国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
徳之島明眼の森
ふりがな
:
とくのしまみょうがんのもり
アマミアラカシ林
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
46388.0 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
42
特別区分
:
指定年月日
:
2013.03.27(平成25.03.27)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
所在都道府県
:
鹿児島県
所在地(市区町村)
:
鹿児島県大島郡伊仙町
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
アマミアラカシ林
解説文:
詳細解説
明眼の森は、風(ふう)葬(そう)墓(ぼ)やノロにまつわる神聖な場所として伐採が避けられ、構成種数が豊富で希少種も多数生育する自然林が残されている。アマミアラカシ林として最初の指定で、琉球石灰岩地に発達する南西諸島を代表する自然林として貴重である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
アマミアラカシ林
アマミアラカシ(近影)
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アマミアラカシ林
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アマミアラカシ(近影)
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解説文
明眼の森は、風(ふう)葬(そう)墓(ぼ)やノロにまつわる神聖な場所として伐採が避けられ、構成種数が豊富で希少種も多数生育する自然林が残されている。アマミアラカシ林として最初の指定で、琉球石灰岩地に発達する南西諸島を代表する自然林として貴重である。
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詳細解説
指定対象は徳之島南部、伊仙町の琉球石灰岩地に成立しているアマミアラカシを中心とした自然林である。徳之島は南西諸島の中部、奄美大島の南西に位置し、島の東側に徳之島町、西側の天城町、南側の伊仙町の3町からなる。最高峰は徳之島町の井之川岳標高645メートルで、ほぼ南北に中央山地が発達する。その周囲に丘陵地、低地があるものの、北部は低地が少なく、南部に低地が広がる。北部と中央山地部の地質は白亜紀の付加体である砂岩泥岩互層や玄武岩、古第三紀の深成岩類等により構成され、中部以南の段丘・沿岸部は更新世の石灰岩である琉球石灰岩からなる。琉球石灰岩は段丘状になり、内陸部の標高の高い地域が琉球層群上部、南部では海岸に向かって琉球層群中部、琉球層群下部とに分類されている。伊仙町は東北側は徳之島町、西北側は天城町と接し、天城町との境に標高417メートルの犬田布岳があり、標高約150メートル以下の地域はほぼ全域が琉球石灰岩により構成される。 奄美大島以南の南西諸島は亜熱帯域に属し、低地部の地質は主に隆起珊瑚礁起源の琉球石灰岩から構成される。低地部から丘陵部にかけての低平地は農耕地、丘陵地は薪炭材を供給する里山として絶えず人の干渉を受けており、自然林はほとんど残されていない。しかし、沖縄島や先島諸島では聖霊の地である御嶽、奄美諸島でも神山や風葬地等の神聖な場所は人手があまり入らず、自然林が見られる。明眼の森はかつて徳之島が琉球国によって統治された頃、琉球国按司の館が置かれ、またその後、風葬地、ノロにまつわる神聖な場所として樹木の伐採等が避けられてきたといわれる。対象地域は伊仙町でアマミアラカシ自然林が良好な状態で残されている地域の一つである。 アマミアラカシ(Quercus glauca var. amamiana )はブナ科の常緑高木で、アラカシ(Quercus glauca )の変種である。アラカシは本州・四国・九州、朝鮮、中国、台湾、インドシナからヒマラヤにかけて広く分布しているが、アマミアラカシは奄美大島以南の南西諸島に分布する固有変種で、南西諸島の石灰岩地帯の森林を構成する重要な種類である。 明眼の森は伊仙町南西部の東犬田布に位置し、地質は琉球層群下部であり、未風化の部分もある。地形は標高が160メートル前後の石灰岩からなる丘陵地で、中央部が浸食され南東に向かって谷が形成されている。対象地域は谷を含む南向きの斜面で、標高は北側の丘陵部が約160メートル、南側に傾斜した下部が約120メートルである。指定範囲は東西約250メートル、南北約300メートル、面積約4.6ヘクタールである。現在、明眼神社の拝殿はあるものの、明眼公園として保護されている。 明眼の森ではアマミアラカシ林とタブノキ林の、二つのタイプの林分が認められた。アマミアラカシ林はアマミアラカシが優占し、石灰岩が裸出し、貧栄養・乾燥した立地に成立している。群落高は8メートルから15メートルに達する森林である。石灰岩が裸出した部分に成立するアマミアラカシは単幹のものは少なく、3本から7本に根際から萌芽し二次林の様相もあるが、表土がある程度厚く堆積した部分では単立し、胸高直径が70センチメートル以上のものもみられ、自然林と考えられる。構成種数は50種強と多い。 一方、タブノキ林では高木層にアマミアラカシは少なく、アカハダグスやタブノキ、クスノハガシワ、ホルトノキなどが多い。群落高16から18メートルで、高木層は胸高直径40センチメートルから70センチメートル前後で、亜高木層にはリュウキュウガキ、モクタチバナ、アカハダグスノキ等が多い。低木層にはグミモドキ、ヤブニッケイ、クスノハガシワ、クロツグなど、草本層は豊かでヤブラン、クロツグ、ホウビカンジュ、ヤリノホクリハラン等が生育する。構成種数は50から60種と豊富であり、マツバランやラン科植物などの絶滅危惧種・希少種も分布している。アマミアラカシ林、タブ林ともに、南西諸島の石灰岩地を代表する自然林と考えられる。 環境省のレッドリストに記載されている絶滅危惧植物として、オオカナメモチ、オオアマミテンナショウなどの絶滅危惧I類(CR、EN)が4種、オオタニワタリ、ヤエヤマネコノチチなどの絶滅危惧Ⅱ類(VU)5種が確認されている。狭い地域であるが、多数の希少種が生育する地域となっている。 沖縄県も含め残存するアマミアラカシ林は少なく、明眼の森は南西諸島の低地部を代表する自然林が良好のな状態で残され、絶滅危惧種をはじめとした希少種が多数生育している地域としても重要である。よって、天然記念物に指定し保護を図ろうとするものである。