国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
登録無形民俗文化財
主情報
名称
:
薩南諸島の黒糖製造技術
ふりがな
:
さつなんしょとうのこくとうせいぞうぎじゅつ
登無民_黒糖の製造用具
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種別1
:
民俗技術
種別2
:
生産・生業
その他参考となるべき事項
:
・公開日
11月~3月
登録番号
:
6
登録年月日
:
2024.03.21(令和6.03.21)
追加年月日
:
登録基準1
:
(三)地域的特色を示すもの
登録基準2
:
登録基準3
:
所在都道府県、地域
:
鹿児島県
所在地
:
鹿児島県
保護団体名
:
特定せず
登無民_黒糖の製造用具
解説文:
詳細解説
本件は、種子島から与論島に至る鹿児島県の島々に伝承される黒糖の製造技術であ
る。鹿児島県から沖縄県にかけての南西諸島は、黒糖の生産地として知られ、なかでも南西諸島の北半分にあたる薩南諸島では、黒糖の伝統的な製造技術を伝えている。
黒糖の製造は、サトウキビを原材料とし、砂糖小屋と呼ばれる共同作業場で、11月から3月にかけて行われる。サトウキビは手作業で刈り取った後、圧搾して砂糖汁を搾り出す。砂糖汁は釜に移した後、登り窯で薪を焚いて煮詰める。灰汁を取り除き、石灰を加えてさらに煮詰めていく。飴色の粘りが出たところで容器に移し、手早く掻き混ぜながら固まり具合を調整する。最後に、温かいうちに作業台に広げて板状に伸ばし、固まった後、一ロ大に切り分けるなどして完成となる。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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登無民_黒糖の製造用具
登無民_黒糖の切り分け
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登無民_黒糖の製造用具
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登無民_黒糖の切り分け
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解説文
本件は、種子島から与論島に至る鹿児島県の島々に伝承される黒糖の製造技術であ る。鹿児島県から沖縄県にかけての南西諸島は、黒糖の生産地として知られ、なかでも南西諸島の北半分にあたる薩南諸島では、黒糖の伝統的な製造技術を伝えている。 黒糖の製造は、サトウキビを原材料とし、砂糖小屋と呼ばれる共同作業場で、11月から3月にかけて行われる。サトウキビは手作業で刈り取った後、圧搾して砂糖汁を搾り出す。砂糖汁は釜に移した後、登り窯で薪を焚いて煮詰める。灰汁を取り除き、石灰を加えてさらに煮詰めていく。飴色の粘りが出たところで容器に移し、手早く掻き混ぜながら固まり具合を調整する。最後に、温かいうちに作業台に広げて板状に伸ばし、固まった後、一ロ大に切り分けるなどして完成となる。
詳細解説▶
詳細解説
薩南諸島の黒糖製造技術は、種子島から与論島に至る鹿児島県の島々に伝承される黒糖の製造技術である。鹿児島県から沖縄県にかけての南西諸島は、黒糖の生産地として知られ、なかでも南西諸島の北半分にあたる薩南諸島では、黒糖の伝統的な製造技術を現在も伝えている。 我が国における製糖は、近世初期の琉球での黒糖づくりに始まり、その後は、奄美大島をはじめ気候の温暖な薩南諸島の島々にも受容されて技術が伝播していった。沖縄県では、昭和の中頃から大規模工場における機械化生産が急速に進む一方で、鹿児島県では現在も、種子島、奄美大島、加計呂麻島、喜界島、徳之島、沖永良部島をはじめとする島々で、伝統的な黒糖づくりが盛んに行われ、約40か所に伝承されている。 砂糖は製法上、分蜜糖と含蜜糖に大別される。このうち含蜜糖は、歴史が古く、砂糖の主成分を分離せずにミネラル分が豊富な糖蜜を含んでいて食味も豊かであり、その代表的なものが黒糖である。 黒糖の製造は、原材料となるサトウキビの糖度が高くなる11月から3月にかけてが最盛期で、砂糖小屋と呼ばれる専用の作業場で、昔ながらの共同作業で行われる。黒糖はサトウキビの質が大きく影響するため、サトウキビはえぐみがある茎の上部を切り落とし、甘みが強い根の近くを残して、一本ずつ刈り取っていく。刈り取ったサトウキビは、圧搾して砂糖汁を搾り出す。砂糖汁は釜に移した後、登り窯で薪を焚いて火加減を調整しながら煮詰める。丁寧に灰汁や不純物を取り除き、石灰を加えてさらに煮詰めていく。ほどよく飴色の粘りが出たところで容器に移し、空気を含ませるように手早く掻き混ぜながら、固まり具合を調整する。最後に、温かいうちに作業台に広げて板状に伸ばし、固まった後、一口大に切り分けて完成となる。砂糖汁の焚き上げの作業は、早朝から日没まで繰り返し行われる。良質の黒糖に仕上げるには、温度や粘度の見極めなど、長年の熟練した技術や経験が必要とされる。