国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
鳥海山北麓の獅子舞番楽
ふりがな
:
ちょうかいさんほくろくのししまいばんがく
解説表示▶
種別1
:
民俗芸能
種別2
:
神楽
その他参考となるべき事項
:
公開日:各地区の神社祭礼日ほか(選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2012.03.08(平成24.03.08)
追加年月日
:
選択基準1
:
(二)芸能の変遷の過程を示すもの
選択基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
秋田県
所在地
:
保護団体名
:
屋敷番楽保存会
坂之下番楽保存会
濁川獅子舞保存会
伊勢居地番楽保存会
釜ヶ台番楽保存会
冬師番楽保存会
鳥海山小滝番楽保存会
横岡番楽保存会
解説文:
詳細解説
鳥海山北麓の獅子舞番楽は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に伝承されてきた神楽で、獅子舞をはじめとする豊富な演目を伝えており、地域的特色が豊かである。また、隣接した地域に伝承される本海獅子舞番楽【ほんかいししまいばんがく】との影響関係も注目される事例である。
本件は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に伝承されてきた神楽である。秋田県由利本荘市鳥海町に伝わる本海獅子舞番楽から伝授されたと言い伝えられ、本海流あるいは本海系を称したり、演目等にその影響がみられるもので、獅子舞番楽や獅子舞、あるいは番楽と呼ばれている。
演じる時期は地区により異なるが、幕開【まくひら】きを行ってその年の活動を始め、幕納【まくおさ】めで活動を締めくくる。その間、各地区の神社祭礼、盆などで演じるほか、地区内を練り歩き、家々を訪れて神棚へ獅子舞を奉納する門獅子(かどじし)を行うところもある。
重要視される獅子舞のほか、各地区とも20番前後の演目を伝えている。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
解説文
鳥海山北麓の獅子舞番楽は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に伝承されてきた神楽で、獅子舞をはじめとする豊富な演目を伝えており、地域的特色が豊かである。また、隣接した地域に伝承される本海獅子舞番楽【ほんかいししまいばんがく】との影響関係も注目される事例である。 本件は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に伝承されてきた神楽である。秋田県由利本荘市鳥海町に伝わる本海獅子舞番楽から伝授されたと言い伝えられ、本海流あるいは本海系を称したり、演目等にその影響がみられるもので、獅子舞番楽や獅子舞、あるいは番楽と呼ばれている。 演じる時期は地区により異なるが、幕開【まくひら】きを行ってその年の活動を始め、幕納【まくおさ】めで活動を締めくくる。その間、各地区の神社祭礼、盆などで演じるほか、地区内を練り歩き、家々を訪れて神棚へ獅子舞を奉納する門獅子(かどじし)を行うところもある。 重要視される獅子舞のほか、各地区とも20番前後の演目を伝えている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
鳥海山北麓の獅子舞番楽は、鳥海山を中心にした山岳信仰を背景に伝承されてきた神楽である。秋田県由利本荘市鳥海(ちようかい)町に伝承される本海獅子舞番楽(ほんかいししまいばんがく)から伝授されたと言い伝えられ、本海流あるいは本海系を称したり、演目等にその影響がみられるもので、獅子舞番楽や獅子舞、あるいは番楽と呼ばれている。本件は、鳥海山北麓の秋田県由利本荘市の西沢(にしさわ)、矢島(やしま)町坂之下、矢島町荒沢、にかほ市の伊勢居地(いせいじ)、釜ヶ台(かまがたい)、冬師(とうし)、象潟(きさかた)町小滝、象潟町横岡に伝わり、各地区の神社祭礼などの機会に演じられている。 鳥海山は、標高2,236mの独立峰で、たびたび噴火した記録がある活火山であり、その姿と度重なる火山活動から、古くより人々の信仰を集めた。鳥海山の麓には鳥海山の修験の活動拠点となった登拝口がある。本件は、秋田側の登拝口である滝沢口、矢島口、院内口、小滝口周辺にそれぞれ伝承されてきた。 獅子舞番楽の始まりは定かではないが、本海上人(ほんかいしょうにん)によって寛永年間(1624~1644)頃に広められたとする本海獅子舞番楽を習得し、伝えたとの伝承を持つところが多い。小滝に万治2(1659)年の銘のある番楽面が残されているのが古く、他には屋敷の寛政年間(1789~1801)の墨書がある獅子頭や、小滝の嘉永7(1854)年の言立(いいたて)本、濁川の元治元(1864)年の言立本などがある。現在の獅子舞番楽と同内容とは断定できないものの、19世紀には既に獅子舞番楽が盛んであったことがうかがえる。 鳥海山北麓の獅子舞番楽は、演じる時期は地区により異なるが、その年の舞初めである幕開きから、舞納めである幕納めまでの間、さまざまな機会に演じられている。幕開きは正月に行うところと、6月中旬から7月にかけて行うところがあり、幕納めは9月から12月にかけて行われている。例えば屋敷番楽では、7月の幕開きの後、8月16日と26日に地区内の春日神社へ奉納するほか、9月には地区内を練り歩き、家々を訪れて神棚へ獅子舞を奉納する門獅子を行い、12月に幕納めをする。幕開きでは神楽は行わず、カシラガタメ(頭固め)と称する酒宴を催す。春日神社での奉納においては、まず獅子舞を演じた後、10数番の演目を舞う。 いずれの獅子舞番楽も、神社の拝殿や民家の座敷、公民館などで演じられる。舞場の正面後方に幕を張り、幕の後ろを楽屋とし、舞手は適宜幕を上げ下ろしして楽屋と舞場を行き来する。囃子は長胴枠付き締太鼓、笛、銅拍子(どびようし)からなる。地区により楽屋で演奏したり、舞場に出ていたりとさまざまである。舞手は台詞を言うことはなく、言立という台詞部分は別の者が担当する。この言立役は楽屋に位置する。 獅子舞は、獅子頭を持つ舞手と舞手の背後で獅子の幕をさばく者の二人により演じられる。前者が獅子の上下の顎を打ち合わせる歯打ちや、獅子頭を左右に激しく振り返すなどの所作を繰り返し演じるのに合わせ、後者が舞手に幕をくぐらせたり、幕を広げたりする。獅子舞以外の演目は、儀式的な舞である式舞(しきまい)、神舞(かみまい)、武士舞、女舞(おんなまい)、道化舞(どうけまい)に大きく区分され、伝承演目は各地区とも20番前後を数える。獅子舞は他の演目に先立って演じられる。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)