国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
呼子の大綱引き
ふりがな
:
よぶこのおおつなひき
呼子の大綱引き
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
娯楽・競技
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年6月第一土・日曜日(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『呼子の大綱引き民俗文化財調査報告書』(唐津市教育委員会・平成21年3月27日)
本件は、平成25年3月12日に「呼子の大綱引き」として重要無形民俗文化財に指定されている。
選択番号
:
1
選択年月日
:
2003.02.20(平成15.02.20)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
佐賀県
所在地
:
保護団体名
:
呼子大綱引振興会
呼子の大綱引き
解説文:
詳細解説
この行事は、旧呼子町で6月第一土・日曜日に行われる綱引きの行事で、呼子の各集落がサキカタ(浜組)とウラカタ(岡組)に分かれて引き合い、サキカタが勝てば豊漁、ウラカタが勝てば豊作になるといわれている。本来は五月節供に行われた行事で、子どもの成長を祈願する意味合いもあった。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
呼子の大綱引き
呼子の大綱引き
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呼子の大綱引き
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呼子の大綱引き
解説文
この行事は、旧呼子町で6月第一土・日曜日に行われる綱引きの行事で、呼子の各集落がサキカタ(浜組)とウラカタ(岡組)に分かれて引き合い、サキカタが勝てば豊漁、ウラカタが勝てば豊作になるといわれている。本来は五月節供に行われた行事で、子どもの成長を祈願する意味合いもあった。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
呼子の大綱引きは、旧東松浦郡呼子町呼子に伝承される綱引き行事である。 呼子は東、西、南を低い丘陵に囲まれ、北は玄界灘に面して天然の良港となっている。古代から大陸渡航の拠点として知られ、近世に入ると廻船の停泊地として、また沿岸捕鯨の基地として栄えた。現在でも漁業と水産加工業等が生業活動の中心となっており、近年はこれに加えて観光にも力点が置かれている。 呼子の大綱引きは6月第一土・日曜日に行われているが、本来は旧暦5月5・6日に行われていた行事である。呼子の集落がサキカタ(浜組)とウラカタ(岡組)に分かれて綱を引き合い豊凶を占う行事で、サキカタが勝てば豊漁、ウラカタが勝てば豊作になるといわれている。サキカタは先方町、海士町、釣町、小倉町、西中町、中町、ウラカタは宮ノ町、天満町、松浦町、川端町、愛宕町、殿ノ浦の各町で、綱を引き合うときにサキカタ、ウラカタの人数が平等にならなくてもよいことになっている。 初日にはミト(綱の中心部になる部分)を作る作業が行われ、2日目に大綱引きが行われる。 ミト作りは、初日の早朝から、呼子の氏神である三神社が鎮座する宮ノ町の人たちが中心になって行われる。この作業は天満町の人たちも一緒に行うことになっているが、ここしばらくは宮ノ町だけで行われている。準備等の段取りは宮ノ町の区長、材料の藁、莚などは呼子大綱引振興会が用意し、作業はワカシュウカタが行う。夕方までかかって、綱のつなぎ目が中央にくるようにして長さ5㍍、高さ120㎝ほどの大きさのミトを作る。 大綱引きでは、これに綱を繋ぎ足して、全体の長さが400㍍ほどの綱を完成させる。大綱は直径14㎝、1本の長さが100㍍ほどのもので、これを4本、ミトを中央にしてつなぎ合わせたものである。それぞれの綱は両端の形状が違い、輪になっている方をメジメ、まっすぐな方をオジメと呼び、オジメをメジメに通して結んで1本の綱にする。 2日目は、大綱引きが三神社の前を中心にして行われる。綱引きに先立って午前中はワカシュウが銅鑼をたたきながら町まわりをする。ワカシュウは、適度な長さに切った竹の先に五色の布を付けたジャと呼ばれる采配を持ち、銅鑼をたたきながらそれぞれの町内をまわり、寄付をもらった家や、初節供を迎えた家に立ち寄って、酒肴の接待を受けながら徐々に三神社の前に向かう。 午後、三神社前にミトが来るように道路上に置かれた大綱に短い引き綱をかけ、サキカタ、ウラカタに分かれて引き合う。ミトの上にはジャを持ったワカシュウ頭などが乗り、綱引きの指揮をする。綱引きは3回行われ、2回勝った方が勝ちとなる。 大綱は長さが400㍍ほどもあり、道路が曲がりくねっているので、曲がり角にボングイと呼ばれる棒を立てて、大綱が家に触れないような工夫がなされている。ボングイには大綱引きの最中、摩擦熱で大綱がすり切れたりしないように時々水がかけられる。 大綱引きが終わると、すぐに宮ノ町がミトの解体と片付けを行い、綱は参加町内全部で巻き取り、呼子の町への入り口近くにある倉庫にしまう。 また、大綱引きの前日までに、ワカシュウが各町内をまわって寄付を集めるが、そのときには初節供を迎えた家には必ず行くものだといわれている。初節供の家には小さな半纏と酒、ジャを持っていくが、このとき持っていくジャは大綱引きのときの町まわりや、ミトの上に乗って用いるジャとは異なり、五色の布の代わりに色紙を付けたものである。 この行事は、盆に行われる綱引きが多い九州北部において数少ない五月節供の綱引き行事として注目されることから、早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)