国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
大島半島のニソの杜の習俗
ふりがな
:
おおしまはんとうのニソのもりのしゅうぞく
大島半島のニソの杜の習俗
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年11月22か23日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2010.03.11(平成22.03.11)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
福井県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
大島半島のニソの杜の習俗
解説文:
詳細解説
この習俗は、大飯郡おおい町大島地区に伝承される習俗で、11月22日あるいは23日にカミを祀るニソの杜で行われる。ニソの杜は、この地区の開発にあたった24家の先祖を祀ると伝承される32箇所ほどの聖地で、個人で祀るもの、数軒が共同で1箇所あるいは複数箇所を祀るものなどがある。これらの杜にはニソ田があり、そこで収穫されたもので祭祀料をまかない、祭祀終了後は祭祀をする家がその年の祭祀当番の家に集まって飲み食いするニソ講を行うこともあった。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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大島半島のニソの杜の習俗
大島半島のニソの杜の習俗
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大島半島のニソの杜の習俗
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大島半島のニソの杜の習俗
解説文
この習俗は、大飯郡おおい町大島地区に伝承される習俗で、11月22日あるいは23日にカミを祀るニソの杜で行われる。ニソの杜は、この地区の開発にあたった24家の先祖を祀ると伝承される32箇所ほどの聖地で、個人で祀るもの、数軒が共同で1箇所あるいは複数箇所を祀るものなどがある。これらの杜にはニソ田があり、そこで収穫されたもので祭祀料をまかない、祭祀終了後は祭祀をする家がその年の祭祀当番の家に集まって飲み食いするニソ講を行うこともあった。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
大島半島のニソの杜の習俗は、福井県大飯郡おおい町大島地区に伝承される習俗で、11月22日あるいは23日にカミを祀るニソの杜で行われる。 大島地区には、この地区の開発にあたった24家の先祖を祀ると伝承される32箇所ほどのニソの杜と総称される聖地があり、それぞれ地名を付して、はぜの杜、清水(すず)の前の杜、浦底の杜などと個別に呼ばれている。この杜は、普段は地元ではニンソーとかモリさんと呼ばれている。 ニソの杜は、個人で祀るもの、数軒が共同で1箇所あるいは複数箇所を祀るものなどがある。例えば、はぜの杜は個人が1軒で祀り、清水の前の杜は6軒が1年交替で祀っている。また浦底の杜も現在4軒で1年交替で祀っている。をたけの杜、今安の杜、井上の杜は3軒でそれぞれを1年交替で祀っていたという。これらのニソの杜にはニソ田があり、そこから収穫されたもので祭祀料をまかない、祭祀終了後には一緒に祭祀をする家がその年の祭祀当番の家に集まり飲み食いするニソ講を行うこともあった。 ニソの杜は、祭日以外は決して近づいてはならない場所とされ、タモやシイの木、ツバキ、タケなどが生い茂っている。この木を伐ることも禁忌とされ、伐るとよくないことが起きると伝承されている。神木とされる木の根本には小祠が祀られているものが多い。また、小祠の近くにカラスグチとかカラスグイと呼ばれる供物を供える場があるものもある。このカラスグイに供えた供物を烏が食べると「オトがあがった」といい、早く食べられれば早いほどいいのだと伝承されている。 供物は藁つとの上に赤飯、さらにその上に粢をのせたもので、これを家で用意していって供える。ニソの杜にお参りするときは1人でいくものではないといわれ、妻と2人で行って祭祀することが多いが、近年は祭祀をやめる家もあり、また、鳥獣害除けの柵がはられて近づくことができずに祭祀できない杜も多くなっている。現在も祭祀が行われているのは32箇所ほどのうち10箇所前後ではないかと推定されている。 例えば、はぜの杜では、11月22日に夫婦2人で祭祀を行なう。この杜にはカラスグチと小祠があり、まず「神さんがここのタモの木から下りてくる」と信じられているカラスグチをお参りする。タモの木の根本に日本海に面した外海と呼ばれる海岸部からとってきた砂利を敷き、その上に粢をのせた赤飯のむすび5個を藁つとにのせて供え幣束を立てて祀る。これが済むと小祠に行き、その前に外海からとってきた砂利を敷きカラスグチと同じ供物を供える。さらに幣束を6本ずつ束ねたものを小祠の左右に立てて拝むと祭祀は終わる。 清水の前の杜は6軒で祭祀を行い、6軒が1年交替で当番を務めるがその年穢れがあると当番を別の家と交替する。ここもカラスグチと小祠があるが、現在はその間に原子力発電所の道路が通り分断されている。杜のタモの木やタケはカミの木なので伐ると祟りがあると伝承され、枯れても片付けずにそのままにしてある。 今安の杜は個人が1軒で祭祀を行っている。ふだんはこの杜をたんにニンソーと呼んでいる。本来はこの今安の杜とをたけの杜、井上の杜の3箇所を3軒の家で1年交替で祀る杜を交替しながら祭祀していたが、現在では毎年同じ杜を祭祀することになった。以前はニソ田があり、祭祀が終わると3軒でニソ講をしていたが現在では行っていない。前年供えた幣束や注連縄などははずして小祠の脇に置いたままにしておく。 以上のように杜ごとに少しずつ相違はあるものの、現在では多くの杜で祭祀が行われなくなり、ニソ田の耕作、ニソ講も行われなくなっている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)