国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
黒崎祇󠄀園山笠行事
ふりがな
:
くろさきぎおんやまかさぎょうじ
笹山笠
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
・公開日:毎年7月中下旬
選択番号
:
640
選択年月日
:
2025.03.28(令和7.03.28)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
福岡県
所在地
:
福岡県北九州市
保護団体名
:
黒崎祇󠄀園山笠保存会
笹山笠
解説文:
詳細解説
黒崎祇󠄀園山笠行事は、福岡県北九州市八幡西区の黒崎にある春日神社、岡田宮、一宮神社の三社の祇󠄀園祭礼に行われる行事で、各町内から8基の山笠が出て地区内を曳行する。山笠は、2本の笹竹を山笠台に立てた笹山笠と、武者人形や屋形などで装飾した飾り山笠の2つの形態があり、夜には、山笠に明かりがつけられ、若者たちによって勇壮に曳き回される。また、素朴な形態をとる笹山笠は、山笠の原初的な形態を伝えているといわれている。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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笹山笠
飾り山笠
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笹山笠
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飾り山笠
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解説文
黒崎祇󠄀園山笠行事は、福岡県北九州市八幡西区の黒崎にある春日神社、岡田宮、一宮神社の三社の祇󠄀園祭礼に行われる行事で、各町内から8基の山笠が出て地区内を曳行する。山笠は、2本の笹竹を山笠台に立てた笹山笠と、武者人形や屋形などで装飾した飾り山笠の2つの形態があり、夜には、山笠に明かりがつけられ、若者たちによって勇壮に曳き回される。また、素朴な形態をとる笹山笠は、山笠の原初的な形態を伝えているといわれている。
詳細解説▶
詳細解説
黒崎祇󠄀園山笠行事は、福岡県北九州市八幡西区黒崎にある春日神社、岡田宮、一宮神社の境内で祀られる祇󠄀園社の祭礼で、町内から8基の山笠が出て巡行する。 黒崎は、県北部に位置する北九州市の副都心であり、八幡西区の中心市街地にある。近世には、筑前国福岡藩領の東端に位置し、豊前小倉藩と近接した長崎街道の宿場町として栄えた。近代からは、北にある洞海湾沿岸に工業地帯が形成されて都市化が進んだ。交通の要衝として栄え、周辺にある南部の直方・飯塚地域、西部の遠賀・宗像地域を含んだ商業圏として発展してきた。 黒崎の祇󠄀園社は、慶長5年(1600)に黒田長政が筑前国に入った時、この地に勧請され、それ以降に祇󠄀園信仰が広まったと伝えている。現在は、春日神社の境内に須賀神社が祀られ、岡田神社と一宮神社の各境内に疫神社が祀られている。本行事は、これらの祇󠄀園社の行事であり、毎年7月中下旬に行われている。 山笠行事の成立については、天保14年(1843)に山笠の記述が見られる。明治期に入ると、今のような人形を載せた飾り山笠が作られており、笹山笠と並んで用いられている。現在では、春日神社、岡田宮、一宮神社の3社の氏子の各町内から計8基の山笠が出る。春日神社の町内からは、藤田西山笠、藤田東山笠、東町山笠の3基、岡田宮の町内からは、熊手一番山笠、熊手二番山笠、熊手参番山笠の3基、一宮神社の町内からは、山寺山笠、熊西山笠の2基が出る。行事については、黒崎祇󠄀園山笠保存会が伝承を担っている。 笹山笠の組み立ては、7月上旬から町内ごとに山小屋を設置し、所定の道路上で行われる。笹山笠は、素朴な造りの形態で、棒締めと称してカズラで結束して山笠台をつくる。山笠台には笹竹2本と須賀大神や須賀神社と記した木札を立て、山笠の上部は、スギの枝を用いた杉勾欄で飾る。山笠の下部は、注連縄と幕を張り巡らし、四隅に梵天を飾りつける。 行事は、7月中旬のお汐井取りから始まる。その日は、早朝から近隣の洞海湾や若松区の海辺に男衆が行き、お汐井取りと称して海水や浜の砂、海藻などを採ってきて笹山笠を清める。昼過ぎからは、笹山笠が町内で曳き回される。笹山笠には指揮者が乗り込み、曳方の若者らが「オイサ」と掛け声をかけながら進んでいく。笹山笠の下部には、鉦や太鼓の囃子方が乗り込み、囃子に合わせて様々に運行する。巡行路では、山笠を左右に蛇行させたり、ガブリと称して前後に傾けたり、四つ角で大きく何度も回転を繰り返す。 巡行が終わると、笹山笠は解体されて、人形を載せた飾り山笠に作り替えられる。山笠本体の山笠台は、城を模したような屋形造に模様替えする。飾りつけが横に大きく広がるように、山笠台の前後両側に「開き」と呼ばれる飾り台を取りつけ、そこにも人形などを飾りつけていく。筑豊地方の人形師が外題を考えて、合戦物などの場面に作り上げていく。完成した飾り山笠は、立体的で動き出しそうな迫力のある作風に仕上がる。 7月中下旬にかけての前夜祭と御神幸では、飾り山笠が曳き回される。前夜祭では、山笠の一面に電飾が灯され、一層華やかさを増す。前夜祭には山笠競演会が開催され、「喧嘩山笠」と呼ばれる派手な曳き回しが行われる。若者らは、町内ごとに曳き回しの腕前を競い合い、山笠を蛇行、回転、傾斜させて勇壮に曳き回す。前夜祭の翌日と翌々日には御神幸が行われ、山笠は神輿に供奉して黒崎の町中を練り歩く。その後、山笠は町内ごとに戻って町巡行をし、行事が終わる。