国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
薩摩の馬踊りの習俗
ふりがな
:
さつまのうまおどりのしゅうぞく
薩摩の馬踊りの習俗
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解説表示▶
種別1
:
風俗慣習
種別2
:
祭礼(信仰)
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年旧暦1月18日の次の日曜日ほか(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
映像:『薩摩の馬踊りの習俗』(企画文化庁・制作NHKサービスセンター・平成25年3月)
選択番号
:
1
選択年月日
:
2002.02.12(平成14.02.12)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
鹿児島県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
薩摩の馬踊りの習俗
解説文:
詳細解説
この習俗は、綺麗に飾った馬と多数の踊り子が三味線や鉦、太鼓などの囃子に合わせて踊るもので、馬踊りまたは鈴掛け馬と呼ばれる。本来の目的は、馬の健康・多産と農作物の豊穣の祈願であったが、現在では厄払いや歳祝い、商売繁盛などの目的で奉納されるほか、上棟式や婚礼などに踊り子だけで馬踊りを行う風習もみられるようになってきている。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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薩摩の馬踊りの習俗
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薩摩の馬踊りの習俗
解説文
この習俗は、綺麗に飾った馬と多数の踊り子が三味線や鉦、太鼓などの囃子に合わせて踊るもので、馬踊りまたは鈴掛け馬と呼ばれる。本来の目的は、馬の健康・多産と農作物の豊穣の祈願であったが、現在では厄払いや歳祝い、商売繁盛などの目的で奉納されるほか、上棟式や婚礼などに踊り子だけで馬踊りを行う風習もみられるようになってきている。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
鹿児島県下では、小型の俵に御幣や幟、造花、玩具の振り太鼓などを刺して飾った鞍を置き、胸に鈴を帯状に付けた飾り馬を、三味線や鉦・太鼓の囃子に合わせて踊らせ、多数の踊り子がこれに続いて踊る、馬踊りまたは鈴掛け馬と呼ばれる行事が各地に伝承されている。 これらの行事は、姶良郡隼人町に鎮座する鹿児島神宮の初午祭に奉納される鈴掛け馬踊りが各地に伝播したものとされており、その由来については室町時代からとするなどの諸説がある。室町時代説は、16世紀中頃に、当時この地を領有していた島津貴久らの夢枕に馬頭観音が立ったことに始まるとする霊夢起源譚であり、その他の有力な説としては神宮の御神馬を飼育していた加治木町木田郷の人びとが、成長した馬を神宮に納めに参ったことから始まったとする説などがある。 鹿児島神宮の初午祭は、かつては、霊夢のあったと伝えられている日にちなんで1月18日が縁日とされており、同社の鈴掛け馬の行事は、かつては「十八日の馬」と呼ばれていた。この馬踊りの行事は、1月19日に行われる姶良町鍋倉の稲荷神社の「十九日の馬」、1月20日に蒲生町の八幡神社馬櫪神で行われる「二十日の馬」などへと連なっており、現在、宮崎県都城市などで行われているジャンカ馬もこの系統に属するものであるという。 鹿児島神宮の初午祭は、現在は旧暦1月18日の次の日曜日に行われている。各馬は同社の末社となっている保食神社(宇気母智大神)に参拝して幟と御幣を受けた後、それを鞍に刺して境内へ向かい、神宮の境内に作られた馬踊り場と、神社本殿前の馬踊り場で踊りを奉納する。馬は左手綱と後手綱で操られ、三味線・鉦・太鼓の囃子に合わせて、足をやや交差するように細かく動かし、頭を上下に振りながら軽やかにステップを踏む。馬の後には揃いの衣装で着飾った多数の踊り子が踊りながら続く。この踊りも馬踊りという。 この行事の本来の目的は、馬の健康・多産祈願と農作物の豊穣祈願などにあり、かつては各集落の長である名頭【みょうず】が農耕馬を牽いて代参しており、昭和40年(1965)頃までは地区単位で奉納する馬も見られたという。しかし、この頃から次第に農耕馬が減少し、奉納される馬も少なくなった。その後、昭和50年(1975)頃から男の厄年の人たちが共同で奉納する風習が始まり、現在では厄祓いや歳祝い、豊作祈願、商売繁盛祈願などの目的で奉納されることとなった。なお、これに伴って、奉納者も木田郷を除くと、厄祓いや歳祝いの同年齢集団、自治会・会社などの地縁的・職域的団体などとなっており、これらの人たちは馬を飼育する牧場などの募集に加わって奉納している。 こうした馬踊りの一行は、鹿児島神宮での奉納が終わると、隼人町だけでなく、国分町、加治木町などの民家をまわって門付けをする。この地域には、新築の家の庭に馬の蹄の跡を付けると縁起がよいという俗信があり、各家では馬踊りの一行の訪れを歓迎する風習がある。 また、上棟式や婚礼などには馬がいなくても踊り子だけで馬踊りを行う風習もある。結婚式などでは参加者が余興に踊ることが多いが、上棟式には郷中の婦人たちが顔を仮面などで隠してさまざまに扮装し、一升瓶を笹竹に下げ、缶を叩いたりしながら馬踊りのリズムでなだれ込む風習がある。これをセックン、ケンチなどといい、招待されなくとも勝手に来るもので、来られた家ではご祝儀を包むものとされる。 この習俗の元々の目的は、馬の健康や多産を祈願したり、農作物の豊穣を祈願したりしたが、現在では厄払いや歳祝い、商売繁盛などの目的で奉納されるほか、上棟式や婚礼で踊り子だけで馬踊りを行う風習まで見られるようになるなど変容の恐れが高い行事であることから、早急に記録を作成する必要があるものである。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)