国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要文化的景観
主情報
名称
:
佐世保市黒島の文化的景観
ふりがな
:
させぼしくろしまのぶんかてきけいかん
アコウの防風林(蕨集落)
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種別1
:
重要文化的景観
種別2
:
面積
:
その他参考となるべき事項
:
選定番号
:
選定年月日
:
2011.09.21(平成23.09.21)
追加年月日
:
選定基準
:
所在都道府県
:
長崎県
所在地(市区町村)
:
長崎県佐世保市
アコウの防風林(蕨集落)
解説文:
詳細解説
九十九島のうち最大の島である黒島は、海岸部の標高50m付近までは急な断崖となっている一方、標高約100m以上はなだらかな地形となっており、畑地や集落が点在する。暖流の対馬海流の影響を受けた海洋性気候であるため亜熱帯植物も多く自生している。江戸時代の黒島は、平戸藩に属する西氏の所領であり、藩の牧場が置かれていた。18世紀に開拓を目的とする移住が平戸藩の主導で行われ、特に牧場廃止後は跡地開拓のためさらに移住が推進された。また、黒島北方に浮かぶ伊島・幸ノ小島は古くから黒島の属島とされ、伊島では牛の放牧、幸ノ小島は藻場として周辺で肥料用の海藻が採取された。黒島は夏季・冬季ともに季節風の影響を強く受ける地域で、特に台風来週時には猛烈な南風に襲われる。そのため居住地はできるだけ風の影響が少ない場所が選ばれ、同時に屋敷及び隣接する畑地等の南側を中心に防風林が発達することとなった。防風林にはスダジイなど自然林を活用したものと、アコウなど意図的に植栽されたものが確認される。特に島南部の蕨集落では、亜熱帯系の植物であるアコウが防風林として海側に植えられており、島に豊富な閃緑岩の石で築かれた石垣の上にアコウの大樹の根が張る、特徴的な景観が展開している。
このように、佐世保黒島の文化的景観は、近世期の牧に起源を持つ畑地やアコウ防風林と石積みによる居住地、属島における生産活動など、独特の土地利用によって形成される価値の高い文化的景観である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
アコウの防風林(蕨集落)
海→防風林→居住地→畑地
石積みが卓越する集落
石積みに巻き付くアコウの根
写真一覧
アコウの防風林(蕨集落)
写真一覧
海→防風林→居住地→畑地
写真一覧
石積みが卓越する集落
写真一覧
石積みに巻き付くアコウの根
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解説文
九十九島のうち最大の島である黒島は、海岸部の標高50m付近までは急な断崖となっている一方、標高約100m以上はなだらかな地形となっており、畑地や集落が点在する。暖流の対馬海流の影響を受けた海洋性気候であるため亜熱帯植物も多く自生している。江戸時代の黒島は、平戸藩に属する西氏の所領であり、藩の牧場が置かれていた。18世紀に開拓を目的とする移住が平戸藩の主導で行われ、特に牧場廃止後は跡地開拓のためさらに移住が推進された。また、黒島北方に浮かぶ伊島・幸ノ小島は古くから黒島の属島とされ、伊島では牛の放牧、幸ノ小島は藻場として周辺で肥料用の海藻が採取された。黒島は夏季・冬季ともに季節風の影響を強く受ける地域で、特に台風来週時には猛烈な南風に襲われる。そのため居住地はできるだけ風の影響が少ない場所が選ばれ、同時に屋敷及び隣接する畑地等の南側を中心に防風林が発達することとなった。防風林にはスダジイなど自然林を活用したものと、アコウなど意図的に植栽されたものが確認される。特に島南部の蕨集落では、亜熱帯系の植物であるアコウが防風林として海側に植えられており、島に豊富な閃緑岩の石で築かれた石垣の上にアコウの大樹の根が張る、特徴的な景観が展開している。 このように、佐世保黒島の文化的景観は、近世期の牧に起源を持つ畑地やアコウ防風林と石積みによる居住地、属島における生産活動など、独特の土地利用によって形成される価値の高い文化的景観である。
詳細解説▶
詳細解説
黒島は、佐世保本土と平戸島南端部のほぼ中間地点に位置する、九十九島のうち最大の島である。海岸部の標高50m付近までは急な断崖となっている一方、標高約100m以上はなだらかな地形となっており、畑地や集落が点在する。暖流の対馬海流の影響を受けた海洋性気候であるため、アコウやサザンカなど亜熱帯植物・南方系植物が多く自生している。 黒島では、旧石器時代に既に人が生活していた痕跡が確認されるが、文字史料上での黒島の初見は文永8年(1271)の『青方文書』に遡る。江戸時代の黒島は、平戸松浦氏の配下である西氏の所領であり、藩の牧場が置かれていた。当初は西氏の一族のみが島の北部を中心に居住していたが、享保年間(1716~35)に開拓を目的とする最初の移住が平戸藩の主導で行われ、その後次々と移住者が黒島に入植した。享和3年(1803)には牧場が廃止され、牧場跡地開拓のためさらに移住が推進された。こうして近世後期から末期にかけて島内に8つの集落が形成され、現在まで受け継がれている。また、黒島北方に浮かぶ伊(い)島(じま)・幸(こう)ノ小(こ)島(じま)は古くから黒島の属島とされ、伊島では牛の放牧や薪炭材の採集、幸ノ小島は藻場として肥料用の海藻が採取されてきた。 黒島は夏季・冬季ともに季節風の影響を強く受ける地域で、特に台風来襲時には猛烈な南風に襲われる。そのため居住地はできるだけ風の影響が少ない場所が選ばれ、同時に屋敷地及び隣接する畑地等の南側を中心に防風林を発達させた。防風林にはスダジイなど自然林を活用したものと、アコウなど意図的に植栽されたものとが確認される。特に島南部の蕨(わらび)集落では、亜熱帯植物であるアコウが防風林として海側に植えられており、島に豊富な閃緑岩の石で築かれた石垣の上にアコウの大樹の根が張る、特徴的な景観が展開している。 このように、佐世保黒島の文化的景観は、近世期の牧に起源を持つ畑地やアコウ防風林と石積みによる居住地、属島における生産活動など、独特の土地利用によって形成される価値の高い文化的景観である。しかしながら、過疎化によって空き家が増加し、また地域共同体の変容により生活・生業上支障が生じているなど、問題も生じつつある。そのため、当該地域における生活・生業を維持し当該文化的景観を保存・活用するため、佐世保市は文化的景観保存調査を実施し文化的景観保存計画を策定した。調査では景観単位として、近世の牧に起源を持つ畑などの農地、アコウの防風林や石積みを備えた居住地、重要な放牧地・磯場として機能してきた離島が析出された。また、保存計画において重要な構成要素として集落、畑地、防風林など100件の不動産が特定されている。これらに基づき、今次選定申出が行われた当該文化的景観について、重要文化的景観に選定し、その保存・活用を図るものである。