国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
野中の田楽
ふりがな
:
のなかのでんがく
解説表示▶
種別1
:
民俗芸能
種別2
:
田楽
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年10月9日、10日に近い土曜、日曜日(選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2013.03.12(平成25.03.12)
追加年月日
:
選択基準1
:
(二)芸能の変遷の過程を示すもの
選択基準2
:
(三)地域的特色を示すもの
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
京都府
所在地
:
保護団体名
:
野中文化財保存会
解説文:
詳細解説
野中の田楽は、ビンザサラ役と太鼓役による踊りの隊形や、踊り方、伝承演目などから、平安時代から鎌倉時代にかけて、主に職業芸能者である田楽法師が演じた田楽の姿を良くうかがわせる伝承として注目されるものである。ビンザサラを様々に変化させて扱うところにも特色がある。
本件は、京都府京丹後市弥栄町野中にある大宮神社の祭礼に奉納される芸能である。ビンザサラ役5名と太鼓役4名、笛役、小鼓役各1名で演じられる。
ビンザサラは、約60枚の短冊形の板の一端を紐で綴り合わせた楽器である。一枚の板の大きさは、長さ約20㎝、幅約3㎝である。ビンザサラ役は少年か少女が務めることになっており、最年少の一人はビンザサラを持たず手拭いを持って踊る。ビンザサラ役と成人男性が務める太鼓役がそれぞれ縦一列に並ぶ二列編成が踊りの基本の隊形で、ビンザサラ同士、太鼓同士で向き合ったり、ビンザサラと太鼓が向き合ったり、相互に場所を入れ替わったりしながら笛の旋律にあわせて踊る。
ビンザサラ役がビンザサラを手に持ち踊る「飛び開き」「ハグクミ」「ササラ踊り(オリワゲ)」、ビンザサラを膝前に置いての「手踊り」、扇を持って踊る「扇の舞(ユリ舞)」が伝承されている。ビンザサラを高く掲げたり、頭上でひねったり、片手で持って高く上げ、上体を後ろに反らせるなど、ビンザサラを鳴らすだけではなく、様々に変化をつけて扱いながら踊る。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
解説文
野中の田楽は、ビンザサラ役と太鼓役による踊りの隊形や、踊り方、伝承演目などから、平安時代から鎌倉時代にかけて、主に職業芸能者である田楽法師が演じた田楽の姿を良くうかがわせる伝承として注目されるものである。ビンザサラを様々に変化させて扱うところにも特色がある。 本件は、京都府京丹後市弥栄町野中にある大宮神社の祭礼に奉納される芸能である。ビンザサラ役5名と太鼓役4名、笛役、小鼓役各1名で演じられる。 ビンザサラは、約60枚の短冊形の板の一端を紐で綴り合わせた楽器である。一枚の板の大きさは、長さ約20㎝、幅約3㎝である。ビンザサラ役は少年か少女が務めることになっており、最年少の一人はビンザサラを持たず手拭いを持って踊る。ビンザサラ役と成人男性が務める太鼓役がそれぞれ縦一列に並ぶ二列編成が踊りの基本の隊形で、ビンザサラ同士、太鼓同士で向き合ったり、ビンザサラと太鼓が向き合ったり、相互に場所を入れ替わったりしながら笛の旋律にあわせて踊る。 ビンザサラ役がビンザサラを手に持ち踊る「飛び開き」「ハグクミ」「ササラ踊り(オリワゲ)」、ビンザサラを膝前に置いての「手踊り」、扇を持って踊る「扇の舞(ユリ舞)」が伝承されている。ビンザサラを高く掲げたり、頭上でひねったり、片手で持って高く上げ、上体を後ろに反らせるなど、ビンザサラを鳴らすだけではなく、様々に変化をつけて扱いながら踊る。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
野中の田楽は、京都府京丹後市弥栄町野中の大宮神社祭礼に奉納される芸能の一つである。ビンザサラ役と太鼓役がそれぞれ縦一列に並んだ二列編成を基本の隊形とし、相互に向き合ったり、位置を入れ替わるなど隊形を変えながら踊る。またビンザサラ役は、ビンザサラを高く掲げたり、捻るなどの様々な所作をみせる。 野中は、京都府北西部、丹後半島の中央に位置する、宇川上流の谷間に形成された集落である。地名の由来は、野間谷と称される谷間の中心にあることによるという。野中に鎮座する大宮神社は、野間谷各村の総鎮守で、正慶元(1332)年の創建とする棟札がある。同社の祭礼はかつて旧暦9月8、9日とされ、後に新暦10月になり、現在は10月9、10日に近い土曜、日曜日に行われている。祭礼には、野中地区の田楽のほか、大谷地区が獅子神楽、田中と中津の両地区が太刀振りを奉納する。獅子神楽は、二人立ちの獅子舞で伊勢の太神楽の系統であり、太刀振りは、稚児の棒と青年の太刀による踊りである。 野中の田楽は、ビンザサラ5名と太鼓4名、笛・小鼓各1名で演じられる。 ビンザサラ役は本来、少年が務めるが、地区の少子化により少女の参加も現在は認めている。野中のビンザサラは、約60枚の短冊形の板の一端を紐で綴り合わせたもので、一枚の板は長さ約20cm、幅約3cmである。ビンザサラ役のうち最年少の一人はビンザサラを持たずに手拭いを持って踊る。衣裳は揃いの着物を着用しているが、もとは母親の着物を身に付けた。襷をかけ、鉢巻きを後ろ結びにして長く垂らし、白足袋を履く。ビンザサラ以外の各役は成人男性による。太鼓役は黒紋付に裃、白足袋で、腰前に枠付締太鼓を革面を上にして付ける。笛役は紋付羽織である。小鼓は、近隣の中山地区の決まった家の者が務めることになっている。小鼓役が来ないと田楽は始まらないとされているが、現在は小鼓を鳴らすことはなく、踊りの脇に立つだけである。 田楽は宵宮に、野中地区の入り口にあるネギと呼ぶ家の座敷、神社境内、次いで宮司宅の座敷で踊られる。祭礼当日は、再びネギ宅で踊った後、ビンザサラ役が太鼓を抱え持ち、太鼓役がそれを打ちながら神社へと移動する。神社での奉納はないが、神輿への御魂移(みたまうつ)しの際には太鼓と笛が近くに跪き、楽を奏する。その後は神輿の神幸に従い御旅所へ行き、そこで奉納する。屋外では筵を敷いて、その上で踊る。 野中の田楽は、ビンザサラを手に持ち踊る「飛び開き」「ハグクミ」「ササラ踊り(オリワゲ)」、ビンザサラを膝前に置いての「手踊り」、扇を持って踊る「扇の舞(ユリ舞)」で構成される。飛び開きから手踊りまでは、ビンザサラと太鼓がそれぞれ縦一列に並んだ二列編成を基本の隊形とする。基本形からビンザサラ同士、太鼓同士が向き合ったり、ビンザサラと太鼓が向き合ったり、場所を入れ替わったり、一方が座し、一方が立つなどして踊る。扇の舞では太鼓が四隅に立つなか、ビンザサラ役が対角線上に斜めに並んで踊る。少年は、ビンザサラを高く掲げ持ったり、頭上でひねったり、ビンザサラを片手で持って高く上げ、上体を後ろに反らせるなど、ビンザサラを単に鳴らすだけではなく様々に変化をつけて扱う。飛び開きは各曲の間に必ず演じられる。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)