国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
種子島国上湊川・阿嶽川のマングローブ林
ふりがな
:
たねがしまくにがみなとがわ・あだけがわのまんぐろーぶりん
種子島阿嶽川のマングローブ林
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種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
18997.77 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
70
特別区分
:
特別以外
指定年月日
:
2015.10.07(平成27.10.07)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
2022.11.10(令和4.11.10)
指定基準
:
(二)代表的原始林、稀有の森林植物相,(十)著しい植物分布の限界地
所在都道府県
:
鹿児島県
所在地(市区町村)
:
鹿児島県熊毛郡中種子町・西之表市
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
種子島阿嶽川のマングローブ林
解説文:
詳細解説
マングローブ林は熱帯から亜熱帯の感潮域(かんちょういき)に分布する森林で,特異な形態と生活様式をもった植物群落である。マングローブ林は熱帯・亜熱帯の暖かい地域に分布し,日本では鹿児島県と沖縄県の一部の汽水域(きすいいき)に分布する。北限は暖かいメキシコ湾流が近くを流れる北大西洋のバミューダ諸島で,アジア地域における自然分布の北限は種子島といわれている。マングローブ林を構成する樹木は世界で100種程度あるが,特異な形態の根系,胎生種子などの特徴をもつマングローブ樹種は40種程度,日本では5種だけである。北限域となる種子島では低温耐性の強いメヒルギのみが生育する。
種子島でメヒルギが生育している河川は島の東側に位置する6河川である。マングローブ林の高さは河川の中央部に近い部分では低く1~1.5m程度,辺縁部は4m前後である。地形的に低く周辺から強風があたる地域では,メヒルギの伸長生長が悪く,1個体の占める面積を広げる独特の樹形を呈している。その中で,阿嶽川のマングローブ林は生育面積も比較的広く,良好な生育環境が残されている。北限域で,独特の樹形を呈するマングローブ林が良好に残されている地域として価値が高く,天然記念物に指定するものである。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
種子島阿嶽川のマングローブ林
種子島阿嶽川のマングローブ林(全景)
種子島阿嶽川のマングローブ林(メヒルギ)
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種子島阿嶽川のマングローブ林
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種子島阿嶽川のマングローブ林(全景)
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種子島阿嶽川のマングローブ林(メヒルギ)
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解説文
マングローブ林は熱帯から亜熱帯の感潮域(かんちょういき)に分布する森林で,特異な形態と生活様式をもった植物群落である。マングローブ林は熱帯・亜熱帯の暖かい地域に分布し,日本では鹿児島県と沖縄県の一部の汽水域(きすいいき)に分布する。北限は暖かいメキシコ湾流が近くを流れる北大西洋のバミューダ諸島で,アジア地域における自然分布の北限は種子島といわれている。マングローブ林を構成する樹木は世界で100種程度あるが,特異な形態の根系,胎生種子などの特徴をもつマングローブ樹種は40種程度,日本では5種だけである。北限域となる種子島では低温耐性の強いメヒルギのみが生育する。 種子島でメヒルギが生育している河川は島の東側に位置する6河川である。マングローブ林の高さは河川の中央部に近い部分では低く1~1.5m程度,辺縁部は4m前後である。地形的に低く周辺から強風があたる地域では,メヒルギの伸長生長が悪く,1個体の占める面積を広げる独特の樹形を呈している。その中で,阿嶽川のマングローブ林は生育面積も比較的広く,良好な生育環境が残されている。北限域で,独特の樹形を呈するマングローブ林が良好に残されている地域として価値が高く,天然記念物に指定するものである。
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詳細解説
阿嶽川流域のマングローブ林は、マングローブの自生北限域の種子島で良好に残された自然性の高いマングローブ林である。 マングローブ林は熱帯から亜熱帯の感(かん)潮域(ちょういき)に分布する森林で、海水が流入する汽水環境に生育するため、特異な形態と生活様式をもった植物群落である。日本では鹿児島県と沖縄県の一部の汽水域に分布する。マングローブ林は熱帯・亜熱帯の暖かい地域に分布し、北限は暖かいメキシコ湾流が近くを流れる北大西洋のバミューダ諸島で、アジア地域における自然分布の北限は種子島といわれている。 マングローブ林を構成する樹木は世界で約100種あるが、支柱根(しちゅうこん)や筍根(じゅんこん)、膝根(しっこん)など特異な形態の根、胎生種子などの特徴をもつマングローブ樹種は40種程度である。日本で上記のような特徴をもつマングローブ樹種は、メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシ、マヤプシキの5種である。西表島には5種すべてが生育し、石垣島と宮古島には4種、沖縄島では3種、奄美大島はオヒルギとメヒルギの2種、屋久島と種子島ではメヒルギのみとなる。北になるにつれ生育する種類は減少し、低温耐性の強いメヒルギのみが北限域で生育している。 種子島でメヒルギが生育している河川は湊川(西之表市)、阿嶽川(中種子町)、大浦川(中種子町、南種子町)、阿武鋤川、黒川、郡川(南種子町)の6河川が知られ、いずれも種子島東側の太平洋岸である。鹿児島県本土にも、特別天然記念物喜入のリュウキュウコウガイ産地などのマングローブ林が成立しているが、これは江戸期に人為導入されたものが群落を形成したと考えられ、自然分布の北限より北の地域で自然繁殖したマングローブ林として貴重なものである。 対象河川である阿嶽川は中種子町の南部東海岸、南種子町との境界付近に位置する、延長約4.5kmの小さな二級河川である。全体としては西から東に流れており、下流部では蛇行し、太平洋側の熊野浦に流入する。この蛇行した河川を、昭和53年に河口から約1kmの地点で直線化させた河道を設置し、旧河道(本流)とショートカットした新河道(支流)とが再合流して流下する。河口から700m付近において、主要地方道西之表南種子線が支流と本流とを横切っている。主要地方道上流では、本流と支流の間が水田として利用され、マングローブは主に本流沿いに細々と分布している。主要地方道の下流域ではマングローブ林が発達し、左岸によく広がっている。 対象範囲は阿嶽川本流と支流で、主要地方道の下流部から河口の手前200mあたりまでの、長さ約400m、幅平均約50mの範囲で、面積は1.9haとなっている。種子島のマングローブ林は北限域であることからメヒルギ1種から構成され、マングローブ林の周辺を構成する群落も少なく、ハマボウ群落や断片的にハマジンチョウ群落が存在する。 メヒルギ群落の高さは河川の中央部に近い部分では低く1~1.5m程度で、辺縁部では4m前後になる。河川付近の群落の高さを下流と上流とで比較すると、下流側では1m以下、上流側では1.5m前後となり、横に枝を広げた独特の形態をした群落が多い。地形的に低く周辺から強風があたる地域ではメヒルギはあまり伸長生長をせず、1個体の占める面積を広げる傾向が見られ、独特の形態となっている。 阿嶽川のマングローブ林は種子島の中でも生育面積も広く、良好な生育環境が残されている。北限域で、独特の樹形を呈するマングローブ林が良好に残されている地域として価値が高く、天然記念物に指定するものである。