国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
米塚及び草千里ヶ浜
ふりがな
:
こめづかおよびくさせんりがはま
草千里ヶ浜(草千里展望所より撮影)
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
種別1
:
名勝
種別2
:
天然記念物
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
1258507.76 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
41
特別区分
:
指定年月日
:
2013.03.27(平成25.03.27)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
九.火山、温泉
所在都道府県
:
熊本県
所在地(市区町村)
:
熊本県阿蘇市・阿蘇郡南阿蘇村
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
草千里ヶ浜(草千里展望所より撮影)
解説文:
詳細解説
神話又は近代の詩歌の源泉となった阿蘇山の優秀な風致景観。27万年前に始まる阿蘇山噴火史の特質を示す2つの火山としても重要。名勝の火山としては初の指定である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
草千里ヶ浜(草千里展望所より撮影)
米塚
写真一覧
草千里ヶ浜(草千里展望所より撮影)
写真一覧
米塚
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
神話又は近代の詩歌の源泉となった阿蘇山の優秀な風致景観。27万年前に始まる阿蘇山噴火史の特質を示す2つの火山としても重要。名勝の火山としては初の指定である。
詳細解説▶
詳細解説
阿蘇山は、南北約25キロメートル、東西約18キロメートル、面積約380平方キロメートルの巨大カルデラを持つ世界有数の活火山である。約27万年前から約9万年前に流出した計4回の大火砕流により現在のカルデラ地形が形成され、その後はカルデラ内部に形成された一群の中央火口丘の火山活動へと移行した。その中でも米塚及び草千里ヶ浜は、神話又は近代詩歌の源泉となった阿蘇山の優秀な風致景観を成し、阿蘇山の特質を表す2つの火山から成る。 米塚には、古く阿蘇開拓にまつわり、健磐龍命(たけいわたつのみこと)が、収穫した米を積み上げてできたとの神話伝説が伝わる。阿蘇山の中央火口丘の北西に当たる標高約870メートルの緩傾斜面に位置し、約3,000年前に形成された丸みのある美しい円錐形の単成火山(スコリア丘)である。基底部の直径は約380メートル、比高は約80メートルで、基底部から北側に向かって流出した熔岩には、多数の熔岩トンネルが形成されている。直径約80メートルの山頂の火口は、健磐龍命が貧しい人々のために籾をすくい取って分け与えた跡だと伝えられている。 また、広々と静かな草原に覆われた草千里ヶ浜は、火を噴く活火山としての阿蘇山とは対照的に、新たな阿蘇の風致景観として、三好達治(1900~1964)、中村憲吉(1889~1934)、吉井勇(1886~1960)など近代の詩人が好んで詩歌に詠んだ。特に三好達治は、歌集『艸千里(くさせんり)』に収めた「艸千里浜」と題する詩において、「・・・肥の国の大阿蘇の山 駒あそぶ高原の牧 名もかなし艸千里浜」と詠った。アララギ派の詩人である中村憲吉は、「山のうへに 草千里濱とは寂しけれ 雲がたちまち ひくく時雨れつ」、「とほり行く 草千里浜しぐるゝや 下りて遊べる 馬の影みず」の短歌を詠んだほか、吉井勇は「大阿蘇の 山の煙はおもしろし 空にのぼりて 夏雲となる」と詠んだ。これらの草地に覆われた平明な風致景観は、古来、火を噴く信仰の山として広く認知されてきた阿蘇山の風致景観とは異なり、近代になって新たに発見されたものであった。2つの池が水を湛える凹地状の草原は、その全体が約3万年前にデイサイト質の軽石の噴出によって形成された火口跡である。直径約800メートルにわたって周囲を取り巻く小高い尾根は火口縁で、特に南側の火口壁では熔結した軽石の堆積物も観察できる。 これらの米塚及び草千里ヶ浜の草地から成る風致景観は、長らく人が火入れ又は放牧を行うことにより良好に維持されてきた。 以上のように、米塚及び草千里ヶ浜は、神話又は近代詩歌の源泉となった阿蘇山の優秀な風致景観として広く知られ、その観賞上の価値は高い。同時に、世界有数のカルデラ火山である阿蘇山の特質を表す2つの火山としても、その学術上の価値は高い。よって、名勝及び天然記念物に指定し保護を図ろうとするものである。