国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
久高島の漁撈習俗
ふりがな
:
くだかじまのぎょろうしゅうぞく
久高島の漁撈習俗
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解説表示▶
種別1
:
風俗慣習
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
選択番号
:
1
選択年月日
:
1994.12.13(平成6.12.13)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
沖縄県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
久高島の漁撈習俗
解説文:
詳細解説
この習俗は、久高島で行われる漁撈をめぐる習俗である。大漁を祈願する行事のほか、漁撈の訓練や共同漁撈、漁撈集団の集いなどのための習俗もみられる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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久高島の漁撈習俗
久高島の漁撈習俗
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久高島の漁撈習俗
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久高島の漁撈習俗
解説文
この習俗は、久高島で行われる漁撈をめぐる習俗である。大漁を祈願する行事のほか、漁撈の訓練や共同漁撈、漁撈集団の集いなどのための習俗もみられる。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
久高島は、沖縄本島の東南部知念半島の東方に位置する、面積1.39㎢、周囲7.75㎞の琉球石灰岩からなる細長い島である。かつて琉球王国時代の王権祭祀の祭場であり、古い習俗や行事をよく残していることでも知られている。 この島では、男性は漁撈を生業とし、その活躍ぶりは、糸満漁夫と並び称されていた。 島の神女組織は、ノロ(祝女。一村または数村を統括する神女)を頂点とする根神・掟神のクニガミとよばれる一団の下に、ヤジクという島の全女性で構成する祭祀集団がある。 一方、男の役職としては、世襲制の根人を頂点とする2~3の神役がおり、村から配置されるソールイガナシー(竿取神)などがいる。また近代以降、行政的に置かれた区長とは別に、2人の村頭がおり、祭祀およびエラブウナギ(ウミヘビ)の捕獲や加工に関与している。 かつて男子は、16歳になると納税と村の諸行事への参加義務を負わされた。15歳の男子をンナグナー(貢納用の貝を採る役目の意)とよび、13歳の男子とともに漁師としての特別の訓練を受けた。 漁撈に関しては、ソールイガナシーという男神役が中心的役割を果たす。ソールイガナシーは、竜宮神に通ずる役目で、島を2分する久高地域と外間地域に1人ずつおり、任期は2年であるが、同時任命ではなく、交互に在任するようになっている。すなわち、1年目は弟とよばれるが、翌年は兄として指導的立場をとるのである。 このソールイガナシーがかかわる行事だけでも、春の大漁祈願祭「ヒータチ」、3月3日の「三月節供」、さらに同月、海神に漁撈の許しを乞う「ピシクミ」(干瀬踏【ひせふ】み)、13歳・15五歳の男子の漁業訓練をする「三月綱」、同じく7月の「七月綱」、5、6月の大潮時に海上の楽土からの贈り物といわれるキスク(アイゴの稚魚)を獲る「キスクマーイ」、11月13日、集団漁撈の後仮設の七つ宿に集まって会食する「アミドゥシ」(綱同士)などがある。いずれの行事や祭りも大漁を祈願するとともに漁撈の訓練や共同漁撈、漁撈集団の集いなどの意味もあった。 漁撈の方法は、現在では延縄漁や一本釣りなどが多いが、これらのなかの集団漁撈では、古くからの追込み漁が主体になる。それに加えて、島では今でも素潜りの突き漁、エラブウナギの手掴み漁(この方は女性も)などの特徴的な漁撈をみることができる。 また、キスクが太陽の光を受け、銀色の大群をなして島の岸辺へ寄るのを、昔の人びとは神からの贈り物と考えた。これを「寄り物」といい、海辺の村では人びとに分配したものだが、漁撈に参加しない者への分配の習俗が、今も久高島には残っている。 また、エラブウナギの捕獲・燻製加工も現在行われており、2人の村頭が祭祀とともに必ず関与する。 この習俗は、大漁祈願をはじめ、漁撈訓練、共同漁撈、漁撈集団の集いなどとして行われる漁撈をめぐる習俗であり、かつての漁法や共同体での指導、漁撈集団のあり方などを知る上で貴重であることから、早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)