国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
親沢の人形三番叟
ふりがな
:
おやざわのにんぎょうさんばそう
丈(左)、千代(中央)、翁(右)
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種別1
:
民俗芸能
種別2
:
渡来芸・舞台芸
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年4月第1日曜日(選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2015.03.02(平成27.03.02)
追加年月日
:
選択基準1
:
(二)芸能の変遷の過程を示すもの
選択基準2
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(三)地域的特色を示すもの
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
長野県
所在地
:
保護団体名
:
親沢区
丈(左)、千代(中央)、翁(右)
解説文:
詳細解説
親沢の人形三番叟は、親沢諏訪神社の春の祭礼で奉納される操り人形の三番叟である。人形の首【かしら】は偃歯式【えんばしき】といううなずきの仕掛けが設けられているもので、遣【つか】い方とともに伝承されている唯一の事例とみられている。操り人形の遣い方の古い事例であり、芸能の変遷の過程や地域的特色を示していて貴重である。
本件は、長野県南佐久郡小海町の親沢区に伝わる操り人形戯【にんぎょうぎ】で、親沢諏訪神社の春の祭礼で演じられている。
三番叟の人形は,翁【おきな】・千代【ちよ】・丈【じょう】といわれる3体の人形が用いられ、人形はいずれも偃歯式の首である。偃歯とはセミクジラのヒゲで、偃歯式ではこれを遣い手が握る首の心串(しんぐし)から頭部の中に通し、引くことによりうなずかせるもので、うなずきの仕掛けでは最も古いと考えられている。人形の遣い手は、翁と千代は1人、丈は2人で人形を操る。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
丈(左)、千代(中央)、翁(右)
丈(前方)、千代(後方)
写真一覧
丈(左)、千代(中央)、翁(右)
写真一覧
丈(前方)、千代(後方)
解説文
親沢の人形三番叟は、親沢諏訪神社の春の祭礼で奉納される操り人形の三番叟である。人形の首【かしら】は偃歯式【えんばしき】といううなずきの仕掛けが設けられているもので、遣【つか】い方とともに伝承されている唯一の事例とみられている。操り人形の遣い方の古い事例であり、芸能の変遷の過程や地域的特色を示していて貴重である。 本件は、長野県南佐久郡小海町の親沢区に伝わる操り人形戯【にんぎょうぎ】で、親沢諏訪神社の春の祭礼で演じられている。 三番叟の人形は,翁【おきな】・千代【ちよ】・丈【じょう】といわれる3体の人形が用いられ、人形はいずれも偃歯式の首である。偃歯とはセミクジラのヒゲで、偃歯式ではこれを遣い手が握る首の心串(しんぐし)から頭部の中に通し、引くことによりうなずかせるもので、うなずきの仕掛けでは最も古いと考えられている。人形の遣い手は、翁と千代は1人、丈は2人で人形を操る。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
親沢の人形三番叟は、長野県南佐久郡小海町大字小海字村内(むらのうち)西親沢区に伝わる操(あやつ)り人形戯(にんぎょうぎ)で、親沢諏訪神社の春の祭礼で演じられている。 親沢諏訪神社の境内には、社殿の前に東舞台、西舞台と呼ばれる二棟の建物が向かい合う形で建てられており、五穀豊穣を祈願する春の祭礼に、同町の川平(かわひら)の獅子舞とともに親沢の人形三番叟が上演される。祭礼当日の昼過ぎ、隣の川平地区から川平の獅子舞の行列が境内に入ると、親沢の人形三番叟の行列も集会所から境内に続いて入り、それぞれ神前で御神酒をいただき、川平の獅子舞は東舞台、親沢の人形三番叟は西舞台に入る。舞台の形は、東舞台が一般的な平舞台なのに対し、西舞台は人形三番叟に合わせて人形の遣い手の腰から下を隠す横板の手摺(てすり)に相当する壁が観客側に設けられている。 午後1時ごろから川平の獅子舞が東舞台で奉納されたあと、午後3時ごろから親沢の人形三番叟が西舞台で上演される。一般に三番叟は、翁(おきな)・千歳(せんざい)・三番叟(さんばそう)の三体で演じられるが、ここでは人形を翁(おきな)・千代(ちよ)・丈(じょう)と呼び、いずれも首(かしら)に偃歯(えんば)式または偃歯棒式といわれる機巧が設けられている。 偃歯とはセミクジラのヒゲをいい、偃歯式は偃歯を首の中に差し込むように設置し、人形の遣い手が心串(しんぐし)のあたりから引く操作で人形の首をうなずかせるものである。この偃歯式は、うなずきの機巧のなかで最も古い形をとどめていると考えられており、その後心串に付けた木片で操作する小猿式、次いで首の中からぶら下がった糸を引くブラリ式、さらに凸型の引っ掛けを滑らせて糸を引く引栓式という変遷過程を経たと推測されている。 人形の遣い手は、翁と千代は1人、丈は2人で、左手の掌に首を立て人形の左手を水平に持ち、右手で人形の右手を水平に持つ。丈は、もう一人が足を持って人形を操る。囃子方は、大鼓1人、小鼓4人、笛3人で、笛のうち1人は太鼓を兼ねる。舞は、翁の謡、千代の舞、翁の舞、三番叟の舞と続く。終幕は囃子を勢いよく演奏し、丈を激しく動かして舞台外へ乗り出したのち幕となる。最後に川平の獅子舞とともに東西の舞台に出演者が並んで立ち、互いに礼をして終了する。 人形三番叟の演者は、人形の遣い手、囃子方を含め12人が一組となって7年間続けて演じ、7年間を終了すると親方といわれる指導者となって、次の現役に一人ずつ付く。現役の家に葬儀等で忌み慎む必要が出たときは、前任の親方が順次代演することになっており、現在まで中断することがなく上演を続けてきている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)