国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
旧松本高等学校
ふりがな
:
まつもとこうとうがっこう
棟名
:
本館
棟名ふりがな
:
ほんかん
旧松本高等学校 本館
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
1棟
種別
:
近代/学校
時代
:
大正
年代
:
大正9
西暦
:
1920
構造及び形式等
:
木造、建築面積1,273.05平方メートル、二階建、桟瓦葺一部鉄板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02503
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2007.06.18(平成19.06.18)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
長野県
所在地
:
長野県松本市県三丁目1番1号
保管施設の名称
:
所有者名
:
松本市
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
旧松本高等学校 本館
解説文:
詳細解説
旧制松本高等学校は,大正中期の高等教育機関拡張期に開校した文部省直轄学校のひとつで,設計を文部省大臣官房建築課が担当し,本館は大正9年8月,講堂は同11年8月に竣工した。
本館は,コの字形の平面をもつ木造二階建校舎で,北西の隅切部(すみきりぶ)に玄関などを設ける。外観は,下見板張に窓廻りの化粧材を連続させて現し,玄関二階の三連窓上部には駒形破風(こまがたはふ)を載(の)せて装飾する。講堂は,木造平屋一部二階建で,本館同様の外観とするが,玄関ポーチなど,内外の装飾細部の意匠密度を高めている。
旧松本高等学校本館及び講堂は,大正期における高等教育機関拡張期に最初に設立された高等学校のひとつであり,当時の木造学校建築の特徴を典型的に示している。また,本館と講堂の両方が当初位置に残っているという意味でも高い価値がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
旧松本高等学校 本館
旧松本高等学校 本館(内部)
写真一覧
旧松本高等学校 本館
写真一覧
旧松本高等学校 本館(内部)
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
旧制松本高等学校は,大正中期の高等教育機関拡張期に開校した文部省直轄学校のひとつで,設計を文部省大臣官房建築課が担当し,本館は大正9年8月,講堂は同11年8月に竣工した。 本館は,コの字形の平面をもつ木造二階建校舎で,北西の隅切部(すみきりぶ)に玄関などを設ける。外観は,下見板張に窓廻りの化粧材を連続させて現し,玄関二階の三連窓上部には駒形破風(こまがたはふ)を載(の)せて装飾する。講堂は,木造平屋一部二階建で,本館同様の外観とするが,玄関ポーチなど,内外の装飾細部の意匠密度を高めている。 旧松本高等学校本館及び講堂は,大正期における高等教育機関拡張期に最初に設立された高等学校のひとつであり,当時の木造学校建築の特徴を典型的に示している。また,本館と講堂の両方が当初位置に残っているという意味でも高い価値がある。
詳細解説▶
詳細解説
旧松本高等学校 二棟 本館、講堂 旧松本高等学校本館と講堂は、松本駅から東へまっすぐに延びる大通りを一・五キロメートルほど進んだ突き当たりに位置する「あがたの森公園」の北西隅部に建つ。 旧制の松本高等学校は、大正中期の高等教育機関拡張期に開校した文部省直轄学校のひとつで、大正八年四月に設立公布された。新潟、山口、松山とともに最初に設置された四校のひとつで、第一~第八高等学校のいわゆるナンバースクールに続く、第九高等学校として計画され、県立松本中学校の校舎を仮校舎として同八年九月一一日に第一回入学式が挙行された。 現在の本館と講堂については、大正七年一二月八日に地鎮祭を執行し、本館は同九年八月、講堂は同一一年八月に竣工している。設計は、文部省大臣官房建築課である。講堂の設計担当については、『松本(第九)高等学校講堂兼図書閲覧室新築工事』の図面印「設計者」欄の印影から、文部技手長谷川龍雄(大正七年に名古屋高等工業学校建築科卒)と判明する。また本館の設計担当については、設計図面等の明確な資料を欠くが、文部技師であり大臣官房建築課松本出張所長の糟谷謙三(明治四一年名古屋高等工業学校建築科卒)と判断される。 校舎の配置は、松本駅からの大通りの突き当たりに、門のないオープンな半八角形平面の前庭を設け、前庭の東南側に通りから直接校舎に入ることのできる設計の本館を置き、前庭の北東側には門を介して講堂を置く。 旧制松本高等学校は、昭和二四年に国立信州大学文理学部となり、同四八年に市内北方の旭キャンパスに移転した後に、本館と講堂を存置した跡地は松本市に払い下げられ、同五四年には松本市が「あがたの森文化会館」として活用を図っている。同五六年に旧松本高等学校本館及び講堂は長野県宝に指定され、平成一○年度から一二年度にかけて講堂、同一四年度から一七年度にかけて本館の保存修理工事が実施されている。 本館は、寄棟造、桟瓦葺の木造二階建で、凝灰岩の布石積基礎上に建つ。平面は、北西部を四五度隅切りとしたコの字形で、北西の隅切部に玄関と大階段を設け、玄関ホールから東へ桁行二九・一メートルの北棟、南へ桁行三○・九メートルの西棟、西棟南端から東へ桁行七○・八メートルの南棟を延ばす。各棟とも片廊下で、廊下に沿って教室等を配置する。廊下幅は一・八メートル、普通教室の規模は桁行方向九・一メートル梁間方向七・三メートルを基本とする。 本館の外観は、スティックスタイルで、下見板張に窓廻りの化粧材を上下左右に連続させて表に現す。隅切りの正面は、玄関及びその両脇部を前面に張り出して両脇部に切妻屋根を架け、中央二階の三連窓上部には駒形破風を載せる。内部は、玄関ホール及び大階段が床をリノリューム敷、腰を縦板張ワニス塗、上部を白漆喰塗、天井を白漆喰塗中心飾り付とし、校長室は同仕様で天井を板張ワニス塗中心飾り付、廊下及び普通教室が床を板張、腰を縦板張ペンキ塗、上部を白漆喰塗、天井を板張ペンキ塗とする。小屋はキングポストトラスを組む。 講堂は、切妻造、銅板亀甲葺の木造平屋一部二階建で、凝灰岩の布石積基礎上に建つ。講堂本体は桁行二○・五メートル、梁間一六・四メートル規模の東西棟で、屋根面に四箇所の屋根窓を載せる。西側を溜室とし、その南には本館玄関に対応して四分の一円形の玄関ポーチを設け、溜室の北側には二階建、宝形造の塔を配する。講堂部の東側は南北棟の図書館部で、講堂部の棟との交差部に換気塔を載せ、南面には寄棟造、平屋建の昇降口ポーチを突き出す。外観は、本館同様のスティックスタイルによるが、外部の窓台、持送り、玄関ポーチ及び昇降口ポーチの柱などや、内部の講堂舞台廻りや職員閲覧室など、内外の装飾細部の意匠密度を高める。小屋組は、講堂部がクイーンポストトラス、図書館部がキングポストトラスを採る。 旧松本高等学校本館及び講堂は、大正期における高等教育機関拡張期に最初に設立された高等学校のひとつであり、隅切りのコの字形平面、校門近くに校舎を寄せる配置計画、簡略化されたスティックスタイルの外観等、大正期木造学校建築の特徴を典型的に示している。また、本館校舎と講堂がセットで当初位置に残っており、価値が高い。 【参考文献】 『長野県宝 旧松本高等学校講堂保存修理工事報告書』松本市、二○○一年 『長野県宝 旧松本高等学校本館保存修理工事報告書』松本市、二○○六年