国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
青森県津軽地方の虫送り
ふりがな
:
あおもりけんつがるちほうのむしおくり
青森県津軽地方の虫送り
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年6月上旬(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『青森県津軽地方の虫送り』(企画文化庁・制作NPO法人あきた地域資源ネットワーク・平成27年3月)
選択番号
:
選択年月日
:
2010.03.11(平成22.03.11)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
青森県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
青森県津軽地方の虫送り
解説文:
詳細解説
青森県津軽地方の虫送りは、津軽地方において、サナブリと呼ばれる田植え後の農休みの期間中に、害虫の駆除・予防と豊作を祈願して行われる行事である。この行事は、ムシオクリ、ムシマツリなどと呼ばれ、地区の若者が中心となって執り行うところが多い。ムシと呼ぶ巨大な蛇を製作し、笛や太鼓などで賑やかに囃しながら集落内を練り歩き、最後に集落の境にムシを安置する。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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青森県津軽地方の虫送り
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青森県津軽地方の虫送り
解説文
青森県津軽地方の虫送りは、津軽地方において、サナブリと呼ばれる田植え後の農休みの期間中に、害虫の駆除・予防と豊作を祈願して行われる行事である。この行事は、ムシオクリ、ムシマツリなどと呼ばれ、地区の若者が中心となって執り行うところが多い。ムシと呼ぶ巨大な蛇を製作し、笛や太鼓などで賑やかに囃しながら集落内を練り歩き、最後に集落の境にムシを安置する。(※解説は指定当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
青森県津軽地方の虫送りは、青森県西部の津軽地方において、サナブリと呼ばれる田植え後の農休みの期間中に、害虫の駆除・予防と豊作を祈願して行われる行事である。 津軽地方では、現在、サナブリを毎年6月上旬の土・日曜日にあてるところが多いが、その年の田植えの進み具合をみて決めているところもある。 この行事は、ムシオクリ、ムシマツリなどと呼ばれ、地区の若者が中心となって執り行うところが多い。ムシと呼ぶ巨大な蛇を製作し、笛や太鼓などで賑やかに囃しながら集落内を練り歩き、最後に集落の境にムシを安置するのが行事の一般的な次第である。 例えば、五所川原市相内では、6月第二土曜日にムシオクリを行う。24歳から40歳くらいまでの男性で構成される相内青年団が早朝より青年会館に集まってムシを製作する。ムシは、ヒバの木を芯にして藁や莚を巻きつけた直径約60㎝、長さ約5㍍の胴体に、三角形の木製の頭をつけた蛇である。頭には紙を貼り、鱗模様や目、口、舌を書き込み、アカシヤの枝の角も2本取り付ける。このほか、コムシと呼ぶ直径が約30㎝、長さ1㍍ほどの小さな蛇も製作し、ムシの巡行に供する荒馬や太刀振りの用具も準備する。 準備の間、青年団長を初めとした役員数人は集落の境5か所に、五所川原市脇元の洗磯崎神社からもらってきたムシフダと呼ばれる札を立てる。ムシフダには「祈祷之太禊惶白 昆虫退散 五穀成就」と記されている。ムシフダの両脇には、ノボリと呼ぶ長さ180㎝ほどの紙を竹に結び付けて立てる。ノボリには 「倉稲魂大神 昆虫退散 五穀豊穣 守攸」「宇賀農賣大神 昆虫退散 五穀豊穣 守攸」とそれぞれ記されている。ムシフダやノボリを立てるとお神酒や菓子を供え、蝋燭を灯して拝む。 青年会館での準備が整うと、ムシをムシグルマと呼ばれる台車に乗せ、コムシは青年団員1人が担いで集落を練り歩く。巡行には、太鼓、笛、鉦による囃子、荒馬や太刀振りといった踊り、カケゴビトやオリダビトといった役柄の者が付き従い賑やかに囃し立てていく。 荒馬は、木製の馬の頭を着けた荒馬役1人と手綱引き2人による踊りで、リズムに合わせて手綱引きが荒馬役を引いていく。途中、荒馬役は勝手な動きをして手綱引きを困らせ、時には沿道の田に入ることもある。 太刀振りは、2人1組で左右に並んで行う踊りで、踊り手は、タチと呼ばれる長さ約1㍍の朴の木に色紙で作った房を取り付けたものを手に持ち、タチで地面を突いたり、2人で向き合ってタチを交えたりする。 カケゴビトは、身欠きにしんを入れたカケゴという魚籠を持ち、沿道の人々に身欠きにしんを配る。 オリダビトは、米粉を水で溶いた粢を入れたオリダという木箱を持ち、沿道の人々の顔に粢を塗りつける。 一行は集落をくまなく巡り、集落のそれぞれの境に着くとムシフダの前で荒馬や太刀振りを披露する。また、沿道の家々では玄関先に酒や漬物、笹餅、菓子などを用意して接待する。これをカドザケといい、カドザケを受けると玄関先で荒馬や太刀振りを披露してから飲み食いする。 こうして集落内を巡り終えると、最後に集落の南境に鎮座する氏神の神明宮境内の木に、ムシとコムシを集落の方に向けて掛ける。そして、境内に生えているフキを採って頭上で振りながら囃子に合わせて踊り、最後に神明宮に参拝して終了する。なお、翌日、相内青年団より各戸にムシフダが配布され、人々はこれを自分の田の水口などに立てて、害虫の駆除・予防と豊作を祈願する。 (※解説は指定当時のものをもとにしています)