国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録無形民俗文化財
主情報
名称
:
能登のいしる・いしり製造技術
ふりがな
:
のとのいしる・いしりせいぞうぎじゅつ
発酵の管理(有限会社カネイシ提供)
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種別1
:
民俗技術
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
登録番号
:
3
登録年月日
:
2023.03.23(令和5.03.23)
追加年月日
:
登録基準1
:
登録基準2
:
登録基準3
:
(三)地域的特色を示すもの
所在都道府県、地域
:
石川県
所在地
:
能登地方
保護団体名
:
特定せず
発酵の管理(有限会社カネイシ提供)
解説文:
詳細解説
能登のいしる・いしり製造技術は、海産物由来の発酵調味料である魚醤の製造技術である。これは能登で水揚げされた魚介類を塩漬けにし、発酵と熟成を進めることによって、液体状の調味料を作る技術である。魚醤にはうまみ成分と塩分が多く含まれており、大豆を主原料とする醤油が普及するまでは、この地方における代表的な調味料であり、現在でも煮物をはじめとする料理の味付けに広く用いられている。
原料は、日本海側の地域ではイワシやサバ、富山湾側ではイカの内臓を用いることが多い。これらを秋から春にかけて塩と共に漬け込んで発酵させ、固形分の分解と熟成を促すことにより、赤褐色の液体を作り出す。良好な風味を得るためには1年以上の期間が必要とされる。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
写真一覧
発酵の管理(有限会社カネイシ提供)
熟成させた原液の取り出し(通販サイト輪食(washoku)提供)
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発酵の管理(有限会社カネイシ提供)
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熟成させた原液の取り出し(通販サイト輪食(washoku)提供)
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解説文
能登のいしる・いしり製造技術は、海産物由来の発酵調味料である魚醤の製造技術である。これは能登で水揚げされた魚介類を塩漬けにし、発酵と熟成を進めることによって、液体状の調味料を作る技術である。魚醤にはうまみ成分と塩分が多く含まれており、大豆を主原料とする醤油が普及するまでは、この地方における代表的な調味料であり、現在でも煮物をはじめとする料理の味付けに広く用いられている。 原料は、日本海側の地域ではイワシやサバ、富山湾側ではイカの内臓を用いることが多い。これらを秋から春にかけて塩と共に漬け込んで発酵させ、固形分の分解と熟成を促すことにより、赤褐色の液体を作り出す。良好な風味を得るためには1年以上の期間が必要とされる。
詳細解説▶
詳細解説
能登のいしる・いしり製造技術は、石川県の能登地方に伝承されてきた、「いしる」または「いしり」と呼ばれる魚醤の製造技術である。これは能登で水揚げされた魚介類を塩漬けにし、発酵と熟成を進めることによって製造される液体調味料であり、うまみ成分と塩分を多く含み、醤油に似た独特の風味を持つ。大豆を主材料とする醤油が普及するまでは、この地方における代表的な調味料であり、煮物をはじめとする料理の味付けに広く用いられ、漁村においては、米や野菜などの作物と物々交換をするための大切な物資でもあった。また、明治22年(1889)刊行の『水産製造全書』には、当時すでに、いしるがこの地方の名産になっていたことが記されている。 原料は、外浦と呼ばれる日本海側の地域ではイワシやサバを、内浦と呼ばれる富山湾側の地域ではイカを加工する際に取り出された内臓(肝臓)を用いることが多い。その際、大きな魚の場合は適当な大きさに切断し、小さな魚(またはイカの内臓)の場合はそのままの状態で、塩とよく混ぜ合わせ、木桶に漬け込む。 漬け込みの作業は、秋から春にかけて行われ、必要に応じて撹拌や温度管理などを行うことで、発酵による原料の分解と熟成が促される。その際に、原料の吟味をはじめ、漬け込みの時期、添加する塩の量、撹拌の強弱、発酵温度の管理などに注意が払われ、これらの違いが最終的な風味を左右するといわれる。良好な風味を得るためには、1年以上の期間が必要とされ、2年から3年以上かけて製造される場合も少なくない。発酵が進むにつれて、木桶の底には原料から滲み出た液体が溜まり、上には骨や油脂などが集まって固形物の層を形成する。熟成中は、上層と下層の内容物が再び混じり合い、色が濁ることを防ぐため、木桶に衝撃を与えないようにする。熟成が完了に近づくと、原料の大半は透明度をもつ赤褐色の液体となる。最後に、木桶の下部にある小さな取り出し口から、いしるの原液をゆっくりと抽出し、加熱による殺菌と濾過(ろか)の工程を経て完成となる。