国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
川上の地蔵盆行事
ふりがな
:
かわかみのじぞうぼんぎょうじ
花だんご作りの様子
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
・公開日:毎年8月23日
選択番号
:
639
選択年月日
:
2025.03.28(令和7.03.28)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
兵庫県
所在地
:
兵庫県神崎郡神河町
保護団体名
:
川上区
花だんご作りの様子
解説文:
詳細解説
川上の地蔵盆行事は、兵庫県神河町の川上区に伝承される、花だんごと呼ばれる色鮮やかな独特の供物を伴う地蔵盆の行事である。花だんごは、行事当日に、川上区の6つの組ごとに作られる。米粉に水を混ぜてこねたものを蒸してから杵と臼でつき、板状にして菱形に切り分け、その四方にはさみで切り込みをいれ、花弁のように曲げて花の形を作る。これを竹串に刺し、中央に「花」の文字を書き入れ、木桶に山型になるように飾り付ける。完成した花だんごは、地区内にある福田寺境内の地蔵に供えられ、地蔵の供養とともに、子供の健やかな成長や無病息災が祈願される。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
花だんご作りの様子
地蔵堂に供えられた花だんご
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花だんご作りの様子
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地蔵堂に供えられた花だんご
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解説文
川上の地蔵盆行事は、兵庫県神河町の川上区に伝承される、花だんごと呼ばれる色鮮やかな独特の供物を伴う地蔵盆の行事である。花だんごは、行事当日に、川上区の6つの組ごとに作られる。米粉に水を混ぜてこねたものを蒸してから杵と臼でつき、板状にして菱形に切り分け、その四方にはさみで切り込みをいれ、花弁のように曲げて花の形を作る。これを竹串に刺し、中央に「花」の文字を書き入れ、木桶に山型になるように飾り付ける。完成した花だんごは、地区内にある福田寺境内の地蔵に供えられ、地蔵の供養とともに、子供の健やかな成長や無病息災が祈願される。
詳細解説▶
詳細解説
川上の地蔵盆行事は、兵庫県神崎郡神河町の川上区に伝承される、独特の供物を伴う地蔵盆の行事である。花だんごと呼ばれる花の形をした色鮮やかな供物を作り、地区内にある福田寺境内の地蔵に供え、子供たちの健やかな成長と無病息災が祈願される。 神河町は、兵庫県の中央部、播磨地方の中でも標高の高い有数の高原地帯に位置する。本行事を伝える川上区は、町域の北西にあたる山間部の集落で、農業や炭焼き、鉱山採掘などを主な生業としてきた地域である。 福田寺境内にある地蔵堂は、壇の地蔵と呼ばれる地蔵を祀る。この地蔵は、当地に伝わる平家の落人伝説に由来し、源平合戦の壇ノ浦の戦いで入水した安徳天皇と平家一門を供養するために造立されたと伝えられる。当地の地蔵盆行事は、この地蔵堂を祭場として、毎年8月23日に行われる。 本行事は、川上区の子供から大人まで総出で行われる。川上区は、一番組から六番組までの6つの組で構成されている。壇の地蔵に供える花だんごは、かつては、輪番制で各組の中でその年の当番の家が作っていたが、現在は、組ごとに集まって共同で製作している。 行事の当日は、福田寺境内に地区の人たちが参集し、地蔵堂の清掃や盆踊りの櫓の設営を行い、一方、各組の集会所では、地区の婦人会が中心となって花だんご作りが行われる。花だんご作りには、子供たちも参加し、同じ組の大人たちに教わりながら作る。男性は、山から竹を切り出し、花だんごに刺す竹串を主に作る。 花だんごは、粳米と糯米の米粉を材料とする。かつては、各家から米を集めて、石臼で挽いた米粉を使っていたが、現在は購入した米粉を用いている。粳米と糯米の米粉を合わせ、水を混ぜてこねてタネをつくり、蒸してから杵と臼を用いてついて棒で伸ばし、板状にしたものを菱形に切り分ける。菱形の四方にはさみで切り込みをいれて花弁のように曲げ、先端を尖らせた竹串に刺し、中央に赤と緑の色粉で「花」の文字を書く。竹串に刺した花だんごを約50から100本作り、ワラを入れた木桶に1本ずつ竹串の長さを調整しながら山型になるように刺す。また、ツバキの花や人形などもだんごで作り、周囲に飾り付け、組の名前を記した幟を立てて完成となる。なお、花だんごが完成するまでの合間には、昼食や持ち寄ったお菓子やスイカなどを食べながら歓談する。 花だんごは、完成すると各組ごとに地蔵堂に運び込まれ、地蔵に供えられる。こうして準備が整うと、壇の地蔵の前に地区の人たちが集まり、住職を中心に地蔵の供養が行われるとともに、子供たちの健やかな成長や無病息災、集落の安寧が祈願される。 夜になると、境内に地区の人たちが参集し、盆踊りやくじ引きが行われる。なお、地蔵堂に供えた花だんごは、翌日各戸に配られ、無病息災を祈って食されるほか、床の間に置いたり欄間にさしたりして飾られる。