中日は午前中から鉄パイプを組み立てダンポに灯油をしみ込ませて吊し、「小沢田」「中日」「万灯火」の文字を作る。この文字の間に車マトビを据え付けて準備が終了し、夜を待って点火する。 このマトビは、春彼岸の中日にむらはずれで焚かれる火で、祖霊を迎え送るものであると伝承されている。また、この行事には火伏せの信仰や作物の豊凶を占う性格もうかがわれる。以前は雪囲いの藁をはずして作ったノマ小屋でマトビの準備をしたといい、春の訪れを実感させられる行事であったという。 同種の行事は、かつては秋田県の阿仁地方一帯で広く行われていたが、現在では旧合川町や上小阿仁村以外の地域ではほとんど行われなくなっている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)