国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
旧相模川橋脚
ふりがな
:
きゅうさがみがわきょうきゃく
橋杭(左と)液状化で杭に沿って上に曲がった地層
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
42
特別区分
:
指定年月日
:
2013.03.27(平成25.03.27)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
(五)地震断層など地塊運動に関する現象
所在都道府県
:
神奈川県
所在地(市区町村)
:
神奈川県茅ヶ崎市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
橋杭(左と)液状化で杭に沿って上に曲がった地層
解説文:
詳細解説
大正12年の関東大地震の際に相模(さがみ)川(がわ)河口近くの水田から現れた、鎌倉時代の橋脚。大正15年に史跡として指定され保存されてきたが、近年の発掘調査により、地震に伴う多数の自然現象が発見された。液状化現象としては初の指定である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
橋杭(左と)液状化で杭に沿って上に曲がった地層
出現当時の橋脚(1924(大正13)年2月)
写真一覧
橋杭(左と)液状化で杭に沿って上に曲がった地層
写真一覧
出現当時の橋脚(1924(大正13)年2月)
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
大正12年の関東大地震の際に相模(さがみ)川(がわ)河口近くの水田から現れた、鎌倉時代の橋脚。大正15年に史跡として指定され保存されてきたが、近年の発掘調査により、地震に伴う多数の自然現象が発見された。液状化現象としては初の指定である。
詳細解説▶
詳細解説
旧相模川橋脚は、神奈川県茅ヶ崎市、小出川(こいでがわ)左岸の国道1号線の下町屋橋の下流にある。大正12年9月1日昼前、相模湾を震源とするマグニチュード7.9の関東地震が発生した。死者行方不明者10万5千人、家屋の損壊30万戸は、地震国日本においても、最悪の地震災害(関東大震災)であった。 関東地震と翌年1月15日の余震(マグニチュード7.2)の際、当時小出川左岸の水田で地盤の液状化が発生し、直径65センチメートルから50センチメートルの柱状材7本が浮き上がってきた。浮き上がってきた7本の柱状材の配列が橋脚状であったことと、吾妻鏡(あづまかがみ)に「建久(けんきゅう)9年(1198)源頼朝の家臣稲毛(いなげ)重成(しげなり)が相模川に橋を架けた」という記載があることから、旧相模川に架けられた橋脚の一部と考証され(沼田1924)、大正15年に国の史跡として指定された。 平成13年度から同17年度にかけて行われた保存整備に伴う発掘調査により、新たな橋脚や土留め遺構などが発見されるとともに、噴砂や地層の変型など、当時の地層の液状化の様相を示す多数の成果が報告された。 発掘調査の際には、当時の水田土壌の下にあった河川堆積物の様相も明らかになった。数十センチメートル規模の斜交層理を基本とする砂礫層から構成され、10センチメートル程度の厚さの連続性に乏しい泥層を挟む。発掘調査の断面では、幅数メートル、深さ1メートル以内程度の流路構造もみられる。流路充填堆積物の下部では、侵蝕された泥層が礫となり、雁行(がんこう)配列する様子も見られる。斜交層理から求めた古流向は、概ね北西から南東方向を示し、古相模川水系の流向として妥当である。こうした特徴から、この地層は、古相模川河口付近の網状流(もうじょうりゅう)堆積物と考えられる。こうした河川堆積物に打ち込まれた木製の橋脚は、関東地震に伴う震動による液状化によって地中から抜け上がり地表に現れる。橋脚に沿っては、周囲の地層が上方に向かって変形するとともに、細粒物質が地表まで吹き出した痕跡もみられる。また、震災直後にとられた古写真からも、水田上に吹き上げた噴砂の跡が確認されている。 地震の痕跡は、震源が陸上である場合は、断層として残される場合があるが、震源が海底の場合は、地震による海岸部の地殻変動(隆起・沈降)、土砂崩れによる地形変化、そして地層の液状化などが、痕跡として現れる。地殻変動は、岩盤が強固な場合は、隆起海蝕台などとして永く残されることがある。関東地震の場合は、南関東の地盤が軟弱な沖積低地を襲った大地震であったため、沿岸部や河川沿いで液状化被害が多数発生した。しかし、直後に復旧が行われることもあり、その痕跡は極めて残りにくかった。 旧相模川橋脚は、地震災害が頻発する我が国において、地震に伴う顕著な自然現象ではあるがその保存が極めて困難な液状化現象をとどめた場所として、きわめて重要である。よって、史跡に加え天然記念物として指定しその保護を図るものである。