国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
山中の安産祭
ふりがな
:
やまなかのあんざんまつり
山中の安産祭
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年9月4・5日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2006.03.15(平成18.03.15)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
山梨県
所在地
:
保護団体名
:
浅間神社・諏訪神社氏子
山中の安産祭
解説文:
詳細解説
この行事は、山中湖村山中の諏訪神社の例大祭で行われる安産祈願の行事である。神輿が渡御して御旅所や本殿に安置される直前、安産祈願をする妊婦、子どもが欲しい女性、子どもを抱いてお礼参りをする産婦などが、神輿の担ぎ手にしがみついて列をなして、神輿とともに神歌を唱えながらまわる。4日の宵祭ではその後、御旅所境内でお百度参りも行われる。安産を祈願する女性は、山梨県東部のみならず、静岡県御殿場市や磐田市などの東海地方からもある。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
山中の安産祭
山中の安産祭
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山中の安産祭
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山中の安産祭
解説文
この行事は、山中湖村山中の諏訪神社の例大祭で行われる安産祈願の行事である。神輿が渡御して御旅所や本殿に安置される直前、安産祈願をする妊婦、子どもが欲しい女性、子どもを抱いてお礼参りをする産婦などが、神輿の担ぎ手にしがみついて列をなして、神輿とともに神歌を唱えながらまわる。4日の宵祭ではその後、御旅所境内でお百度参りも行われる。安産を祈願する女性は、山梨県東部のみならず、静岡県御殿場市や磐田市などの東海地方からもある。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
山中の安産祭は、南都留郡山中湖村山中の諏訪神社の例大祭に行われる安産を祈願する行事で、「山中明神安産祭」「腹ぼて祭」「梨祭」などとも呼ばれ、9月4日と5日に行われる。 山中湖村山中は、山梨県東南部、富士山北東の裾野に位置し、東に山中湖を望む。諏訪神社は、「山中諏訪明神」「お明神様」などと呼ばれ、氏神である浅間神社の摂社として祀られている。例大祭で神輿が渡御する御旅所も山中にある。また、山中湖をはさんで対岸の明神山には奥宮が鎮座する。諏訪神社は、普段から安産の神として信仰されており、「山中で、お産で死んだ人はいない」ともいわれている。 例大祭は、山中に代々住んできた浅間神社の氏子によって執り行われる。9月1日に明神山の奥宮より御霊を迎えた後、4日の宵祭に本殿から御旅所に神輿が渡御し、5日の本日に再び本殿に神輿が還御する。6日は後祭で稚児行列と奉納相撲が行われ、例大祭が終了する。 オテンマと呼ばれる神輿の担ぎ手は、山中に11ある組が年番で務め、その年の当番の組から男性が50名選ばれる。また期間中、本殿や御旅所には数え年19歳の女性が巫女として奉仕し、参詣者へ蝋燭の燃えさしを配布したり、お札やお守りなどを販売する。 安産祭は、宵祭と本日に神輿が渡御して御旅所や本殿に安置される前後に行われる。宵祭では神輿を御旅所に安置する直前、御旅所の境内前の道路に伏せた臼を御神木とみたて、その周囲を神歌を唱えながら右回りに3回まわる。この際に安産祈願をする妊婦、子どもが欲しい女性、子どもを抱いてお礼参りをする産婦などが、「神輿のお供をする」といって神輿の担ぎ手にしがみついて列をなして、神輿とともに神歌を唱えながらまわる。女性たちはそのまま境内になだれ込み、神輿が安置されると一心不乱に御旅所にお百度参りをする。 また、本日の神輿の出発までの間、随時、妊婦や子どもが欲しい女性たちが御旅所にお参りをし、蝋燭の燃えさしをもらっていく。この蝋燭を陣痛の際に灯せば、それが消えるまでにお産が済むといわれている。以前は、蝋燭の燃えさしとともに臍の緒を縛るための麻紐も配布され、出産の際どうしても困ったときにこの麻紐を半紙にくるみ枕の下に入れたり、握らせたりすると無事出産できるともいわれていた。また、特別な祈願があるときは鏡餅を奉納したり、御旅所でお祓いを受けたりもする。 本日にも、神輿が還御して本殿に安置される直前、境内の御神木の周囲をまわるが、妊婦や子どもが欲しい女性、子どもを抱いた産婦などが神輿の担ぎ手にしがみついて列をなして神輿とともにまわる。神輿が安置され、本殿に御霊が遷されると、女性たちは神輿に結わえてあった注連縄や紙垂をお守りとして持ち帰る。なお、以前はここでも宵祭と同様に境内でお百度参りが行われたともいわれている。 安産祭に参加する女性は、富士吉田市や大月市などといった山梨県東部の郡内地方をはじめ、静岡県の御殿場市や磐田市といった東海地方からもおり、かつては「山中のお祭りのときだけは嫁も自由に外出できる」といわれていた。 この行事は、子授けや安産祈願、またそのお礼参りをする女性が神輿の渡御に直接参加するという行事である。類似の行事は、山梨県内でも東部の郡内地方の諏訪神社などの祭礼にいくつかみられるが、中でもこの行事は、山中のみならず郡内地方や東海地方からも広く参加者を集めており、安産信仰の一つのあり方をよく示している行事である。 しかし、いっぽうで詳細な記録が作成されておらず、遠方からの参加者も次第に減少する傾向にあり、行事も簡略化がみられるなど衰退・変貌しつつあることから早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)