国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
ヨッカブイ
ふりがな
:
よっかぶい
ヨッカブイ
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
娯楽・競技
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年8月22日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
選択番号
:
1
選択年月日
:
1997.12.04(平成9.12.04)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
鹿児島県
所在地
:
保護団体名
:
高橋十八度踊り保存会
ヨッカブイ
解説文:
詳細解説
この行事は、シッチドン(水神)を祀って、水難除けと豊作を祈願する行事である。オオガラッパ(大河童)に扮した数え年15歳以上の青年たちが、奇声をあげながら集落内を巡ったり、コガラッパ(小河童)に扮した数え年11~14歳までの少年が十八度踊り、型相撲などを行ったりする。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
ヨッカブイ
ヨッカブイ
ヨッカブイ
ヨッカブイ
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ヨッカブイ
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ヨッカブイ
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ヨッカブイ
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ヨッカブイ
解説文
この行事は、シッチドン(水神)を祀って、水難除けと豊作を祈願する行事である。オオガラッパ(大河童)に扮した数え年15歳以上の青年たちが、奇声をあげながら集落内を巡ったり、コガラッパ(小河童)に扮した数え年11~14歳までの少年が十八度踊り、型相撲などを行ったりする。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
南さつま市の高橋地区は、薩摩半島の西側にあり、吹上浜を通って東シナ海に注ぐ万之瀬川の支流の堀川の傍らに位置し、大雨が降るたびに水害にあってきた。 そのため、シッチドン(水神)を祀って、水難除けと豊作を祈願するようになったと伝えている。このシッチドンは、堀川地区との境のお堂に祀られていたが、明治12年頃に玉手神社に合祀された。 シッチドンの祭りは、ヨッカブイのほか、ヨッカブリ・ガラッパ祭り・十八度踊りなどとも呼ばれ、かつては旧暦6月18日に行われていた。 現在は、まず8月8日から21日までの毎晩、コニセ(小二才)たちが高橋公民館で十八度踊りなどの練習をする。コニセは、コガラッパ(小河童)とも呼ばれる数え年11歳から14歳までの少年たちである。最終日の21日には玉手神社で土俵作りをして、ヒルナラシといって、日暮れ前に稽古を終えて翌日の祭りに備える。 当日の朝、9時半頃から、ニセイ(二才)とかジュウハチドシ(十八度衆)と呼ばれる数え年15歳以上の青年たちが、オオガラッパ(大河童)に扮して、2~3人ずつ集落内を巡る。ニセイたちはシュロの皮で作った頭巾を被り、夜着を着流しにして、帯代わりにワラ縄を締め、裸足で歩き回る。夜着は袖付の綿入れで、綿を抜いて着る。 この異様な姿をしたニセイたちもヨッカブイ(夜着被り)と呼ばれる。オオガラッパは「ヒョーヒョー」と奇声をあげながら、手に持った笹竹で見物人たちをたたいたり、小さな子どもをカマスの中に入れて連れ去ろうとする。オオガラッパとともに、男たちが鐘をカンカンとたたきながら集落内を巡る。オオガラッパの行く先々で、鐘の音と逃げ回る子どもの泣き声で大騒ぎとなる。昔はヘグロ(鍋墨)を入れた貝殻を隠し持ち、人びとに塗りつけていた。これは「カワドイ(川取り)にあわぬ」といって水難除けの呪いと信じられ、遠くからも人びとが押しかけてきたという。 午前10時頃になると、コニセたちが高橋公民館前の広場に勢揃いする。最年長者は裃姿の行司役であり、それ以外のコニセは色とりどりのまわしを締めた力士姿である。コニセたちは出庭の踊りといって広場に作られた土俵で十八度踊りを演じ、軍配をつるした弓を担いだ行司を先頭に2列になって道行きの唄を歌いながら整然と玉手神社に向かう。 神社に到着すると、境内入口の石段に2列に並んで座り、オオガラッパを迎えに七度半の使いを立てる。コニセ2人ずつで、最年長のニセイのいる公民館まで7回走って行き、迎えの口上を述べて駆け戻る。ニセイの最年長者は、行事の総括責任者で着物姿である。このころ玉手神社の夏の大祭の神事を神職が執り行い、世話人が氏子代表で出席する。八度目の使いの途中で、使いはオオガラッパたちと出会う。オオガラッパたちは奇声をあげながら境内になだれ込んで暴れ回る。コニセたちは急いで土俵に上がって円陣を組み、中央に向かってしゃがみ込み、神聖な土俵を守ろうとする。行司のヒロメといって、行司は相撲の由来と7つの禁じ手を詠み込んだひろめ唄を歌いながら、軍配を手にコニセたちのまわりを1周する。コニセたちはカイモンという曲芸的な型相撲を四番行う。行司に呼び出された力士たちは土俵に上がり、柏手を打ってちりを切り、四股を踏んで仕切に入る。最年少者から順に取組をする。最初は小雀に小柳の対戦で、御幣を立てた土俵中心の盛り砂のまわりを回りながら、土俵の外に砂を掻いて撒き散らす。2番目は花車対矢車で、背中合わせになって手を組み、東へ2度、西に1度相手を背負い投げにする。3番目は宮の森対諏訪の森で、1人が逆立ちして、背中合わせになって相手の肩に足を掛ける。受けた側は両足首を持って引き起こして相手を立てることを3回繰り返す。最後は太刀ケ関に鶴ケ島の対戦である。同一方向を向いて、後ろの者が相手のまわしを両手でつかみ、前の者が後ろの者の背中に仰向けになって乗り、相手のまわしを持ってくるりと3回反転する。 カネの連打の中で、オオガラッパたちが土俵のまわりで奇声をあげ、若い女性や小さな子どもたちをカマスに入れて土俵に連れ込もうとして騒然となる。この間にコニセたちは全員の組み合わせ相撲をして、3人抜き、5人抜きの相撲をとる。 次にコニセにオオガラッパも加わり、土俵を中心に薩摩訛の相撲甚句を早口で歌いながら十八度踊りを踊る。 次に行司は鎮西八郎為朝が太刀ケ関に弓を譲ったとの口上を述べ、太刀ケ関による弓取りが行われて、ヨッカブイの行事は終了する。 シッチドンは、冬は山に上がり、夏は田に下りてきて慈雨を司り、水稲や畑作物に適当な水を与え、夏の旱魃を防止するといわれている。また、この祭りに行けば、一年カワドイにあわずにすむと地元では伝えている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)