国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
丹波山のお松引き
ふりがな
:
たばやまのおまつひき
門松を積んだ山車
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
年中行事
その他参考となるべき事項
:
・公開日:毎年1月第2土曜日
選択番号
:
638
選択年月日
:
2025.03.28(令和7.03.28)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
山梨県
所在地
:
山梨県北都留郡丹波山村
保護団体名
:
丹波山村文化財保存会
門松を積んだ山車
解説文:
詳細解説
丹波山のお松引きは、山梨県北都留郡丹波山村に伝承される正月行事で、正月に各家で飾っていた門松を集めて大きな山車を作り、集落境にある道祖神場まで引いていき、その年に迎えた年神を送る。山車は、二股の木ゾリを土台にして、その上に丸太で櫓を組み、門松を積み重ね、全体に竹をさし立て覆った形態をとる。山車の正面には、その年の干支飾りと引き綱がつく。山車は、丹波地区の住民を中心に引かれ、木遣り歌やお囃子とともに進み、その途中では、縁起物の餅やミカンなどが撒かれる。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
門松を積んだ山車
お松引きの様子
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門松を積んだ山車
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お松引きの様子
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解説文
丹波山のお松引きは、山梨県北都留郡丹波山村に伝承される正月行事で、正月に各家で飾っていた門松を集めて大きな山車を作り、集落境にある道祖神場まで引いていき、その年に迎えた年神を送る。山車は、二股の木ゾリを土台にして、その上に丸太で櫓を組み、門松を積み重ね、全体に竹をさし立て覆った形態をとる。山車の正面には、その年の干支飾りと引き綱がつく。山車は、丹波地区の住民を中心に引かれ、木遣り歌やお囃子とともに進み、その途中では、縁起物の餅やミカンなどが撒かれる。
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詳細解説
丹波山のお松引きは、山梨県北都留郡丹波山村に伝承される正月行事で、家々が飾った門松を集めて山車を作り、集落境まで引いて、その年に迎えた年神を送る。 丹波山村は、山梨県の北東部、多摩川の源流となる丹波川流域に位置し、雲取山や大菩薩嶺など険しい山々に囲まれた山間集落である。焼畑や山稼ぎ、養蚕などを生業としてきた地域であり、村内には甲州裏街道とも呼ばれた青梅街道が通り、近世には村の中心となる丹波地区に丹波宿が置かれていた。 お松引きは、この丹波地区をはじめ、奥秋、保之瀬、高尾、押垣外の5つの地区に伝えられてきた。そのなかでも、丹波地区のお松引きが最も規模が大きく、山車の大きさも引き手の人数も多い。かつては、毎年1月7日に行われていたが、現在は、1月第2土曜日を期日としている。 当地で飾られる門松は、お松様や門松様と呼ばれ、年の暮れの12月30日に村内の山から松と竹を採ってきて、家の入口に飾り立てる。門松は、ホウグイと呼ばれる丸太を一対立て、ホウグイに添うように松と竹を取り付け、その間にしめ縄を張った形状である。なお、門松に用いられる松については、川越しの松は採ってはいけない、という伝承があり、丹波川を越えて採ることは禁忌とされている。 行事当日の朝、年神や門松などに七草粥を作って供える。その後、家族が七草粥を食べ終わると門松を外す。外した門松は、地区の産土神である熊野神社の前まで、各家の当主が引きずっていく。こうして各家の門松が集まると、丹波山村文化財保存会が主導して神社前の路上でお松引きの山車作りが始まる。行事の準備や全体の采配は、かつては、地区の青年団が行っていたが、若年層の減少により青年団組織がなくなり、昭和41年(1966)以降は、丹波山村文化財保存会が担っている。 山車は、全長約4メートル、高さ5メートルほどの大きさである。二股の木ゾリを土台にして、その上に丸太で櫓を組み、集められた門松を積み重ね、全体に竹をさし立てて覆う。山車の正面に、その年の干支の飾りと2本の引き綱を取り付け、内部にお囃子を担当する人たちが乗り込む場所を設けて完成となる。 引き手が山車の周囲に集まると、お松引きが始まる。山車の引き手は、丹波地区の住民を中心とした総勢百名ほどである。山車の出発に際し、太鼓や鉦、笛などのお囃子と木遣り唄が唄われる。「エンヤラヤー」の掛け声で奥秋地区との境となる道祖神場に向かって勢いよく山車は動き出す。山車の左右には、棒を持った人が付き、木ゾリの底に棒をさし込み浮かすことで、山車は軽快に進んでいく。引いていく途上で、青梅街道沿いの民家などの前で止まり、ミカンや餅、菓子が撒かれるほか、引き手には御神酒が振舞われる。このミカンなどは縁起物であり、食べると風邪を引かないといわれ、引き手や行事に集まった人たちは競うように取り合う。その後、お囃子と木遣り唄を合図に再び山車は動き出す。この一連の動きを繰り返しながら、約2時間掛けて、ゆっくりと集落境にある道祖神場まで山車を引いていく。 道祖神場には、御神体である道祖神の丸石を祀る石壇があり、その前の広場で山車を止め、門松を下ろして終了となる。なお、門松は、櫓の材料となった丸太や竹とともに、小正月に行われるドンドンヤキと呼ばれる火祭りの材料になる。