国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
中陣のニブ流し
ふりがな
:
なかじんのにぶながし
中陣のニブ流し
写真一覧▶
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年7月最終日曜日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
選択年月日
:
2018.03.08(平成30.03.08)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
富山県
所在地
:
保護団体名
:
中陣ニブ流し保存会
中陣のニブ流し
解説文:
詳細解説
本件は,富山県黒部市の中陣地区に伝承される眠り流し系統の行事で,子供たちが麦藁や色紙等で小型の船を作り,川に流して送る。ニブとは,ネブタと同じ語源を持つ呼称で,睡魔を意味するとされ,ニブ流しは,夏の時期に農作業等の労働を妨げる眠気や心身の穢れを作り物の船に託して流し送る行事であると伝えられている。
ニブ流しは,7月最終日曜日の夕方に地区を流れる前川で行われる。子供たちは,中陣ニブ流し伝承者養成館の広場に各自で製作した船を持って集まる。一同が揃うと列を組み,船を曳きながら集落内を練り歩く。その後,子供たちは伝承者養成館前の土手から川に入り,下流のニブ橋までの間を歩きながら船を押し流す。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
中陣のニブ流し
中陣のニブ流し
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中陣のニブ流し
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中陣のニブ流し
解説文
本件は,富山県黒部市の中陣地区に伝承される眠り流し系統の行事で,子供たちが麦藁や色紙等で小型の船を作り,川に流して送る。ニブとは,ネブタと同じ語源を持つ呼称で,睡魔を意味するとされ,ニブ流しは,夏の時期に農作業等の労働を妨げる眠気や心身の穢れを作り物の船に託して流し送る行事であると伝えられている。 ニブ流しは,7月最終日曜日の夕方に地区を流れる前川で行われる。子供たちは,中陣ニブ流し伝承者養成館の広場に各自で製作した船を持って集まる。一同が揃うと列を組み,船を曳きながら集落内を練り歩く。その後,子供たちは伝承者養成館前の土手から川に入り,下流のニブ橋までの間を歩きながら船を押し流す。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
中陣のニブ流しは、富山県黒部市の中陣地区に伝承される眠り流し系統の行事で、子供たちが麦藁や色紙などで小型の船を作り、川に流して送る。ニブとは、ネブタと同じ語源を持つ呼称で、睡魔を意味するとされ、ニブ流しは、夏の時期に農作業などの労働を妨げる眠気や心身の穢れを作り物の船に託して流し送る行事であると伝えられている。 黒部市は、日本海に面した富山県北東部に位置する。中陣地区は、市域の内陸部、黒部市と魚津市の境を流れる布施川上流の布施谷と呼ばれる山あいの地域にあり、ニブ流しは、当地の通称で前川と呼ばれる布施川支流の大谷川で行われる。 一般に眠り流しと呼ばれる行事は、旧暦7月7日や7月初旬に行っている地域が多くみられるが、中陣では、毎年7月31日に行われてきており、旧暦6月晦日に行われる夏越の祓えとの習合が考えられている。なお、期日については、平成29年度から7月最終日曜日に変更している。 ニブ流しは、集落をあげての夏の年中行事として古くから中陣地区に伝えられてきたが、昭和30年代後半になると生活様式や就業形態の変化が進むとともに、船を流す前川の改修も行われ、伝承が危うくなった時期があったものの、昭和50年代に当地の青年団や壮年会の後押しによって再び盛んに行われるようになり、今日に至っている。現在は、中陣ニブ流し保存会の指導のもと、青年団や壮年会の協力を得ながら、中陣地区の小学生のいる家を中心に行事が伝承されている。 中陣では、子供たちが夏休みに入ると行事に用いる船を作りはじめる。船は、竹ひごを束ねて組んだ船体の骨組に麦藁を巻き付け、中央に帆柱を立て、船上や周囲を色紙の旗や花、提灯などで飾り付けたもので、全長1m程の大きさになる。かつては、地区の青年たちが船を製作し、子供たちに与えて行事を行っていたというが、現在は各家で大人が手伝いながら子供たちが製作する。また、近年は、地元の小学校などが学校単位で大きな船を製作し、行事に参加している。 行事の当日は、夕方になると、地区内にある中陣ニブ流し伝承者養成館の前の広場に子供たちがそれぞれに製作した船を持って集まってくる。かつては、地区の公民館に集合していたが、平成9年に本行事の伝承施設として伝承者養成館が設けられてからは、行事の写真や古い船などを館内に展示するとともに、この施設を伝承活動や行事当日の宿として使用している。 子供たちは、持参した船を養成館の前に一列に並べて飾り、参加する一同が揃うと列を組んで出発し、地区内を練り歩く。中学生が担ぐニブ神輿と呼ばれる大きな藁船の神輿を先頭に、大人たちの演奏する笛や太鼓に合わせて、船を台車に載せて曳いたり、押したりしながら地区内を一巡する。 その後、子供たちは、養成館の広場に戻り、集まった地区の人たちの前で、ニブの歌と呼ばれる行事の歌を全員で歌う。ニブの歌は、昭和5年に地区の青年団長らが作詞作曲したもので、以来、行事の際には欠かさず歌われてきている。 これが終わると船流しとなる。子供たちは、船を持って養成館前の土手から降りて前川に入り、下流のニブ橋までの間を歩きながら船を押し流す。小さな子供の場合は、親も一緒に川に入り、親に付き添われながら浅瀬を歩いて船を流す。船は、かつてはそのまま川に流したり、引き上げてから燃やしたりしていたが、現在は、飾りの部分のみを外して燃やし、船の骨組部分は古くなるまで使い続けている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)