国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
浜通りのお浜下り
ふりがな
:
はまどおりのおはまおり
〇鹿島神社のお浜下り(広野町)
写真一覧▶
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開期日:毎年4月ほか(※選択当時:お出かけの際は該当の市町村教育委員会にお問い合わせください)
選択番号
:
選択年月日
:
2020.03.16(令和2.03.16)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
福島県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
〇鹿島神社のお浜下り(広野町)
解説文:
詳細解説
本件は、通称、浜通りと呼ばれる福島県沿岸部で顕著にみられる祭礼である。その概要は、神が出御し、潮垢離といって浜に下って潮をとり、再び還御するといったもので、その途次では帯同する諸芸能が繰り返し奉納されることが少なくない。祭礼日としては、例外もあるが、おおむね4月8日が中心となっている。また、毎年ではなく、長期の一定間隔を置いて周期的に行うところもある。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
〇鹿島神社のお浜下り(広野町)
〇男山八幡神社のお浜下り(南相馬市)
写真一覧
〇鹿島神社のお浜下り(広野町)
写真一覧
〇男山八幡神社のお浜下り(南相馬市)
解説文
本件は、通称、浜通りと呼ばれる福島県沿岸部で顕著にみられる祭礼である。その概要は、神が出御し、潮垢離といって浜に下って潮をとり、再び還御するといったもので、その途次では帯同する諸芸能が繰り返し奉納されることが少なくない。祭礼日としては、例外もあるが、おおむね4月8日が中心となっている。また、毎年ではなく、長期の一定間隔を置いて周期的に行うところもある。
詳細解説▶
詳細解説
浜通りのお浜下りは、通称、浜通りと呼ばれる福島県沿岸部で顕著にみられる祭礼である。その概要は、神が出御し、海浜に下って潮をとり、再び還御するといったもので、その途次では付帯する諸芸能が繰り返し奉納されることが少なくない。祭礼日としては、もちろん例外もあるが、おおむね「お八日」「神日」などといわれる4月8日を中心としている。近年では、その日に近い土・日曜日をあてることも多くなった。また、毎年ではなく、長期の一定間隔を置いて周期的に行うところもある。 浜下りと呼ばれる祭礼は全国各地にみられるが、当地の特色として、行き先となる浜には漂着神伝承がともなっており、当該神の降臨の地とする例が少なくなく、そのため、およそ浜は特定の場所となっている。神の潮垢離については、地域によっても異なるが、海水を汲んで供える、あるいはそれを振りかける、神輿そのものが海に入るなどがある。そして、祭りの意義としては、当該神自体の出自来臨の再現を果たしつつ、禊ぎをするなど、潮の浄祓力によって、神の蘇生をはかるものと考えられている。 たとえば、南相馬市にある男山八幡神社のお浜下りは、12年に一度、戌年の4月7日に行われる。この日の早朝、神社に集まった大勢の氏子らは行列をなし、神輿とともに浜へと向かう。浜は7.8kmほど離れた鳥浜である。この途次では、タテバと呼ぶ御旅所が3か所設けられており、順次各所で休憩しつつ、その場で諸芸奉納といって、獅子舞や手踊りなどが展開される。また、最後のタテバでは関所が設けられており、浜集落より通行の許認を受ける儀式もある。こうして、昼頃に浜に着くと、神輿をはじめ関係者一同は竹矢来に囲まれた斎場へと入場し、まずは神職による所定の神事が行われる。この際に潮垢離、潮汲みと称し、白衣姿の区長が海へ入って行き、汲み桶を捧げ持って神前(神輿)へと献じる儀式がある。そして、その後はこれまでと同様、諸芸の奉納があって還御となる。なお、翌8日には、神社境内にて奉納芸が催される。 楢葉町にある大滝神社のお浜下りは、4月7日に里宮である木戸八幡神社にいったん宮入(下山祭)をしてから、翌8日に行われる。当日は昼前に出発、猿田彦を先頭に神輿・囃子方と続き、神社より御旅所まで列をなして歩いていく。道中では、諸所で待ち合わせた参拝者らが神輿に向かって、おひねりを投げ込む慣習があって、賑わいをみせる。到着すると所定の神事があり、あらかじめ汲んでおいた潮桶が献じられる。このことを潮垢離といっている。終わると浦安の舞が奉納され、あとは木戸八幡神社まで戻ってゆく。震災前は、山田浜まで下りていたが、現在は堤防工事のため、入ってはいけない。なお、翌9日は木戸八幡神社から大滝神社への宮入(還御祭)がある。 広野町にある鹿島神社のお浜下りは、4月8日である。昼前に神社を出発、猿田彦を先頭に太鼓方・神輿と続き、町内を巡行したのち暫時休憩し、下浅見浜へと向かう。神輿への投げ銭の風は先述と同様である。到着すると、神輿を担いだまま海へと繰り出し、しばらく練ったのち、浜辺にあがって所定の神事を行い、祭りは終了となる。浜に近いこともあって、神社への帰路は三々五々である。以前は村境に御旅所が設けられていて、隣接地区の神輿と出会うことになっており、そこから両者合同による浜下りがあったが、現在は行われていない。なお、この浜下りは平成30年において、被災後、初の再興となった。