国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財
主情報
名称
:
青森県南部地方の虫送り
ふりがな
:
あおもりけんなんぶちほうのむしおくり
青森県南部地方の虫送り
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種別1
:
風俗慣習
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
公開日:毎年旧暦6月24日ほか(※選択当時・お出掛けの際は該当する市町村教育委員会などにご確認ください)
記録:『青森県南部地方の虫送り』(企画文化庁・制作NPO法人あきた地域資源ネットワーク・平成26年3月31日)
選択番号
:
1
選択年月日
:
2004.02.06(平成16.02.06)
追加年月日
:
選択基準1
:
(一)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
選択基準2
:
選択基準3
:
所在都道府県、地域
:
青森県
所在地
:
保護団体名
:
特定せず
青森県南部地方の虫送り
解説文:
詳細解説
青森県の南部地方の虫送りは、旧暦6月24日前後に、男女一対の藁人形を作って集落のはずれに送る行事で、ムシボイなどとも呼ばれている。藁で男女一対の人形を作り、「悪虫退散」「五穀豊穣」などと祈願内容を書いた紙の幡をもち、太鼓、笛などで囃しながら集落内をまわり、最後に集落のはずれに持っていって送り出す。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
青森県南部地方の虫送り
青森県南部地方の虫送り
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青森県南部地方の虫送り
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青森県南部地方の虫送り
解説文
青森県の南部地方の虫送りは、旧暦6月24日前後に、男女一対の藁人形を作って集落のはずれに送る行事で、ムシボイなどとも呼ばれている。藁で男女一対の人形を作り、「悪虫退散」「五穀豊穣」などと祈願内容を書いた紙の幡をもち、太鼓、笛などで囃しながら集落内をまわり、最後に集落のはずれに持っていって送り出す。(※解説は選択当時のものをもとにしています)
詳細解説▶
詳細解説
青森県の南部地方では旧暦6月24日前後に、男女一対の藁人形を作って集落のはずれに送るムシボイ、虫送りなどと呼ばれる行事が行われている。 この行事は、藁で男女一対の人形を作り、「悪虫退散」「五穀豊穣」などと祈願の内容を書いた紙の幡を持って、太鼓、笛、鉦などで囃しながら集落内をまわり、最後に集落のはずれに持っていって送り出すものである。送り出し方には、谷に投げ捨てたり、その場に放置したり、あるいは樹木に立てかけたりなど様々な方法がとられている。 人形作りに用いられる藁は、現在は稲藁が使われているが、昭和20年代まではその年に収穫した麦稈が使われていた地域も多く、この行事が本来は麦の収穫儀礼の性格ももっていたことを物語っている。 田子町細野(戸数24戸)のムシボイを例にみると、旧暦6月24日に行われるムシボイには各戸から2人ずつ出る。産土神の稲荷神社境内に朝から集まると、男は人形作り、女は掃除などを行う。 午前中の作業が終わると、各自家に戻って昼食をとり、重箱や皿に盛った御馳走を持って再び稲荷神社に集まってくる。午前中に作った人形を神社拝殿に持ち込んで祈祷をした後、再び境内に持ち出して、太鼓、鉦、笛に合わせて手に持った人形を振り回す。これを人形を踊らせるといい、終わると行列を作って神社から出発する。 行列には、「悪虫退散 五穀成就 天下泰平 四海万福 国土安康 家内安全」と書き、日付、自分の名前を書き込んだ幡を持った子どもたちも加わる。幡は集落の中学生までの子ども全員の分が用意される。行列は神社を出ると「何虫祭るや、ごじょ虫祭るや、長者殿の弔いで赤いツボケまいらせろ」と唱えながら集落内を進む。道の交叉する所などでは行列を止めて人形を持ち上げたりくっつけたりしながら踊らせる。途中で一休みした後、集落のはずれに着くと子どもが持っていた幡を人形の頭に刺し立てて踊らせ、最後に男女の人形を抱き合わせると谷底に向かって投げ捨てて行事が終わる。 ムシボイの行事は、田子町の飯豊でも行われており、行事内容はほぼ同様であるが、飯豊では顔を書いた紙を人形に貼り付けていることなどに相違が見られる。また、かつては八戸市内を始め青森県南部地方の広い地域で行われていたことが知られているが、現在ではほとんどの地域で行われなくなっている。 この行事は、麦の収穫儀礼の性格と稲の害虫を追い払って豊作を祈願する性格とを併せ持つ。また青森県津軽地方の虫送りが蛇の形を作るのに対して、南部地方では人形を作るという違いがみられ、地域的特色も豊かである。いっぽうで、近年行事が廃絶する地域が多くみられるなど衰滅の恐れの高い行事でもあることから全国的な比較を視野に入れつつ早急に記録を作成する必要がある。 (※解説は選択当時のものをもとにしています)