国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
加茂神社のオイケモノ
ふりがな
:
かもじんじゃのおいけもの
加茂神社のオイケモノ
写真一覧▶
解説表示▶
種別1
:
風俗慣習
種別2
:
社会生活(民俗知識)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年旧暦1月16日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2007.03.07(平成19.03.07)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
福井県
所在地
:
保護団体名
:
加茂神社上の宮神事保存会
加茂神社のオイケモノ
解説文:
詳細解説
この行事は、小浜市加茂に鎮座する加茂神社で旧暦1月16日に行われる年占行事である。7種類のタネモノを木の箱に納めて埋め、1年後に掘り出してその発芽状況をみて1年の農作物の豊凶を占うもので、加茂神社の氏子のうち、特に烏帽子帳と呼ぶ加茂神社の氏子帳に記載された順に務める神事当番が中心となって行う。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
加茂神社のオイケモノ
写真一覧
加茂神社のオイケモノ
解説文
この行事は、小浜市加茂に鎮座する加茂神社で旧暦1月16日に行われる年占行事である。7種類のタネモノを木の箱に納めて埋め、1年後に掘り出してその発芽状況をみて1年の農作物の豊凶を占うもので、加茂神社の氏子のうち、特に烏帽子帳と呼ぶ加茂神社の氏子帳に記載された順に務める神事当番が中心となって行う。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
加茂神社のオイケモノは、小浜市加茂に鎮座する加茂神社で旧暦1月16日に行われる行事で、オイケモノあるいは上宮の神事と呼ばれている。 この行事は、7種のタネモノを木の箱に納めて埋め、1年後に掘り出してその発芽状況をみて1年の農作物の豊凶を占う年占行事である。 加茂神社は、上官と下宮に分かれて社地があり、下宮には本殿や拝殿、社務所などの建物、上宮には鳥居と石を積んで楕円形に区画された神域がある。 オイケモノについては近世の『若州加茂杜記録』や「旧藩秘録』などの史料にも記録がみられ、いずれも正月16日に行事が行われることと埋め物をすることは共通している。このほか神楽も行われたことが記されているが、現在では神楽は行われていない。 加茂は、小浜市東部にあり、三方上中郡若狭町に隣接する地区で、行政的には加茂区と大戸区に分かれている、オイケモノは、この2つの区の加茂神社氏子が参加して行われる。保存会長と加茂区長が行事全体の進行役、大戸区長と加茂区副区長が進行の合図となる太鼓を叩く役を務める。このほかの役には神事当番、祭礼当番などがあり、氏子総代、旧神事当番も参加する。 神事当番は、加茂神社の氏子の名を記した烏帽子帳に名前を記載された順に務める役で、以前は4人ずつ、現在は烏帽子帳に記載される子どもの数が減り1人ずつ務めるようになっている。烏帽子帳への名前の記載は生後1年たった正月4日の加茂神社の祭りの際に行われる。また、婿入りした場合もやはりそのときに名前を記載され、順番が回ってくると神事当番を務めることになっている。 祭礼当番は、神事当番の人数が減ったために平成18年から設けられた役で、高屋、小北、高森、大戸の各字から1人ずつ出て、弓矢などを担当する。 氏子総代は、宮世話ともいい各字1人ずつ4人おり、その中の1人が総代長になる。箱、御神酒、米、塩、魚を運ぶ役を務める。 旧神事当番は、牛の舌と呼ばれる餅と花餅を運ぶ役を務める。 行事前日には社務所で餅つきが行われ、牛の舌、花餅が作られる。 翌日の行事当日の午前中には区長や保存会長などの諸役が社務所に集合し、タネモノを詰める行事が行われる。氏子総代長が新しく作った木製の箱に牛の舌と呼ぶ餅を入れ、その上にトコロ、シイ、ホシガキ、クリ、ギンナン、ドングリ、カヤノミを入れ、さらにその上に牛の舌をのせて蓋をする。 これが終わると、箱を持ち行列をつくって社務所を出発し、下宮の拝殿に向かい拝殿上で神事当番が御幣を振り参加者全員が下宮を拝礼するゴヘイフリが行われる。 これがすむと少し離れた上宮に向かう。その途中、中稲馬場と呼ばれる広場で木に下げた的に向かって弓を射る神事が行われる。 上宮につくとまた弓射を行い、その後石積みの神域の前で供物を供え、御神酒と持参のスルメ、昆布で簡単な直会をする。この後、少し離れた大木の根元から前年埋めておいた箱を掘り出し、同じ場所に新しい箱を埋める。 この後、全員社務所に戻り、掘り出した前年の箱の蓋を加茂区長が開いて中から7種のタネモノを1つずつ取り出し芽立ちの具合を判断する。以前は実際に芽立ちの具合で作の善し悪しを判断していたというが、現在では区長の判断は決まっており毎年豊作と占うことになっている。 作占がすむと参加者一同で直会をし、牛の舌が配られて行事が終了する。 この行事は、1年間地中に埋めておいたタネモノの芽立ちで年の豊凶を占うという点で、我が国の年占の行事を知る上で注目されることから早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)