国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
稲取のハンマアサマ
ふりがな
:
いなとりのはんまあさま
稲取のハンマアサマ
写真一覧▶
解説表示▶
種別1
:
風俗慣習
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年9月8・9日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『稲取のハンマアサマ』(静岡県教育委員会・平成21年3月31日)
選択番号
:
1
選択年月日
:
2002.02.12(平成14.02.12)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
静岡県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
稲取のハンマアサマ
解説文:
詳細解説
この行事は、東伊豆町稲取に伝承されている大量祈願の行事で、各家で行われているものである。浜万年青の葉で人形やイカ、サンマなどの姿を切り抜いて、これを海に流して大漁を祈願したり死者の供養をする。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
稲取のハンマアサマ
稲取のハンマアサマ
写真一覧
稲取のハンマアサマ
写真一覧
稲取のハンマアサマ
解説文
この行事は、東伊豆町稲取に伝承されている大量祈願の行事で、各家で行われているものである。浜万年青の葉で人形やイカ、サンマなどの姿を切り抜いて、これを海に流して大漁を祈願したり死者の供養をする。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
稲取のハンマアサマは、伊豆半島の東海岸に位置する静岡県賀茂郡東伊豆町稲取に伝承される行事で、浜万年青【はまおもと】の葉で人形や烏賊、秋刀魚などの姿を切り抜いたものを作り、これを海に流す行事である。稲取では浜万年青をハンマアサマといい、行事の名称が同時に行事に使う材料の名前にもなっている。 ハンマアサマは、8日の昼頃、用意しておいた浜万年青の葉で、人形と烏賊、秋刀魚を作ることから始まる。 人形は葉の緑の部分で作る。葉を三角に切って左前になるようにたたみ、これに刀をさして人形を作る。刀は四角に切った小さな浜万年青の葉に松葉をさして作る。さらに浜万年青の葉の白い部分を使って、烏賊と秋刀魚の姿を切り抜いて作る。人形の数は5体とも7体とも、あるいは家族の数だけ作るともいい家によって異なり一定していない。烏賊と秋刀魚の数も家によって違うといわれており、また最近では金目鯛漁が盛んなこともあり、烏賊、秋刀魚の他に金目鯛も切り抜いて作っている家もある。 こうして作った人形と烏賊と秋刀魚などを盆に載せ、家の床の間に一晩供えておく。また、この日カシワモチを作って一緒に供える。カシワモチは、練った小麦粉をまるめて中に小豆餡を入れたものを、サルトリイバラの葉に包み、蒸して作ったものである。一晩床の間に飾った人形と烏賊、秋刀魚は、翌9日の昼から夕方にかけて海に流しに行くが、カシワモチは持っていかず家に残しておく。流す場所は外海に面した海岸で毎年決まった場所であるが、家によって異なる。 盆に載せて海まで持っていくと、まず人形を1体ずつ流し、続いて秋刀魚と烏賊を流す。このときは泣きながら流すといい、かつては「秋刀魚と烏賊といっぱい来てくだっしぇーよ」とか、「烏賊と秋刀魚をとらしてくだっしぇーよ」いいながら流していたが、現在では「漁をさしてくだっしぇーよ」といいながら流すともいわれている。また、流しに行くのは女や子どもだといわれているが、家によって異なり一定していない。 このハンマアサマには次のような由来伝説が伝えられている。昔、稲取の人たちが筏に乗って流れ着いた7人の侍の死体に、烏賊と秋刀魚を寄せてくれればねんごろに葬ると約束して、海岸そばの小高い所に葬ったところ、その年は烏賊と秋刀魚の豊漁続きになった。それ以来、稲取では大漁祈願と7人の侍の供養のため、浜万年青の葉で人形と烏賊と秋刀魚の姿を切り抜いて祀り、海に流すのだというものである。現在もハンマアサマの石碑が稲取岬の先端に祀られており、老人たちによって供養が続けられている。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)