国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
伊那谷のコト八日行事
ふりがな
:
いなだにのことようかぎょうじ
伊那谷のコト八日行事
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年2月8・9日ほか(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『伊那谷のコト八日行事』(企画文化庁・制作TEM研究所・平成27年3月)
選択番号
:
選択年月日
:
2011.03.09(平成23.03.09)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
長野県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
伊那谷のコト八日行事
解説文:
詳細解説
この行事は、長野県の飯田市や駒ヶ根市、下伊那郡などの伊那谷に伝承される習俗で、2月8日と9日あるいは他の日に行われるコト八日関連の行事で、コトノカミオクリ、コトネンブツなどと呼ばれる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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伊那谷のコト八日行事
伊那谷のコト八日行事
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伊那谷のコト八日行事
解説文
この行事は、長野県の飯田市や駒ヶ根市、下伊那郡などの伊那谷に伝承される習俗で、2月8日と9日あるいは他の日に行われるコト八日関連の行事で、コトノカミオクリ、コトネンブツなどと呼ばれる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
伊那谷のコト八日行事は、長野県の飯田市や駒ヶ根市、下伊那郡などの伊那谷に伝承される習俗で、2月8日と9日あるいは他の日にコトノカミオクリ、コトネンブツなどと呼ばれるコト八日関連の行事が行われている。 伊那谷では、2月8日あるいは9日にコトノカミオクリあるいはオクリガミ、カゼノカミオクリなどと呼ばれる行事が行われ、その前日もしくは数日前にコトネンブツ、タイショウコウジンなどと呼ばれる行事が行われている。この2つの行事は、前者のみ行う集落もあるが、多くの集落では2つを一体として行っている。 飯田市上久堅原平の例にみると、コトノカミオクリの前に行われるコトネンブツあるいはタイショウコウジンは、2月9日のコトノカミオクリと一体で行われる。以前は2月7日に行っていたが、現在は2月第一土曜日に行っている。参加者は小学2年生から中学2年生までの男子全員である。以前には参加できるのは各家男子1人のみとされていたが、少子化の影響もあり、現在では年齢に達した男子は全員参加できる。夕方から始まり集落内の各家の他、神社、堂や祠、石仏などをまわる。まわった先では鉦・太鼓を叩きながらコトネンブツを唱え、オフセをもらう。全部まわり終わると、最後にオフセを子どもたちが均等に分けて終了する。 また、飯田市越久保では、2月7日にコトネンブツを行い、8日にコトノカミオクリを行っている。以前は10歳から15歳の男子が各家から1人ずつであったが、平成10年頃から少子化の影響もあり同年齢の女子も参加させている。夕方暗くなる頃からコトネンブツが始まり、15歳の年長者が「頭取」、その下の年齢の者が「太鼓叩き」、その下が「お金集め」、初めて参加する者を「新兵」と呼ぶなど年齢階梯的な子どもたちの組織により担われている。子どもたちは集落の各家と集落内に祀られている稲荷、富士神社、ウエイデンサマをまわる。各家ではオダチンと呼ぶお金を「お金集め」に渡す。また、翌朝のコトノカミオクリの道筋からはずれる家からは「南無阿弥陀仏」と書いた小旗を結びつけた笹竹や五色の幣束を受け取り、翌朝のコトノカミオクリの際、集落内の道筋の家から集めた旗とともに、集落境の尾根から谷底に向かって大旗、幣束、鉦のバチを投げ捨て、風邪の神がついてくるから後ろを見てはいけないといって走って戻る。 また、喬木村富田では2月9日にコトネンブツを行い、翌日の朝に当番の者が集落内の各家が道路端や辻に立てた笹竹を集め隣の集落との境まで送ってくる。この笹竹には五色の紙を貼るか、「南無阿弥陀仏」と書いた紙を結び付け、その下部に家族の人数分の馬の字を書いた小旗を吊し、家族のボンノクボの毛と洗米を包んだオヒネリをゆわえつける。 この行事は、コトネンブツとコトノカミオクリが一体で行われ、年の初めなどに村にふりかかる災厄を防ぎ送り出そうとする行事である。子どもたちによって担われることが多い点や、集落の中を巡って笹竹などとともにコトノカミを集落境まで送り出す点に特色がみられる。集落を襲う災厄や疫神を防ぎ、送り出す行事として早くから注目されてきたものであるが、近年の生業形態の変化や少子高齢化などの社会構造の変化などにより、衰退・変貌のおそれが高くなりつつあねことから、早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)