国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
南河内橋
ふりがな
:
みなみかわちばし
棟名
:
棟名ふりがな
:
南河内橋
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員数
:
1基
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
大正
年代
:
大正15
西暦
:
1926
構造及び形式等
:
鋼製二連トラス橋、橋長133.0m、幅員3.6m、コンクリート造橋脚1基及び翼壁付橋台2基を含む
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02499
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2006.12.19(平成18.12.19)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
福岡県
所在地
:
福岡県北九州市八幡東区河内三丁目
保管施設の名称
:
所有者名
:
北九州市
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
南河内橋
解説文:
詳細解説
南河内橋は,市内を流れる大蔵川上流に位置し,大正15年11月竣工の道路橋である。官営八幡製鉄所の用水確保のために設けられた河内貯水池に架かり,橋長133m,幅員3.6mの下路式鋼製二連レンティキュラートラス橋である。設計は,製鉄所技師の沼田尚徳と足立元二郎の指導監督のもと,製鉄所技手の西島三郎により行われた。
主構は,径間66mで,正立及び倒立の曲弦トラスを上下に組み合わせて紡錘形とし,垂直材で床版を吊る特異な構造形式である。部材の格点は全てピン結合としている。
南河内橋は,我が国の鉄鋼産業発展の中心を担った旧八幡製鉄所が直営で設計施工した数少ない鋼橋のひとつとして貴重である。また,合理的で明快な部材構成と,独特な形状のレンティキュラートラス形式の橋梁として,我が国の近代唯一の遺構であり,橋梁技術史上,高い価値がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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南河内橋
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南河内橋
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解説文
南河内橋は,市内を流れる大蔵川上流に位置し,大正15年11月竣工の道路橋である。官営八幡製鉄所の用水確保のために設けられた河内貯水池に架かり,橋長133m,幅員3.6mの下路式鋼製二連レンティキュラートラス橋である。設計は,製鉄所技師の沼田尚徳と足立元二郎の指導監督のもと,製鉄所技手の西島三郎により行われた。 主構は,径間66mで,正立及び倒立の曲弦トラスを上下に組み合わせて紡錘形とし,垂直材で床版を吊る特異な構造形式である。部材の格点は全てピン結合としている。 南河内橋は,我が国の鉄鋼産業発展の中心を担った旧八幡製鉄所が直営で設計施工した数少ない鋼橋のひとつとして貴重である。また,合理的で明快な部材構成と,独特な形状のレンティキュラートラス形式の橋梁として,我が国の近代唯一の遺構であり,橋梁技術史上,高い価値がある。
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詳細解説
南河内橋 一基 南河内橋は、北九州市の中央をほぼ南北に貫流する大蔵川の上流に架かる道路橋である。 南河内橋は、製鉄事業に用いる工業用水の確保を目的として、農商務省製鉄所が実施した河内貯水池建設工事の一環として、製鉄所技師沼田尚徳と同足立元二郎の指導のもと、製鉄所技手西島三郎が作成した設計図に基づき、大正一四年七月に起工、翌年一一月に竣工した(起工年月は『河内水道工事報告(案)』(株式会社松尾設計所蔵)、竣工年月は橋門構に取付けられた銘板による)。設計関係三者のサインが書き込まれ、トレーシングクロスに黒と朱の墨で描かれた当初の設計図面一〇枚を附指定とする。平成一〇年頃から人道橋として利用され、同一二年及び一七年には補修工事が実施されているが、全体として躯体の保存状況は良好である。 南河内橋は、河内貯水池南方の狭窄部に架かる、橋長一三三・〇メートル、幅員三・六メートルの下路式鋼製二連レンティキュラートラス橋である。橋梁中央部の橋脚一基と両端部の橋台よりなる下部構に端柱を立て、その上端を主構、下端を床版と連結し、さらに主構と床版を垂直材が連結するつくりとする。なお、レンティキュラートラスとは、上弦材にかかる軸力が全部材で等しくなるように構成されたいわゆるポオリートラスを上下に組み合わせ、上弦材から伝わる圧縮応力と下弦材の引張応力を相殺させ端柱に水平反力がほとんど及ばないようにしたトラス形式である。 下部構は、いずれもコンクリート造構造物で、岩盤上に直接築かれ、橋台翼壁を含め全体を花崗岩の布積で仕上げる。 端柱は、高さ四・七メートルで、各主構端部に二本ずつ配し、ワーレントラスの橋門構で繋ぐ。北側トラス南端に位置する二本を除き、柱頭部に鋳鉄製の端柱覆を被せ、照明を頂く。橋梁両端の橋門構は、橋名と竣工年月が陽刻された銘板と柵飾を頂部にあしらう装飾的なつくりとする。 主構は、正立及び倒立の曲弦トラスを上下に組み合わせ全体で紡錘形とした二連のレンティキュラートラスよりなる。各トラスは支間長六六・〇メートルで一二格間よりなり、上弦材に溝形鋼、下弦材には溝形鋼及びピンプレート、垂直材には山形鋼を用い、格間毎にターンバックル付の斜材を設け、格点はすべてピン結合とする。 床版は、鉄筋コンクリート造スラブの周囲に溝形鋼を添えるつくりとし、スラブには一・八メートル毎にI形鋼床桁を配し、上面には鋼製の高欄を設ける。端柱との格点はピン結合、主構垂直材及び高欄との格点はリベット結合とする。 南河内橋は、我が国の鉄鋼産業発展の中心を担った製鉄所が、直営で設計施工した数少ない鋼橋の一つであり、床版を含む構造部材が旧態を良好に保持して残る、貴重な土木構造物である。また、力学的合理性に基づく明快な部材構成と独特な形状を特徴とするレンティキュラートラス形式の橋梁として、近代で唯一の遺構であり、橋梁技術史上、価値が高い。 【参考文献】 『八幡製鉄所土木誌』(土木誌編纂委員会 昭和五一年) 『福岡県近代化遺産総合調査』(福岡県教育委員会 平成五年) 『日本の近代土木遺産〔改訂版〕』(土木学会 平成一七年)
関連情報
附指定
図面
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附指定
附名称
:
図面
附員数
:
10枚