国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
坂州不整合
ふりがな
:
さかしゅうふせいごう
坂州不整合
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
古生代末ペルム紀、中生代三畳紀
年代
:
西暦
:
面積
:
14862.79 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
13
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2011.02.07(平成23.02.07)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
(一)岩石、鉱物及び化石の産出状態,(二)地層の整合及び不整合,(七)岩石の組織
所在都道府県
:
徳島県
所在地(市区町村)
:
徳島県那賀郡那賀町
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
坂州不整合
解説文:
詳細解説
坂州不整合は、地質学上重要な概念である不整合の典型であるとともに、古生代二畳紀末に起こった秋吉造山運動の論拠となった学史的にも重要な露頭である。近年の研究成果によれば、この不整合は、二畳紀のプレートの沈み込みに伴う付加体と三畳紀の浅海堆積物との不整合とされている。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
坂州不整合
不整合
ペルム紀付加体
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坂州不整合
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不整合
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ペルム紀付加体
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解説文
坂州不整合は、地質学上重要な概念である不整合の典型であるとともに、古生代二畳紀末に起こった秋吉造山運動の論拠となった学史的にも重要な露頭である。近年の研究成果によれば、この不整合は、二畳紀のプレートの沈み込みに伴う付加体と三畳紀の浅海堆積物との不整合とされている。
詳細解説▶
詳細解説
徳島県那賀町坂州の坂州木頭川沿いでは、古生代末のペルム紀と中生代三畳紀の地層との間の不整合である坂州不整合がみられる。さらにこの三畳紀の地層とジュラ紀の不整合の露頭も観察でき、古生代末から中生代ジュラ紀までの地殻変動や堆積の様子が観察できる。 坂州不整合は、昭和28年に発見された(市川他、1953)。当時中央構造線より北側(西南日本内帯)の地域では、秋吉造山運動と呼ばれる、古生代末から中生代始めにかけて起こった大規模な造山運動が想定されていた。坂州不整合の発見は、秋吉造山運動という日本列島の骨格を形成する造山運動が、中央構造線の南側(西南日本外帯)にまで及ぶ地史学上の大事件であったことの論拠となる大きな発見であった。 しかし1970年代からのプレートテクトニクス説の台頭、さらに1980年代急速に進展した、四万十帯での付加帯の研究などの成果に基づく日本列島の地史の再検討の結果、坂州不整合は、古生代ペルム紀の付加帯中のメランジュと中生代後期三畳紀の浅海堆積物との間での傾斜不整合と考えられるようになった(石田他2005)。 坂州木頭川沿いには、古生代ペルム紀の檜曽根層群、中生代三畳紀の寒谷層、中生代ジュラ紀の広瀬層が連続的に分布する。 檜曽根層群は、剪断の著しい頁岩の基質の中に砂岩のブロックを主体に、チャートのブロックを含み、流動を示す凝灰岩の薄層を挟む。頁岩の基質からは、ペルム紀後期(2億5000万年前)を示す放散虫化石を産する。また、この地域の外ではあるが、玄武岩のブロックや、石炭紀後期を示すコノドント化石を含む石灰岩ブロックが含まれており、ペルム紀の付加体堆積物中のメランジュ相を示し、上位の寒谷層に不整合(坂州不整合)で覆われる。 寒谷層は、層厚50~75メートルで、産出する二枚貝化石から中生代上部三畳紀(2億3000万年前)の地層とされる。不整合面上の基底礫岩中には、チャートと石灰岩の細互層の巨礫、チャート、黒瀬川構造帯起源の圧砕花崗岩起源の礫が含まれる。上位に向かって、砂岩層、泥質砂岩層を経て最上部は酸性凝灰岩層となり、上位の広瀬層に不整合で覆われ、全体として上方細粒化を示す。砂岩層下部には貝殻片や細礫を含み、砂岩層中には、浅海域でのストームの作用で堆積したことを示すハンモック状斜交層理が発達する。寒谷層は,付加体上の前弧海盆のような場で堆積した地層と考えられている。 広瀬層は、産出する放散虫化石から下部ジュラ系(2億年前)とされている。下位の寒谷層との不整合面には、火成岩礫を多量に含み、露頭規模での層相の側方変化が著しい。タービダイト起源の砂岩と泥岩の薄互層を基調とし,一部にはチャネル構造を示す部分もある。広瀬層は、寒谷層よりやや深い環境の斜面環境での堆積を示していると考えられている。 坂州不整合は、1950年代、地向斜造山運動論に基づく日本列島形成論の重要な論拠となった不整合であり、その後のプレートテクトニクス説の台頭により、新たな解釈がされるようになった学史的に重要な露頭である。近接する、坂州不整合よりも新しい不整合と併せて地質現象の理解に欠かせない不整合現象を示す露頭を「坂州不整合」の名称で天然記念物に指定し、保護を図ろうとするものである。