国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
登録記念物
主情報
名称
:
前垣氏庭園(寿延庭)
ふりがな
:
まえがきしていえん(じゅえんてい)
前垣氏庭園(寿延庭)(本庭)
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種別1
:
登録記念物(名勝地関係)
種別2
:
時代
:
昭和
年代
:
西暦
:
面積
:
590.5 m
2
その他参考となるべき事項
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登録番号
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登録年月日
:
2016.03.01(平成28.03.01)
追加年月日
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登録基準
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所在都道府県
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広島県
所在地(市区町村)
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広島県東広島市
保管施設の名称
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所有者種別
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所有者名
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管理団体・管理責任者名
:
前垣氏庭園(寿延庭)(本庭)
解説文:
詳細解説
前垣氏庭園は,広島県東広島市で酒造業を営む前垣氏の邸宅に造られた枯山水庭園であり,庭園研究者で作庭家でもあった重森(しげもり)三(み)玲(れい)が設計を行った。作庭にあたって重森は昭和30年(1955)12月に前垣氏宅に滞在し,自ら指示をした。
庭園は本庭,前庭,中庭の3つの部分から成る。邸宅の座敷に面する本庭は,白砂敷で水面が表現され,左右からの細長い出島を主とする陸地部分には苔がはられている。水面と陸地部分が接する汀線は入り組み,砂の白さと苔の深い緑色が対照を成す。また,建物の縁先には洲浜になぞらえた敷石が並べられ,その水際はうねるような曲線を描く。正面中央に大ぶりな景石を据え,随所に立石と伏石を配置する。前庭は表門と玄関の間に造られ,3つの苔地の築山,直打ちの飛石を配し,その他の部分は白砂敷にしている。中庭は周囲を囲まれた坪庭で,3つの景石と飛石,沓脱石を配し,それ以外の部分に白砂を敷く。
3つの庭園は位置的に独立し,それぞれの意匠も異なるが,立石を中心に白砂,苔等の材料を用いて造られた空間は,多くの枯山水庭園を残した重森の作風がよく表れている。造園当初の姿を今日までよく伝えており,造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
前垣氏庭園(寿延庭)(本庭)
前垣氏庭園(寿延庭)(前庭)
前垣氏庭園(寿延庭)(中庭)
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前垣氏庭園(寿延庭)(本庭)
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前垣氏庭園(寿延庭)(前庭)
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前垣氏庭園(寿延庭)(中庭)
解説文
前垣氏庭園は,広島県東広島市で酒造業を営む前垣氏の邸宅に造られた枯山水庭園であり,庭園研究者で作庭家でもあった重森(しげもり)三(み)玲(れい)が設計を行った。作庭にあたって重森は昭和30年(1955)12月に前垣氏宅に滞在し,自ら指示をした。 庭園は本庭,前庭,中庭の3つの部分から成る。邸宅の座敷に面する本庭は,白砂敷で水面が表現され,左右からの細長い出島を主とする陸地部分には苔がはられている。水面と陸地部分が接する汀線は入り組み,砂の白さと苔の深い緑色が対照を成す。また,建物の縁先には洲浜になぞらえた敷石が並べられ,その水際はうねるような曲線を描く。正面中央に大ぶりな景石を据え,随所に立石と伏石を配置する。前庭は表門と玄関の間に造られ,3つの苔地の築山,直打ちの飛石を配し,その他の部分は白砂敷にしている。中庭は周囲を囲まれた坪庭で,3つの景石と飛石,沓脱石を配し,それ以外の部分に白砂を敷く。 3つの庭園は位置的に独立し,それぞれの意匠も異なるが,立石を中心に白砂,苔等の材料を用いて造られた空間は,多くの枯山水庭園を残した重森の作風がよく表れている。造園当初の姿を今日までよく伝えており,造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。
詳細解説▶
詳細解説
前垣氏庭園は、広島県東広島市で酒造業を営む前垣氏の邸宅に造られた枯山水庭園である。設計を行ったのは庭園研究者で作庭家でもあった重森三玲(1896~1975)で、実際の作庭にあたって重森は昭和30年(1955)12月に前垣氏宅に滞在し、自ら指示をした。 庭園は主屋横に座敷を建築した際に造られ、本庭、前庭、中庭の3つの部分から成る。いずれの庭も建物とよく調和し、一体的な空間が形成されている。座敷に面する本庭は、白砂敷で水面が表現され、左右からの細長い出島を主とする陸地部分には苔がはられている。水面と陸地部分が接する汀線は入り組み、砂の白さと苔の深い緑色が対照を成す。また、建物の縁先には洲浜になぞらえた敷石が並べられ、その水際はうねるような曲線を描く。正面中央に大ぶりな景石を据え、随所に立石と伏石を配置する。中央部の石は蓬莱山と枯滝を表しているという。作庭当時は庭園の背後に酒蔵があり、重森も酒蔵の白壁を意識して設計を行ったと考えられるが、その後酒蔵の外壁は改修され、現在はなまこ壁になっている。背景と植栽はアカマツ、キンモクセイ、イロハモミジ等の高木のほか、サツキツツジなどの低木類を植えている。 前庭は表門と玄関の間に造られ、3つの苔地の築山、直打ちの飛石を配し、それ以外の部分は白砂敷にしている。築山には石を立て、アカマツ、キンモクセイ、イロハモミジ、サルスベリ等の高木類及びサツキツツジなどの低木類を植える。 中庭は周囲を囲まれた坪庭で、3つの景石と飛石、沓脱石を配し、それ以外の部分には白砂を敷く。3つの景石のうち、2つは立てて、1つは伏せて据えられている。 3つの庭園は位置的に独立し、それぞれの意匠も異なるが、立石を中心に白砂、苔等の材料を用いて造られた空間は、他の重森の庭園の多くと共通点を持つ。 以上のように、前垣氏庭園は酒造業を営む個人の邸宅に造られた庭園で、多くの枯山水庭園を残した重森の作風がよく表れており、造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。